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二人二声之影Ⅱ  作者: LAR
本編
16/22

14話 終日の未来へ…前編

やっとの思いで、勝輝は最奥部にたどり着いた。

途中、アルフ、司、麻衣と合い、行動を共にしていた。

各員は激戦の末に疲れ果てているが、なんとか4人メンバーを保っていた。

そして彼等がたどり着いた時に見えたのは、3人の能力者達。

コンプレクシティの総帥であるサーラと、倒したはずの彩美、そして見たこともない者がいた。

「サーラ、これはいったいどういうことだ?」

司が、言葉を投げかける。

戦闘中の様で、サーラと彩美は、ボロボロだった。

反面、見たこともないものは、まるで傷一つなく、周囲に岩石が回遊していた。

声に気付いた彩美が、サーラに伝えると、謎の能力者に向かっていった。

注意を向けに行ったのだ。

しかし殺美ではない彼女の、攻撃の一つ一つはどこか弱々しく、力もキレもない。

サーラはようやく勝輝達の方を向き、4人を見る。

「元:司か、裏切り者に話すことなどない…と、言いたいところだが、手を貸して欲しい」

サーラは藁にも縋る様な思いの目をしていた。

「あいつは?」

司は、彩美が戦っている能力者を見て言った。

「奴は操葵が未来から連れてきた能力者だ。同時に今回の隕石衝突作戦の実行者でもある」

「なんだとっ!?」

サーラの言葉を聞いた途端、司に怒号が走る。

余りに大きく響いた声に、能力者は彩美を吹き飛ばし、勝輝達の方を向く

「おや、ようやく地球人のお出ましかい?」

待ってましたと言わんばかりに明るい表情で、言葉を放っていく

「初めまして、僕は竜胆:慧。彗星の子、流星の能力者さ」

軽々とした口調は、決して彼が軽い能力者だということを語っているわけではないようだ。

自己紹介をしている間でも、彼の周囲には岩石が回遊している所を見ると、かなり骨のある者の様だ。

「はるばる地球からご苦労さま、君達の事は操葵から大体聞いているよ。右から勝輝君、司くん、アルフ君、麻衣ちゃん」

全員を見事に当てている。一体操葵はどこで勝輝達を知ったのだろうか?

「でも、それも無意味になってしまったね。ついさっき隕石は落下を始めたよ。止めるには僕を倒すしかないよ…」

その言葉を最後に、慧の身体から、とてつもない大きさの気が一気に溢れ出した。

「コンプレクシティじゃ頭数揃っても単純で面白くないんだ。今度は君達が僕の遊び相手になってくれるかな?」

重圧な気、それなのに慧は、気に浮力を持たせ、自らを頭一個分はあるか、というくらい浮かせていた。

「フン!望むところだ。いくぞ、勝輝、アルフ、麻衣」

4人は一斉に慧にかかっていった。

一箇所に集まっても無意味だろう、各一人ずつがそれぞれの方向に分かれていく

「ん?」

それを見た慧が、不思議な目をする。

気付けば方向毎に、4人が構えていた。

「考えたものだね、挟み撃ちにして、かかるつもりかな?」

「ゴチャゴチャと煩い!」

司が銃を撃ち、アルフがテイン、麻衣が矢を射り、勝輝が模擬刀を振るう。

正しく卑怯極まりない、攻撃の連続だった。

だが、慧はそれを尽く抜い、挑発するような笑みを浮かべていた。

「コンプレクシティとの戦闘で疲れているのかな?動きもチームワークもまるでなってないよ」

バラバラに攻撃をしていたにもかかわらず、掠りもしない。

その上チームワークまでも否定された。

「協力って言うのはこうゆうことを言うんだよ」

慧の気が攻撃的な色に変わる。

「死なない様に手加減はしてあげるよ、シューティングジェノサイダー!」

念じた途端、無数の漂流物が現れ、4人に向かって襲い掛かる!

