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二人二声之影Ⅱ  作者: LAR
特別編NS
22/22

初めてのおつかい 出演:羅ー、麻衣、冬嫁

「麻衣~麻衣はいないの~!?」

羅ーが泣きそうになりながら、高らかに叫んで、その名を呼んでいた。

ダッダッダッ!と駆け足が響いてくる。

「どうかしたの、羅ー?」

セーラー服の上にエプロンをかけたままで、麻衣が駆け寄ってきた。

「お腹すいた…なにかお菓子、ない?」

腹に手を当てて、物をねだる

「お菓子?さっきお昼を食べたのに?」

「ちょっと足りない…もう少しなにかないかな?」

また泣きそうになりながら、アピールする。

「お菓子は…何もないな~、冷蔵庫の中身はお昼に使っちゃったし…買い物に行くしかないわね」

「そっか~…わかった」

致し方ないと、羅ーは最後の決断にかかる。

「どうする?今から買い物に行ってこようか?」

「いい、自分で何とかする~」「え?」

その時、羅ーに気が満ちはじめる。

「最近、絶好のスポットを見つけたの♪」

「絶好のスポット…?」

麻衣は怪訝な表情を浮かべはじめる

「鳩が沢山いる公園があって、隙だらけなの♪もう狩ってくれと言ってるかの様に隙だらけだから…ちょっと、ドガシンッ!って」

羅ーに怪しい笑みが浮かぶ

「こ、こら、やめなさい!子供達の憩いの場で、弱肉強食の凄惨な場面を見せちゃダメ!トラウマになっちゃうわ!」

麻衣はハッ!と我に帰って羅ーを全力で制止しにかかる。

「う~ん、ダメ?」

「ダメよ!そんなことするくらいなら、私が今から買い物に行ってくるから、どうか思い止まって、ね」

麻衣まで、泣きそうな表情をしてしまう。

「う~ん…わかった」

その言葉を聞いてホッ!と肩を下ろす。

「あ、そうだ!時間もあるし、私がお菓子を作ろうか?そうね…マフィンなんてどうかしら?」

思い付いた様に麻衣は手の平をポン!と叩き羅ーに提案して見せる。

「マフィン~?美味しいの?もしかして、それは甘くて、クリーミーで、もらった人は特別な存在と思えたりする~?」

無邪気な表情で頬を赤くして言う。

「いや~、そんなに大層なものじゃないと思うけど…一応、勝輝や、皆からも『美味しい』って言ってくれてるわよ」

対応に困る表情をしながらも、麻衣は一差し指を立てて自信を示してみせる。

「そっか、マフィン、食べたいな~なんか…聞いた感じ、ムチムチしてそうでおいしそうにゃん♪」

「ムチムチ…はしてないと思うけど、とりあえず一緒に買い物に行こうか」

麻衣は支度を始めようとエプロンを外すところだった。

「ううん、私が買いに行く~」「え?羅ー一人で?」

麻衣は驚いた顔をする。

「うん、これくらい簡単だよ~、大丈夫!心配することはな~んにもないよ~♪てにゃわけで、お使いに行くから、お金と、買い物メモを頂戴~」

満面の笑みで、麻衣に必要な物を要求する。

「は、はー…そこまで言うのなら、えっと…これがお金、あとメモは、たまごと、薄力粉はまだあるから、牛乳、他には…」

メモ用紙を取り出し、ペンを片手に近くの壁を台にして、スラスラと書いていく

「これがいるわ」

メモ用紙を羅ーに渡す。

「は~い♪私に任せて~」

用紙を受け取り玄関へと向かっていく

「本当に大丈夫?一人でなんて、なんなら斐瑪を一緒に…」

「じゃあ、行ってくるね~」

そういってドアをバタンと閉めた。

「う~ん、本当に大丈夫かしら?迷子にはならないと思うけど…でも不安だな~。ちゃんと様子を見てあげないと」

