3話 安寧の罠
ロシア市街は、そこはかとなく広い。
どこまで先に進もうとも、見えてくるのは似たような光景ばかり
勝輝は無我夢中で駆け、やがてはいくつもの街が建つ場所へと入っていた。
しかし、人の姿などはまるでない…
「ここには誰もいないのか…?」
勝輝はあたりを見回し、人の気配を探ってみた。
しかし、やはり人の姿や気配といったものは確認できなかった。
「なんか、あやしいな…」
しばらく歩き始めると
「う、うわ!」
突如、空家から何者かの気配が!
気付いた時には既に遅かった。
ナフキンの様な物で口を塞がれ声も出せなくなり、同時に意識が遠のいていった。
ロシア ニューソ連・第35統合混成軍制支援街 空家
バタンッ!
ドアの閉まる音のあとに床に一人の少年を倒れさせる。
「こいつが地球人だというのか?」
その少年をまじまじと見つめるのは、警戒心を抱いている司だった。
「はい…間違いありません。夢の中で見た、男の子そっくりです」
その隣には銀星輝
銀星輝が見た、夢の中というのは、世界が崩壊する寸前の中…
一人の少年が災厄を封じ込める。
しかし少年は生命を燃やし尽くし、力尽きた身体は忘却の底へと消える。
夢の結末は分からないが、今目の前で意識を失っている少年は、その夢の中の少年と瓜二つだった。
銀星輝には夢の中で未来を予知夢として見る力もあるらしい
この夢は偶然とは思えないほどに、ここ数日睡眠を取る度に見るのだという。
「妙な気配がしたからこうして眠らせてみたものの、地球人なら無害といってもいいか…」
司は少年を起こそうと、平手打ちをかけようとして、銀星輝にその腕を止められた。
「何するつもりですか?」
「起こすんだ。このままにしておいても、どうしようもないだろう、さっさと任を終わらせて協力者の元へと戻る」
いきなり聞きなれないワードが飛び銀星輝は司に更に問いた。
「協力者って何ですか?」
「俺のコンプレクシティの裏切りをサポートしてくれた地球の協力者だ。尤も…ここまで来れるかどうかだが」
その言葉に?をうかべる銀星輝
しかし、すぐに言葉の意味を理解できる事は起きた。
ドンドンドンッ!
突然ドアが叩かれ、甲高い音を立て始めた。
司は拳銃を構え、ドア越しに声をかけた。
「誰だ?」っと、その時ばかりは、いかにも任務を重く感じているかのようなトーンで
「我らはセイレーン教…地球人を保護したと言伝をもらい、保護しに参った」
それを聞き、司は銀星輝の方を向き言葉を放った。
「すぐに支度をしろ、ロシアから脱出する」
ドアが開かれ、何十人という宗教風の服を着た修道士が司達を取り囲んだ。
「セイレーン教!?」
銀星輝は驚愕して聞き返した。
「そうだ、俺の裏切りのサポはセイレーン教が引き受けた」
「黒葉美運ですか…」
銀星輝はそのワードを放つ
今度は司が、驚きの色を隠せず銀星輝に強ばった視線を向ける。
「お前…黒葉美運を知っているのか?」
「はい、といっても、星間同士の僅かな情報網としてキャッチした程度ですけど」
銀星輝は頭頂部の髪から、とても小さな…目を凝らさなければ見えないほどの、発信機の様な物を司にみせた。
「これは星間の知人から送られてくる情報を盗聴するモノ…黒葉美運は自らを神と称する者で、その存在は謎に包まれすぎています」
髪に盗聴器を戻す。
「そもそも、セイレーン教の教祖は黒葉美運等ではないはずなんです。それに」
そこまで言って銀星輝は顔を俯かせ、言葉を止める。
「それに、なんだ?」
「彼の言う神とは、恐くは破壊神・羅赭…仮にこれが正しければ、例えコンプレクシティでも手の打ちようはないと思います」
銀星輝の表情がだんだんと悲に満ちていく
「大昔の銀の星、破壊神は地球に不完全に封印されたと聞きます。ですが、不完全の影響から地球に不幸をもたらす結果を起こし、結果、今や世界は能力者だけとなってしまったのです」
辛い過去のことのように言葉を綴り、銀星輝の精神はだんだんと弱々しくなっていた。
「破壊神が黒葉美運に宿っているのだとすれば、それは由々しきことです。あなた達!黒葉美運から離れてください!」
突如感情に任せ銀星輝は能力を解き放った。
「なっ!?よせ銀星輝!」
司は止めに入ったが一歩遅かった。
気は解放され波動を放った。
「ぐっ!がはっ!!」
波動は周囲の修道士と共に、司おも吹き飛ばす。
「あなた達は黒葉美運の片割れ…ならばここで始末しなければ」
銀星輝に真っ白な身体に銀色の気が纏う
「銀の星の王として、あなた達には死んでもらいます」
気は星を形作り、銀星輝の意志に従うかのように先端が辺りの修道士達に一つずつ向く
「心肺矢串!」
そういって意志に疎通し星は回転しながら修道士達に向かって飛んでゆく
バシーンッ!