「ぐあーっ!!」

数が多過ぎる。

避けることが適わないと、防御に回るが、すぐに崩され、大きな痛手を負う。

誰ひとり、慧の周りにいた者は距離を離されてしまった。

「僕に近付けば、手痛い猛攻を受けることになる。良く覚えておくといいよ」

操葵の部下でこの実力だ。

本人はどれほどの強さなのか、検討もつかないほど慧の相手は、勝輝達には重かった。

「くっ、強い!」

「まさか、これほどとはな…俺達の実力を悠に上回っている」

お互いに聞こえてはいなかったが、勝輝と司は少し離れた所から呟いていた。

「うん?」

しかし慧には、二人の声がはっきりと聞こえていた。

「期待はずれだねぇ…」

無数の流星の落下によって、上がった粉煙。

しかしその中で怪しく光る瞳が4人全員を捉えた。

「もっと楽しませてほしいものだね」

粉煙の中を、一直線に突き進んでくる。

司の方へと、向かってくると、宙に浮いた状態から、渾身の蹴りを幾つも入れていく

ドゴッ!ドゴッ!と生々しい音をたてる。

「がっ!!」

腹部に容赦無く入れられる一撃に、司は腹を押さえる。

しかしそんな訴えも、気にする様な事は無く、次から次に攻撃を加えていく

勝輝はまだ知らないが、司がいくらサイボーグとはいえ、繰り返される蹴撃に、神経回路に亀裂が入りだしていた。

(まずいな、このままだと、動力源までも破壊されてしまうな…)

腕の防御に、何度も打ち付けられる蹴りのせいで、司の腕の皮膚はえぐれ、機械化した中身が見えていた。

「ほらほら!どうしたの!?防御するだけじゃ、僕を倒せはしないよ」

慧には地球人に対する善心は一切見せなかった。

まるで足を休める事はない。

「いつまでやってるんだ!」

そんなおり、勝輝が心剣を振りかざす

「っ!!」

活電気の発光に、慧は危機感を感じ取った。

ビュンッ!

剣が下りた。

しかし、あと僅かのところで、掠る角度を、避けたのだった。

「ちぃ!おしいっ!」

悔しがる勝輝だったが、慧の左頬に切傷ができる。

「花火を相手にしていながら、まだ、そんな余力が残っていたのか、流石だね」

傷を手の甲で拭う。

付いた血を舐め、甲に水気を帯びせたかと思うと、傷口が癒えていく

「くそ、埒があかない!」

掠り傷では大したダメージにならない、おまけに自己再生も強力だ。

勝輝達の士気は、どんどん下がっていく事となる。

「ここまで来て、やられてしまうのか…」

勝輝自身が、絶望に追い込まれかかっていたのだ。

その時、サーラと彩美が、勝輝の前に現れた。

「諦めるんじゃない。お前は、あの花火を倒した。真の剣師として認められたのではないのか!?」

サーラに喝を入れられた。

「私達も、お手伝いいたします。だから、あきらめないでください」

彩美にまで、励をされた。

一体この二人に何があったのだろうか?


その頃、サーラと彩美は、勝輝達の戦いぶりを見ていた。

「いい攻撃だと思える。だが、あれでは未来人は倒せんな…」

サーラに苦難の色が、彩美には見えた。

ふと、サーラ様はどうして、ここまで地球人を気にしているのだろうと思っていたが

(いずれ来る、彼らの戦いを見ておきたいのですよね、サーラ様。ですが、今は一刻も早く逃げなければ!)

この時の彩美は、まだ、自分自身の考えだけを通していた。

「サーラ様、早く逃げましょう。ここにいては、いつあの未来人が私達に襲いかかってくるかわかりません」

彩美が、サーラの腕を引っ張る。

しかし、くっ!と、その腕は頑丈な鉄棒を握っているかの様に、微動だにしなかった。

その余りの、抵抗の大きさに、彩美はサーラに向き変える。

「サーラ様?」

「逃げる必要はない。私達もここで戦うのだ!」

サーラは彩美を見ず、ずっと勝輝達の戦いぶりから目を離さなかった。

「どうしてです!?私達は地球人の敵、放っておけばよいでしょう」

「なんだと?」

そこで漸く、サーラが彩美の方を向いた。

とても強い眼力で、見られていた。

その視線に、彩美は何か申し訳ないことを言ってしまったのかと気を落とす。

「彩美、今、私達が逃げてしまえば、それこそ裏切り者と呼ばれてしまっても、仕方がないと思わないか?」

再び、勝輝達の戦いに顔を向ける。

彩美も同じくそちらに目を向けた。

「今の彼等では地球を守ることはできない。隕石は地球に落ち、地球人は根絶やしにされてしまえるだろう」

それがサーラの目的、地球人を根絶させ、覚醒能力者の新たな世界を作り上げること。

コンプレクシティの存在意義だった。

「だが私は、他人の行いで地球人を根絶やして、移り住んでも、本当の勝利を手にしたとは言えないと思う…ましてや、奴がそれをネタにすれば、私達は忽ち卑怯者として名が高まるだろう」