麻衣も支度をして、事務所を飛び出していくのだった。

スーパーまでの道中、羅ーは麻衣に渡されたメモ用紙を見ながら、トボトボと歩いていた。

「う~んと、卵と牛乳?ダメだな~麻衣は、お菓子が入ってないじゃん~、これじゃ不十分だお~」

一人メモ用紙に向かってブツブツとつぶやいている。

「お菓子も書き足しておかないと、あ、それからアイスクリームも、ほかにもチョコレートがついてる棒…そうだパッキー!これも書き足しとこうっと」

どこから取り出したのか、はたまたいつの間に持ってきていたのか、筆箱からシャープペンを取り出し、メモ用紙に書き足していく。

「ほかに足りないものはあったかな…う~ん?」

まだなかったかと、顎に手を当てて考え始める。

そんな様子を、麻衣は、別のコーナーからじっと覗いていた。

「んー?何を悩んでるのあの子?渡したメモ、何かいじってる?」

その余りにも、怪しすぎる姿は、少し距離が空いた先にいる、者にも目がついた。

「あれ?麻衣ちゃんじゃないか!何してるんだいそんなとこで?まるで隠れてるみたいで怪しいよ…?」

「あ、冬嫁ちゃん。『まるで』じゃなくて隠れてるの」

あっさりとやってる事を晒した。

「どうしてそんなことを?」

あまりにもサラっと答える麻衣に、額に汗を浮かべて、冬嫁は問う。

「いろいろ理由があってね…一番はアレなんだけど」

「ん、ん~…?あれは羅ーちゃんかい、あんなところで一人で何してるの?」

元々細めな視界をさらに細めて、冬嫁は不思議な顔をする。

「買い物の用事があったんだけど、羅ーが一人で行くって言い出してさー」

「な・る・ほ・ど~それで心配だからここで観察してたわけだ~」

クスクスと笑みを浮かべる冬嫁

「まるで心配性のお母さんみたいだね~」

そんな冬嫁に麻衣はムッとした表情をする。

「あの子、見た目はあんなだけど、まだ幼児同然のような感じだから、買い物先でお金も払わずに商品を食べちゃう危険もあるからさ」

「流石にそれくらいはわかるでしょ」

まだ面白がって笑い続ける冬嫁の頭頂部に、麻衣は軽く拳をぶつける。

「それだといいんだけどね」

二人して様子を観察することにする。

そんな中、ふたりが会話を交わしているあいだも羅ーは、スーパーの道をトボトボと進んでいた。

「う~ん、お腹すいた。早くお菓子を買いに行かないと」

腹の音がなったことで。羅ーは漸く行動を開始した。

そんな傾向を、二人はバッチリと見ていた。

「あ、移動するみたいだね」

「私はこのまま、羅ーを観察するけど冬嫁ちゃんはどうする?」

麻衣は冬嫁の姿を最初から見ていた。

学校帰りのようで制服姿。

学生は真っ先に帰って、遊びに行くなんてのは、麻衣の経験上よくあることだった。

ところが冬嫁は違っていた。

「そうだね、さしあたって用事はないから、一緒についていくよ。僕もなんだが心配になってきたし…」

「今度こそ、スーパーに行ってくれるといいんだけど…」

二人の心配は余所に羅ーは、長い時間をかけて無事スーパーへとたどり着くのであった。

「う~ん、卵、卵…ここはいろ~んな匂いがして、鼻だとよく把握できないお~><」

クンクンと、自前の嗅覚で、メモに書かれた材料を探すが、一向に見つかる気配がしない。

その様子を冬嫁と麻衣は、安心してみていた。

「ほら、しっかり買い物できてるじゃない」

「そうだね、よかった~」

ホッと息を吐く麻衣。

「だから、麻衣ちゃんは心配しすぎなんだってば」

「そうかな~?、本当にこのまま安全に終わるといいんだけど…」