しかし、その星は全て壊された。
修道士達は誰一人として星は刺さらなかった。
驚いた銀星輝は壊された何かの方を見る。
そこには冬嫁がいた。
そして左腕を広げ、右腕を弾く指…意識弾の構えをしていた。
「さっきから聞いてれば、君はどれだけ自己勝手なんだい?」
冬嫁の言葉を聞いて、銀星輝はハッと我に返る。
同時に銀色の気も消えた。
「王というのは所詮そんなものなのかい?だとしたら僕は君を仕止める…覚悟はいいかい?」
そういって冬嫁は問答無用で意識弾を弾く寸前まで持ち込もうとして…
バキューン!
銃声と共に、冬嫁は意識弾を壁に向かって弾いていた。
「それくらいにしておけ…もう銀星輝に戦闘の意思はない」
司が92Fを構えていた。
銃口からは硝煙を放ち、壁には二つの弾痕を残していた。
「君は確かコンプレクシティの者だね。地球には何をしに来た?」
冬嫁は鋭い視線で司を見る
「コンプレクシティは裏切った。俺は奴らの考えには同意できないからな」
「裏切りのサポートはセイレーン教かい?ひー、ふー…ざっと20人か」
司は銃を仕舞い、波動で気絶した修道士達を一人ずつ起こしていった。
「銀星輝…余計な事はするな!こいつらは特使として送られた奴らだ。お前と事を起こすために呼んだわけではない」
「すいません、取り乱しました」
銀星輝は申し訳なさそうに、必死に頭を何度も下げ、謝りをアピールしていた。
修道士達を全て起こし終わり司は荷物をまとめると
「分かればいい、さあ、いくぞ!日本の旧市街、霊法町にな」
「了解」
「わかりました」
いつのまにか冬嫁も加えて、ロシアを脱出したのだった。
航空機内
どこから用意してきたのか司達は修道士達が持ってきたという航空機内で日本の到着を着々と待ち続けていた。
航空機といっても、大型のものではなく、30人ほど入れる程度の広さだった。
しかし、保存飲料の管理、映像出力器等があるところを見ると、あきらかにセイレーン教が用意したものではないと見れる。
あちらこちら見回していた銀星輝は修道士たちが確実に何かを起こしていると見て警戒を強めていた。
一方、冬嫁は先程の能力を使用しすぎた為か、席で頬杖をついて眠っていた、余程疲れているのだろう
そして司は、機内にあったノートPCを開き黒葉美運についてのデータをまとめていた。
そう…このまま、上空をのんびりと飛行していく予定だったはずだった。
突如、機内放送が流れる。
「司氏、何かが地上からこちらに向かってきている!」
司はノートPCの電源プラグを抜き、そばにあったテーブルに置くと機内の窓から下をみる。
「レーダーから位置情報を特定、ロシア市内から、接近中!」
修道士達は機内で慌てふためく
司は92Fを構え、M500をバックにしまって担ぐと、機内の天井の蓋を引き上げた。
パカッ!っと音がしたかと思うと、強烈な風が入ってくる。
「くっ!」
体制を崩したが間一髪、端につかみ、ゆっくりと外に出ていく
機内外・上空
きつい風と共に雲がいくつか視界を塞ぎ、この状況は非常に最悪だというのがわかる。