サーラには、義が確かに存在しているのだ。

どんな手を使ってでも、地球をコンプレクシティの手に収めたいと思っている反面、自らの実力で手に入れるという使命感も持っていた。

「今回の件は、私には納得できないのだ。彼等に加担しようと思う」

その言葉に、彩美は何も言い返せなかった。

「彩美、逃げたいのなら一人で逃げろ!そして次に、あいまみえし時は、敵だということを忘れるな…」

サーラの本気だった。

このまま逃げれば、サーラの逆鱗に触れ、二度と側近として、前に立つことはできなくなる。

それは嫌だった。

だが、そんなことよりも、サーラに見損なわれてしまった事が、彩美にはたまらなく悔しがっていた。

だからこそ、彩美は自らの心に誓いを立てた。

「行きましょう!サーラ様、あの未来人…竜胆:慧は私達の、そして地球人の敵です」

そして、勝輝達を気の感覚で捉え、粉煙の中を疾走していったのだった。

勝輝の救援に回った彩美は、勝輝を立たせ、傷の応急処置を施す。

「ありがとう…助かるよ」

こんな時なのに、笑顔を浮かべていた。

「別に私は、サーラ様の意思に従っているだけです。勘違いしないでください」

妙に強く言う態度に、勝輝は頭に?を浮かべていた。

「他の人も、手当しにいきます」

そういった途端、駆け足とは思えない足さばきで、粉煙を再び疾走していった。

「さて…」

足を開いて構えたかと思うと、勝輝は気を集中させ、左目に赤眼を開化させた。

「智眼!」

そして、その眼で粉煙を見透かし慧の居場所を探った。

その頃、慧はというと、勝輝の一撃に地震が油断していたことを踏まえ、気を冷静にしていた。

もちろんサーラと彩美が、勝輝に迫っていることを知り、自ら距離を置いたが、果たして撒くことはできたのかどうか…

「地球をなんとしても消滅させておかないと、未来の彼等は手がつけられない。今の内に…」

独り言を淡々と呟いていると、背後から殺気を感じた。

ビュンッ!

またしても、ギリギリのところで回避した。

「今のは…あの学生の子の剣じゃない。何だ?」

粉煙は刻一刻と晴れてくる、殺気の正体はサーラだった。

その右腕には透明な剣を握っていた。

「驚いたね、まだ動けるのかい?」

慧はサーラに問いた。

その言葉を聞いた途端、サーラは全身に痛みが走った。

「フッ、まだやられはしないさ、お前を倒すまではな」

精一杯強がってみせるが、疲労と、気の過剰な消費が影響した彼女はうまく力を使えていなかった。

その証拠に、透明な剣の正体が露わになる。

「へえ、ビームサーベルかい。なかなか無茶なモノを不可視させてるんだね」

見破れた事を言われてからサーラも気付いた。

サーラ自身、自分の力がこれほどまで弱っていることは全く気付かなかった。

心の中で誤算という言葉が響く

「わかっているとは思うけど、君と僕は敵だ。手加減は…しないよ」

恐怖を味わわせる様に、黒い感情を総帥に向けた。

死を招く者、彗星が浮きながらも、高速で向かってくる。

「正々堂々とだけは行こうじゃない!パルスカッター!」

修道服のポケットから小さな金属棒を取り出したかと思うと、薄緑色の発光体が80cmほど伸びる。

パルス性の切断系武器、切れ味はビームサーベルよりも劣るが、柄が軽い為、瞬間的な攻撃回数は多くなる。

だが、力量不足と予想すると…

サーラは慧の弱点を見極めた。

「その分だと、お前は力が弱いようだな」

思い切って、その言葉を放ってみる。

すると僅かだが、慧の表情が焦りを生んだ。

「だったらなんだって言うんだい」

慧が視界から消える。

サーラの状態があってか、ギリギリみえるくらいだった。

(速い!)

気を研ぎ澄まして、向かってくる少年に狙いをすました。

「そこだ!」

力を目一杯込め、刃を振り下ろす。

ドゴーッ!!