しかし、まだ心配気味である。

「うん、どうもさっきから卵を探してるみたいだけど…あ、お菓子のコーナーに入った」

頭を悩ます麻衣は頭をさげて、あんなことにならないか、こんなことにはならないかと、いろいろと考え込んでしまっている。

「う~ん、卵…これでもない、これでもない、こっちも卵じゃない。う~ん、卵はどこ~?」

目に付いたものを片っ端から見ていくが、どれも卵ではなく、ポイ、ポイっと投げていく。

「あー!、『卵じゃない、卵じゃない』と、言いながら、お菓子をポンポンと買い物カゴに入れてくじゃない!!」

「あれ、ワザとやってるんじゃないの?:(;゛゜'ω゜'):」

羅ーの行動に、思わず飛び出しそうになる麻衣の服の裾をつかみながら冬嫁は、また額に汗を浮かべる。

「あんなにお菓子を買ったりしたら、お金の方が大変なことに…」

麻衣があの時、簡単に出せた財布、お使いには十分なお金が入っていたから渡したのである。つまり…

「卵、卵…これでもない、こっちも違う。これは美味しそうだけど卵じゃない」

依然、羅ーの行動は止まる気配がない。

「あ~あ…棚のお菓子を一つずつ、全部買いそうな勢いだね」

最早、冬嫁は半分投げかかりそうになっていた。

「は、はわわぁ…2千円しか渡してないのに、ここはやっぱり私が行ったほうが…」

もう我慢できないと物陰から、足を一歩踏み出そうとした時、その肩が強く制止された。

「いや、僕が行くよ。麻衣ちゃんが後を付けていた事がバレるより、僕が偶然にもスーパーに立ち寄ったってゆうほうが自然で良いと思うし」

冬嫁が、麻衣を物陰に戻して、うまく解釈する。

「確かに…ここで私が出たんじゃあ、私が羅ーを信用してなかったってことに思われちゃうしね」

「あ、あはは…今までの会話から考えて、全くもって信用してないと思うけど」

後頭部を摩って、冬嫁は、致し方ないと腹を括るのだった。

「とりあえず、いってくるよ」

「うん、よろしくお願い!」

両手を合わせて、麻衣はお願いしますと頭を下げる。

こうして、冬嫁の活躍もあってか、お使いは無事完了するのであった。

「なんで、お菓子作りにまで付き合わされるんだい?(・・;)」

キッチンでエプロンをした冬嫁は、脱力感に見舞われながら羅ーに問う。

「美味しいものが食べれるんだお、『リリン』って、いうんだけど、冬嫁は食べたことある~?」

「リリン?なにそれ?おいしいの?」

その二人の会話を、準備をしていた麻衣が静かにつぶやく。

「歌はいいねぇ…」

突如、二人に妙な表情で麻衣を見た。

「て、リリンじゃないわ!マフィンよ、マフィン!リリンを食べたらカニバリズムだって、騒がれちゃうわよ!!」

声高らかに、キッチンで叫ぶ麻衣

「あ~、マフィンか、それなら食べたことはあるよ」

それを聞いて冬嫁は、な~んだという表情をする。

「美味しいの?食べ続けないと幻覚を見ちゃうくらいに美味しいの?」

「いや、流石にそんな危なっかしい症状はなかったと思うけど…(・・;)」

羅ーの能天気な言葉に、またしても麻衣は叫ぶ

「幻覚を見る材料なんて入ってないわよ…もう」

「そっか~なら大丈夫だね。あれは大変な目にあうから…」

羅ーのあまりにも、思わせぶりな言葉に、麻衣は背筋が凍り出す。

「…その言い方だと、羅ーは何かそんな危ないものを食べたことはあるの?」

「うん、あるにゃ、猫化してるときに、お腹ペコペコで倒れそうになった時に、道端に生えてた赤いキノコを食べたら、体が熱くなって、変な幻覚ばっかり見る羽目になったの、あの時ばかりは死ぬかと思ったにゃん♪」