「接触まで、距離500m、400、300…」
風の音で小さく聞こえる機内放送を頼りに司は92Fにカートリッジを差し込む
「残り100m、90、80、70、60、50、40、30、20、10、接触!」
甲高い音と共に、航空機が揺れた。
「くっ!一体何がここに来た?」
司は正体を確認しようと、一歩前に出ようとして
「はっ!下か!!」
気の気配に気付き航空機の上でバック転をした。
司のいた場所には人とは思えない巨大な腕
「ちっ!覚醒生物か!?」
と思われたそれは先端が鋭く尖った足、巨大化した蜘蛛だった。
機内に力強く刺さり、フレームがへこんだ。
「普通に貫通するな…こいつは」
司が92Fを構えようとしたとき
「おっと、そんなことしていいのかなぁ?」
蜘蛛から声が発された。
「やはりお前か、ネッド!」
司の目が蜘蛛を強く睨む
巨大な蜘蛛は冴えない男に変わる。
「こんなところでお前は何やってるんだぁ?司ぁ、おとなしく俺に殺されとけよぉ」
人の姿のネッドは右腕に血のついたナイフを持ち、投げ遊んでいた。
「お前はどこまでも俺の邪魔をする奴だな…」
司に能力開化の合図がみられた。
「また、もやすのかぁ?構わねえが航空機も真っ逆さまだろうなぁ」
ネッドは着ているジャケットを司に見せるように開く
「なっ!?」
「わかったろぅ?お前は俺を燃やせない…燃やそうものならここで全員一巻の終わりだ」
ネッドの腰辺りには幾つもの高性能爆薬が結び付けられていた。
これは火気に反応すると即座に爆発を起こすものだった。
こんな小型航空機ごときでは本の一粒ですら、落ちてしまうだろう。
「お前にズルして勝つつもりはねぇぜ、先制堂々と戦いてぇんだよ!」
ネッドはナイフを向けると、同じように司もバックを機内に投げ、ナイフを構えた。
「お前が望むのなら構わないが…お前は見切りやすい動きしかできないだろう」
「ごちゃごちゃうるせえ!この、上官気取りがァ!」
ネッドは一目散に司に向かって、その刃を振るった。
スッ!と刃を少ない足場で避ける司
しかし、ネッドの連撃は何通りにもなってかかってくる。
「おらぁ、おらぁ、おらぁーっ!」
断続的に繰り出されるネッドの高速な一撃の数々は事地如く司によけられ、次第にネッドは疲れを見せ始め出していた。
「はぁっ、はぁっ、どうした?避けてばっかりじゃあ…倒せんぞ!」
しかしネッドは悟られまいと疲れている素振りを見せないようにしていた。
司にはそんなごまかしなど通用しないとも知らずに…
「この避け魔がぁ!」
一瞬フェイントをかけ、司の心臓を狙うか如く、刃を振るった。
(ここだっ!)
だが、司はそんな一撃でさえもひらりとかわした。
更にネッドの腕を取り空中に勢いよく放り投げる!
「うおおっ!?」
空中に投げられたネッドは驚き始めたが、すぐに勝ち誇った顔をする
「だが、そんなんじゃぁ、俺を倒したことにはならないぞぉ」
覚醒生物へと変異し、糸で再び戻ろうとしたが…
「・・・」
司は持っているナイフに火気を帯せ、投げナイフの様に…
シュッ!
