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Tachyon:1 旅立ち

 僕は下の世界を眺めていた。下の世界の人間たちはどうして、争いごとを起こすのだろう。どうして、罪と分かっていて悪いことをするのだろう。そういうことを僕はこの歳ながら思う。下の人間たちは自分勝手だ。

「ノノ様。」

と僕に声を掛けた人がいる。僕よりも背が高い。でも、僕がこの人より地位は上だよ。だって、僕はこのお城を国とする一国王の息子。つまり、王子だ。

「アビス。なんで人はあんな醜い争いごとを。」

「ノノ様。あなた様がそれを考える必要はございません。私たちはただ見ているしかないのですよ。私たちは神様とは違います。ノノ様。あなたが下のものたちの争いごとをなくそうとしても、それは叶わぬ夢ですよ。」

「なら、どうすればよいのだ。過去に行けば、過去の争いごとをなくせて、この世の争いごともなくなるのか。」

「それは決してできません。過去を変えるということは未来を変えることにつながります。今ある現代を過去の出来事で回避する力は私たちには宿っていません。」

「アビス。予は過去が見たい。」

「は・・・。何をおっしゃるのですか。過去など危険です。」

「危険ならば、なおさら行く。過去に何があったのかこの目で確かめたい。」

「はぁ・・・。いったいいつから見られるつもりですか。」

「この星が生まれた時。早よせぬか。」

「しかし・・・。」

僕は引き下がろうとはしない。一つ言っておこう。僕は6歳だ。人間でいう扱い辛い年代だぞ。

「それには、お父上の承諾が必要でございます。ノノ様。あなたの一存で時空を越えることはできないのですよ。」

「アビス。」

と声がした。その声にアビスは振り向いた。すぐにあわてた表情になり、背筋を伸ばして、よい姿勢となる。僕の父上ソランだ。

「ソラン様。」

「ノノよ。そこまで過去に行きたいか。」

「うん。予はどうしてこういうことがあるのか、それが知りたい。」

「ノノ。それは今の君では理解することは不可能だ。それよりも、君は少しでも勉強をすることだ。」

「勉強は嫌だ。」

「・・・ノノ。ならば少し過去にさかのぼり、どうしてこの下の世界ができたかを見てくるがよい。そして、どのようにして現代が成り立っているのかを見てくるのだ。」

「ソラン様・・・。」

「アビス。今回はそなたらに時空をさかのぼるためのものを与えよう。」

僕はそれが不思議だった。時空をさかのぼるものっていうのはいったいなんなんだろう。この空中に浮いている城自体時空をさかのぼるための道具ではないのか・・・。父上に案内された部屋にはこれよりもはるかに小さい時空城そっくりの物体があった。

「ソラン様・・・。これを使うのは・・・。」

「今回だけ特別じゃ。」

「これで過去に遊びに行ける。」

僕はそう叫んだ。

「これ。」

アビスは怒ったように声を掛けたが、父上は笑って、

「そのほうが良い。難しいことを考える6歳より、遊びのことを考える6歳のほうが板についとるからなぁ。」

「・・・。」

「アビス。これの操作には最低でも2人はいる。だが、ノノはこれを操作するには若すぎる。レオンをこれの操作氏として、一緒に向かわせる。」

「しかし・・・。」

「ノノは暇なだけなのだよ。少しだけでも遊んでくれば、疲れて、寝るだろうから。それに、少しはあの固い頭をほぐしてやらんとなぁ。」

「・・・ほぐれるかどうかは分かりませんが・・・。分かりました。」

僕は父上とアビスのやり取りを観察していた。どうやら話すことが終わったようで、アビスがこちらを向く。

「ノノ様。これからお望みの過去に参ります。よろしいですか。」

「うん。」

「それと、過去では私とレオンお姉さまの言うことをしっかりと聞くように。これだけはお願いしますよ。」

と告げた。アビスの言うレオン姉さんが来て、僕たちは時空城よりもはるかに小さい時空城に乗り込んだ。これから、タイムトラベルの始まりだ。


人物紹介

ノノ・フェルー

歳:6歳 性別:男 髪色:スカイブルー 血液型:A型


アビス・フォノ

歳:12歳 性別:男 髪色:ライトパープル 血液型:B型

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