ニンマリと笑顔を浮かべて特に抵抗を感じることもなく喋る。

「な、なんて危ない事を…(・・;)」

「無事でよかったわね…と、まあ、そんなことは置いといて、今回冬嫁ちゃんを抜擢したのは、マフィンの作り方を教えて欲しいからなのよ」

こともなげに麻衣がそんなことを言ってくる。

「僕?そりゃあ、作れるけど、麻衣ちゃんも作れるでしょ?」

「でもさ、こないだだって、冬嫁ちゃんのマフィン、私のより美味しかったのよね。だから、その美味しさの秘密を知りたくてね」

舌を軽く見せて、エヘヘと微笑んでみる。

「別に一緒に作るのは構わないよ。それじゃ始めようか」

「うん、よろしくおねがいします」

「頼みました」

「え?」

麻衣の返事は聞いた、そして羅ーも、しかし、その返事は何か、おかしかった気がする。

「羅ーちゃんは一緒に作らないのかい?」

「こういう作業には役割分担が重要なの、麻衣は作る係り、冬嫁は教える係り、私は食べる係り、最強の布陣!トルシエもびっくり!!」

両手を広げて来るとと万歳した後で、麻衣が突っ込む。

「いや…トルシエっていつの話よ…」

「時間もあることだし、羅ーちゃんも一緒に作らないかい?自分で作って食べると、更に美味しくなるよ」

二人して、冷や汗をかく。

「本当?う~ん、でも私はこういうの、あんまりしたことないお~」

「大丈夫、大丈夫、そんなにびっくりする程、難しくはないし、僕と、麻衣が教えてあげるからさ」

「そうね、折角だから、一緒につくろう」

気落ちする羅ーに二人の温かい言葉がかけられる。

「うん…わかった。おいしくなるなら私も作る」

「よし、決まり!それじゃ早速始めるとしようか~」

羅ーの決意も決まったところで三人のマフィン作りが今開催されるのだった。

「がんばる…」

二人がうまく、量を分断している中、羅ーは気合を入れていた。

「それじゃ~まずは卵を割って、ボールの中に入れて、砂糖を入れてかき混ぜる」

クシャクシャクシャクシャと、混ぜる音をさせる。

「そのあと、ヨーグルトと牛乳を加えていきます、順番は間違えないようにね。あと加える都度、しっかりかき混ぜること」

冬嫁は丁寧に支持する中、麻衣は不思議な表情をする。

「あれ?バターはいつ入れるの?」

「今日はバターを使わずに、ノンオイルのマフィンをつくろうかと思って、だから今日はヨーグルトだけ」

冬嫁の作るマフィンの味の秘密はここにおそらくあるのだろう。

「へー、私、ノンオイルのマフィンなんてつくったことないなー」

「そう?そんなに珍しいものじゃないと思うけどね。バターを使わないからちょっと軽めなんだ。食感も少し違うのかな?」

「そうなんだー。楽しみね。羅ー」

そういって麻衣は、卵を割っている羅ーに首を向ける。

「う、うまく割れない」

「あーあ、手がベトベトじゃない。大丈夫?」

「羅ーちゃんって案外不器用?」

冬嫁と麻衣が苦笑を浮かべる。

「大丈夫、ちゃんとできる。卵くらい割ってみせるもん。えい、あ!…う~!、冬嫁や麻衣みたいにできないお><もちゅ!って潰れるよ!」

「もちゅ!…って(・・;)」

冬嫁は羅ーの表現に思わず笑みがこぼれてしまうがなんとかそれを抑えて、羅ーの方によっていく。

「無理して片手でやろうするからだよ。両手でやってみたらどうかな?」

「そうよ。両手なら、上手に割れるわよ」

冬嫁と麻衣の助言を聞いて羅ーは両手でやってみる。

するとパカッと綺麗に割れ、ボールに黄身と白身が形良く現れた。

「ホントだ~ちゃんとできた~♪」

「よかったね、それじゃかき混ぜよっか」

麻衣の言葉に羅ーもかき混ぜ始める。

クシャクシャクシャクシャ

「これでいい?」

冬嫁に混ぜる強さを見せる。

「うん、それでOKだよ。混ぜたら次は薄力粉とベーキングパウダーを入れて、粉っぽくなくなるまでしっかりとまた混ぜる」

「う~ん、混ぜてばっかり…ちょっとつまんないお~…」

羅ーの発言に冬嫁はまた苦笑する。

「その、つまらないのを超えてこそ、美味しいものができるんだよ」

そこからはマフィンを完成させるまでの間、何事もなく、順調に手順が進み、麻衣がお茶を入れに行っているところだった。

「お茶できたよー」

「ありがとう。それじゃ、いただきます!」

そういって三人は一斉に食べ始める。

「どう?羅ーちゃん、自分で作ってみたお菓子の感想は?」

「うん、美味しい♪冬嫁も料理が上手なんだね~」

羅ーの言葉に、本日3度目の苦笑を、冬嫁は浮かべる。

「なに言ってるんだい。それは羅ーちゃんが自分でがんばって作ったんだから、僕の腕は関係ないよ」

「そうよ、その美味しさは羅ーの努力の結晶だよ」

「そっか~、はむっ。うん、美味しい!」

羅ーの美味しいそうにしている素顔に、二人は笑顔で返した。

「そうだね、ちょっと普通のマフィンと違うのね」

「う~ん」

そんなとき、羅ーは一人、あまったマフィンを見て悩んでいた。

そのよ様子を冬嫁は見ていた。

「どうしたんだい?羅ーちゃん」

「たくさんあるから、勝輝にもあげようかなって思ってる」

その提案に冬嫁は、全員呼ぼうと後付してみる。

「そうだね、折角だから、みんなでマフィンパーティーでもしよう。その方が楽しいしね、感想とか聞くといいよ」

「感想…」

その言葉に羅ーは少し考え込む。

「まずいかも…なんて不安に思うことはないよ、大丈夫!美味しいってば」

「それは大丈夫、言われたら噛み付くだけだし」

「それじゃ~『普通に美味しい』って言われたら…?」

「噛み付く」

その言葉に冬嫁は額に汗をうかべる。

それを麻衣がツッコミに入る

「どっちにしろ、噛み付くんじゃない!ダメよ、勝輝も疲れてくるんだから」

「まあまあ…とりあえず感想を聞きに行こうか(・・;)」

「うん、行く~」

そう言って、皿に盛られたマフィンを二階の勝輝の部屋へと持って上がる

「噛み付いたらダメだからね」

その、後を麻衣もついていくのだった。

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