ネッドから70°程離れた方向に投げた。
そんな司の行動に、ネッドは不敵な笑みを浮かべる
「どうした?風圧に頭でもやられたかぁ?…ごはぁっ!!」
ドスッ!という音と共に、ネッドは人の姿へと戻った。
そして戻った瞬間!
ボオオォォォォォーーーーッ!
上空に一つの巨大な炎が上がった。
「グギャアアアァァァーーッ!」
それは火気を含んだナイフがネッドに燃え移ったからである。
そして、燃え出してから数秒程で
ドカアアァァァァァーーーーッン!!
大爆発を起こした。
この爆発はネッドが腰に結びつけていた高性能爆薬が一斉に爆発したためである。
そしてこの衝撃は航空機にはなんの障害も起こさずに済んだ。
「フン、その程度でお前は一体何年…俺と軍人をやってきた?」
戦友として思うように、同時に愚かさを嘲笑うように
「この…バカが…」
粉々になった愚者を司はただ、上空から眺めることしかしなかった。
日本 霊法飛行場
それからというもの、司達の身の周りには何の障害もなく無事、霊法にたどり着いた。
飛行場から霊法町までは約8m程の距離だった。
「ここが霊法町か、安そうな格好をしているお前達とはうって変わって栄えている町だな」
司は後ろから付いてくる冬嫁と銀星輝に加え、セイレーン教の服装にケチをつける。
「我らは決して、この町と同じにしてもらっては困りまする。それにこの街がここまで栄えれているのは、他ならぬ我らの治安のおかげ…」
代表と思われる一人が前に出て司に説明する。
「ほう…お前達のような邪教徒がこの町を治安できるのか?」
司とセイレーン教の間に亀裂が走りかけた…
コンプレクシティ 謁見の間
「時の操止者がお見えになりました…」
門番から伝えられたのはある者との謁見だった。
サーラはだるそうに座へとすわり、時の操止者…月詠:操葵を迎えた。
「貴女が、かの有名な月詠家の令嬢…操葵ね?」
その問いにサーラの目の前の長身の少女は
「貴公がここの代表か?」
まるで聞く様子は見られなかった。
背が高い以外はこれといって特徴的なことはなく制服姿に水色の控えめなツインロングストレートの探せば幾らでもいそうな少女だった。
「貴様ぁ!口を慎め!」
門番の一人が操葵にハルバードを向ける。
しかし、脅しで向けたそれは、動かなくなった。
「な、なんだ!これは?」
そして門番が見たものは、操葵が覚醒していた。
瞳を金色に変えて…
「それは私に対する挑戦か?だとすればお前如きでは私に傷などつけれない」
操葵はうごかなくなったハルバードの先端を握り、本の少し力を加えると…
ドゴーン!
ハルバードは粉々に砕けるのではなく、鉄鉱石となって地に落ちたのだった。
「!?」
サーラ及び、門番はその現象に驚きを隠せずにいた。
「貴公…貴方々の兵達はここまで躾が悪いのか?」
しかしそんなことには目もくれない操葵はサーラを見て問いた。
「フーン、貴女中々面白いじゃない?まさか我が同盟…射民国がこれほどまで早く、私達に宣戦布告を申し出してくるなんて」
「…!」
その言葉を放ったサーラに操葵は目を細めた。
「貴様!我が国の恩を仇で返すというのか!!」
どこに隠れていたのか、謁見の間のいたる所から兵達が武器をもって現れる。
そして一斉に構えると同時にサーラは出口の前に立ち
「余程…自分の愚かさに気づいていないのね」
門を開け、最後に…
「そうそう…部下を信用していないわけではないけれどこの者達を排除できるのなら、脱出できることを許可するわ。尤も、貴女はラー家には劣る者…こいつらはラー家の一人や二人は、殺せる実力を持っているわよ」
サーラの自信に満ちた表情は門が閉まる一歩手前でドス黒く変えて
「殺しなさい…」
門が閉じた。
その次の瞬間、兵達は一斉にかかってくる。