頑丈な床でさえも砕く、気と握力で威力を増した光の剣は、サーラの十八番だった。

だが、慧には当たっていなかった。

「ハズレ、君の力も大したことはないね」

不思議な事に、捉えたはずのモノは人形だった。

「まさか、これは!?」

「そう、“僕”さ」

シモベ…現代の技術では、不可能と考えられている無人思考型サイボーグ、僕。

未来では、その使用法が的確に認められ、扱いが簡易的にされている。

「君に、彼等の相手は務まるかな?」

慧の腕からいくつもの小さな、人形が放り出されていく

それは忽ち、人間のサイズくらいにまで大きくなり、直立する。

「良い実験となりそうだよ。さあ、いけ!!」

慧の合図とともに、僕は地を進んでいく。

「卑怯者め!」

サーラは先ほどの約束が全くの嘘だったと確信し、闘気を濃くした。

「何とでも言うがいい。戦争に戦略も、攻略法も無いんだよ」

慧は、さらっと行ってみせた。

サイボーグの集団、僕の数は大凡十体以上。

しかし、いくら思考性といっても、未来の技術も大したものではないようだった。

動きが単調すぎる、これでは最早、的にしかならない。

(だが、注意は必要だな…ここは一つ、アレを使うか)

サーラの足元に亀裂ができる。

そして、じっと待機し、僕を待ち構えた。

ガシッ!ガシッ!っと、ゆっくりと近付く僕、両腕からは、鎌上の刃が手の平から現れ、刃が親指の様にして、腕を形作っていた。

親指以外の指からも爪が、伸び、黒光りする。

そして、あと僅かに迫ると…

ザシュッ!ザシュザシュザシュ!!!

驚異的な速さで、襲いかかる。

攻撃に入る体勢はすごまじいほど早かった。

まるで、好機を伺う蟷螂の様に、その速さは音速を超える程

(コイツ等のプログラムは僕流に制御している。まさか、このような作りだとは奴も気づくまい)

不敵に浮かべる笑みと、あっさりと殺めた僕に施したプログラムシステムに、慧は満足気だった。

「サーラ、残念だけど、正々堂々なんて、そんな馬鹿正直な事をしていても、無駄なんだよ。所詮は見直す為に一度は逝く道。生まれ変わったら今度は卑怯に生きなきゃダメだよ」

捨て台詞を残し、曼珠沙華を作り出すと、亀裂のある血まみれの床に供えた。

「さようなら、コンプレクシティ総帥」

そういって、背を向けた瞬間!

ドスッ!

その背に、活電気を帯びた御剣が刺さった。

「地球人、めい・・かつ・き…」

慧は振り返らず、その剣の特性だけで、後ろにいる者が誰なのかを当てた。

ブシュッ!

御剣を勢いよく抜く、血が吹き出、慧はバタリと倒れた。

「卑怯だと…それ以前にお前は能力者のクズだよ。馬鹿野郎!」

渾身の怒りをぶつける様に、勝輝はその者を見下した。

「卑怯なのは…き・・み・うっ・あ・・」

苦しむ慧に、容赦のない一撃を与えた。

感電と、重傷によって、慧は、奇怪な姿で事切れた。

「愚かなヤツ…死んで当然だ」

叡智が開眼している状態、勝輝は今や、勝輝ではなかった。

「サーラ、いるんだろ?でてこいよ」

放電する剣を消滅させると、亀裂が走っているところから、かなり離れたところにサーラが現れた。

同時に亀裂を取り囲むようにして覆っていた僕の群れは、亀裂から出現した、黒い光に吸収されていった。

「ようやく覚醒したようだな、勝輝」

サーラは一声かけるが、あの僕を吸い込んでいった、黒い球体が気になるようだ。

「ブラックホールシェル、私の能力の一つさ」

気になるモードが解除され、勝輝がサーラの方を向く

「これで、隕石は消えたか?」

「恐らくな…漸く、地球に帰れる」

サーラと勝輝は息団欒としていたが、二人に声が聞こえたと思った時、既に予感は的中していた。

「いや、まだ全ては終わってはいないよ」

突然聞こえてきた声に、二人は構えを取る。

聞き覚えはある、しかし姿は捉えられない。

「黒葉!どこにいる!?」

サーラは血眼になるようにして、あたりを瞬間、集中的に見回す。

「傍観経路を見てごらん」

その声に、従い勝輝とサーラは忽ち、指示された場所へと向かった。


傍観経路 東水晶光景図

「こ、これは!?」

「どういうことだ!!」

サーラと勝輝は息を合わせるように、それを見ていった。

隕石は消滅していない!

そう、ここからが本番スタートへの、入口だった。


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