「災いは降りかかる前に始末するべし…覚悟!」
数十人の斧槍が一気に振り下ろされたのだった。
しかし、斧槍は全て操葵に命中する前に動きを止められた。
それどころか兵達も固まってしまう…
「言ったはずだ…その程度で私の核は、止めれはしないと!!」
操葵の気が兵達を覆う
そして兵士の体は石の様にモノトーン色に足元から染まってゆき、やがては完全に石の様に固まった。
「能力者の寿命は、1000年と聞いたことがある。だが私の手にかかれば…!」
操葵は完全に覚醒する。
それは、今までの能力者とは全く違った姿になっていた。
兵達はみるみるうちに石の状態のまま老化していく…
やがて、運命が決めた寿命に到達し、一人、また一人と、石の人は朽ち果てて崩れ、この場にいるのは操葵だけとなる。
「貴公等の敬意に称し、痛みも感じぬまま安らかに眠らせてやった、あの世で楽しむといい、といっても、魂は我が時の狭間にて永遠の呪縛と共に私の糧となるが…」
兵は全員、石ころとなって辺りに砕け散っていた。
不思議と斧槍は全て先程、兵達が構えていた状態で宙に浮いていた。
サーラの言うとおり、兵達を仕留めた操葵は覚醒を解放し、出口へと向かっていく。
人が通るには、あまりにも大きすぎる門は操葵が出て行くと、静かに鈍い音を響かせながら、隙間を残さず閉じた。
サーラの部屋
「全員死にました…」
部屋の扉の前に立つ兵はそう言った。
「わかっている。あの兵達は元々は残虐かつ荒くれな集団だった者達だ。今回の件で操葵を駆逐できたのならば、今後一切の殺しに関して捜査をしないと約束した」
紅茶を飲みながら門兵と側近…望月:彩美に説明し始める。
「要するに餌で引いたわけだ。犯罪に関してはプロだが知性は低い愚かな奴ら…私でも手に負えない奴らばかりだったからな。操葵の力で存在を消してもらえるのなら願ったり叶ったりといったところだ」
コンプレクシティの総帥はとんでもないことを次々に口走っていったのだった。
(それよりも射民国が敵に回ったという方が気掛かりだ。奴は更に厄介な能力者だ…あんなモノ、一体何があったら生まれるのだ?人とは言えない代物…月詠:操葵)
サーラは自らの戦艦から、小型の脱出用テンプテーションが発射されていくのを眺めながら一人、物思いにふけっていたのだった。
霊法町 セイレーン教
ギギギッ!と鈍い音ともに教会の門は開く
結局、修道士と司の亀裂は、銀星輝と冬嫁の二人が何とか宥めて、事は済んだのである。
「待っていたよ司君。はるばるロシアからようこそ」
司達が教会に足を踏み入れた途端、全体から声が聞こえてくる。
「勝輝君は確認させてもらったよ。中々に有能な能力者だ」
「どこにいる!さっきからごちゃごちゃとうるさいぞ!!」
司はあまりにも教会全体から聞こえてくる声に耳が痛み、大声に、大声で対抗したのだった。
すると司達の背後…修道士の大群の後ろから
「いやぁ~ごめんごめん、歓迎パーティーの品を買ってきていてね」
声がした途端、修道士達は黒葉に向き、さっと一礼をし始めた。
「お友達も歓迎するよ。まずはこれでも受け取りたまえ」
そういって黒葉が指をパチンッ!ならすと…
「!?」
「え?」
突然、冬嫁と銀星輝の床が黒い空間に変わり二人共々、吸い込まれるように消えた。
声では表現できないような断末魔の叫びをあげて…
「どういうことだ?説明してもらおう黒葉美運!」
司は即座にナイフと92Fを構える
「武器をしまいたまえ、君には何も手出しするつもりはない」
黒葉は腕をあげて無抵抗を示しているが、表情は勝ったような顔をしている。
「君と話がしたいんだよ…それからでも遅くはないでしょう?」
黒葉は不敵な笑みを浮かべながら司を教祖室へと案内したのだった。