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第7話 幼なじみとクラス代表

「うぅ、酷い目にあった。何だったんださっきのは…………」


 編集初日にクラスメイトに処刑される高校生なんて中々いないんじゃないだろうか? それにしても、凄い廊下の風景だ。PSI能力者は、その特異な能力故に髪や眼の色素が変化する場合が多いとは言うが、碧眼や銀髪などのの少年少女が闊歩しているのは異様な光景だ。


 とは言っても、僕だって日本人なのに眼が藍色――ダークブルーのほうが近いかも知れない――の瞳だし、隣の席の女子だって髪がペールブルーだった。


 と、僕はそこまで考えたところで何か引っかかった。髪が水色? 確か知り合いにそんな子がいたような……。ぶつぶつとつぶやいているとさっき僕を処刑した悠翔ゆうとが話しかけてきた。


「おい颯眞そうま、生徒会長が呼んでたぞ」


 さっきの出来事が無かったように話しかけてくる悠翔を見て、僕は少しだけほっとした。まださっきの処刑のことを引きずっていたらここでもう一度殺られるだろう。不満もあるが、身の安全には変えられないだろう。


「僕を? わかった、すぐ行くよ」


 簡潔に答えて悠翔の脇を抜け、生徒会室に向かおうとすると、悠翔がぼそっとつぶやいた。


「……処刑はまだ始まったばかりだ…………」


 僕はこの言葉が空耳だったことを祈るばかりだ。


*-*-*


「失礼しまーす」


 生徒会室の扉を開け、中に入るとそこには隣の席に座っていた少女の姿があった。ちらりとこちらを振り返った彼女の顔に張り付いていたのは、不快感丸出しの表情だった。僕って、もはや存在だけで不快ですか?


「やぁ颯眞君、来たね。やっとそろったよ」


「早くして下さい」


「まぁまぁエルメリア君、そんな怖い顔をって、颯眞君も何で僕をにらむんだい?」


 まったく心外だよと言った風に首をわざとらしくかしげる会長を見て、この場にいること自体がめんどくさくなってきた。僕は明日からこの先輩に敬称を付けることが出来るんだろうか?


「今回は、二人にちょっとしたお願い事があるんだ」


「「お断りします」」


 見事に声がそろった。お互いに顔を見合わせ、エルメリアが不快そうに顔をそらす。グサァッ! 神崎颯眞の精神に5000のダメージ。


「まだ何も言ってないんだけどね」


「会長、あなたが僕にこの数日間でどれだけの不幸と禍根と災厄をもたらしたと思っているんですか?」


「心外だよ、高級マンションを提供してあげたじゃないですか」


「庶民の僕はそれだけで死にそうですけどね」


 恨みがましい目線を向ける。すると、あろう事か会長は僕を無視してエルメリアに話しかけた。


「で、エルメリア君はどうして反対なんだい?」


「そもそもなんでこいつと何ですか?」


 質問を質問で返すエルメリア。ここまで不快感丸出しで不満を言われた僕は、すでに自殺願望者の半歩手前まできていた。


「なんでって、君と颯眞君は旧知の仲だろう?」


 は? この人と僕が知り合いだって? 何言ってるんだ会長は、ジョークならもっと信じられるようなことを言ってくれないと。


 そう思っていると、エルメリアが「どうしてそれをしってるの!?」みたいな顔をしていた。


「え、これは二人で僕をはめようとしてるんですよね? どうせ『そうだったー』とか言ったらビックリカメラが出てくるんですよね?」


 ひたすら否定し続けていると、隣のエルメリアがわなわなと震えていた。僕の第六感が正しければ殺気のような物が全身から放射されている。しかも、髪が帯電しているのか白く発光し、風もないのになびいている。


「アンタ、ここまで来ても思い出さないとは……。頭を一度強打したら思い出すかしら」


「あの~エルメリアさん? 人間はそんな白黒テレビを直すような方法じゃ治りませんよ?」


 そこまで話したところでエルメリアの右手が霞む。直後、僕は正体不明の衝撃とともに僕は宙を舞っていた。そこで、凄い既視感デジャブ襲われる。ああ、前にもこんな事があったなぁ~。




「颯眞、逃げるな! 私に殴られなさい!!」


「許してよエル、わざとじゃないんだってバァ!?」




 うん、彼女の名前はエルメリア=フランポート。両親ともにイギリス出身だが、日本国籍を取得していたはずだ。完全とは行かないまでも記憶を取り戻したが、やっぱり封印しておこう。小さい頃から殴られていたなんて信じたくもない。


「思い出した? 颯眞」


 笑顔で拳を固めながら聞いてくる。これを存ぜぬで通したら、120%夜はお通夜だろう、僕の。


「お、思い出したよエル、だからもう殴らないで!」


 昔のあだ名で呼ぶと、それで気が済んだのかうんうんとエルがうなずいている。確かに、エルは小学校を卒業すると同時にPSI能力者としてこの学園に来ていたはずだ。


「それにしてもまさか颯眞がこの星城学園に来るなんてね」


 心なしか、少し嬉しそうだ。さっきとは打って変わった様子に安堵よりも先に警戒心が走る。


「私のサンドバッグが手元に戻ってくるなんて」


「失礼しましたぁ!!」


 猛ダッシュでその場から緊急離脱しようとすると、襟首を捕まれた。恐る恐る振り返ると、こんな状況ではなければ思わずデジカメを取り出してしまうほどの笑顔でエルが僕に絶望をもたらした。


「どこに行くの? 私のSBサンドバッグ


 ついに訳されてしまった。僕の名前が呼ばれないどころかサンドバッグという名称すらも訳されてしまった。


「エルの中じゃ、僕はどんな扱いなの?」


 おびえながらも聞く。どうしても気になったからだ。彼女はしばらくうーんと迷った後、僕に自殺を決意させた言葉を告げた。


「クズ以上奴隷未満って感じかな」


「生きててすいませんでした!!」


 そう叫んで窓から飛び降りるために窓際に突撃する。途中、会長が「あ、颯眞君その窓は……」などと言っていたが、関係ない。止めないで下さい! もう来世にすべてを賭けます。


「強化ガラスだから割れないよ」


 ガンッ! バタ。あれ、何でだろう。肉体的には生きているのに精神的に終わった気がする。


「うわ~それは私でも恥ずかしいわ~」


「もう殺してよ! いっそひと思いに……」


 そんなことをつぶやいていた僕には、この状況が鬼畜以外の何でもなかった。


「さて、感動の再会も終わったことだしそろそろ提案を……」


「あなたにはこれが感動の再会に見えますか!? サンドバッグという名のクズ扱いされた上に自殺しようとして強化ガラスに阻まれるというこの状況が!?」


「まぁ、クズだというのは事実だし……」


 エルから酷い扱い受けているが、この際は反論しないでおこう。いまはそんなことより会長の返答が重要だ。


「まぁそんなことより提案を聞いてくれないかい? 作者がさっきから『字数が多いんじゃボケェ!』って五月蠅いんだ」


「作者が出てくるなんてこの小説何なんですか?」


「ギャグだから関係ないってさ」


「はぁ、もういいです。で、提案って何ですか?」


 諦めて切り出す。なぜならこの作者、ほかのギャグ小説でキャラを何回か消滅させているからだ。しかも理由が、作者に刃向かったからという糞どうでも言い理由……


≪死にたいか? ゴミクズが≫


 すいませんでしたぁー! 心の底から謝罪いたします! 神の声(作者)が聞こえてきた。これ以上作者の話をしていると墓穴を掘りそうなので会長の話に乗っておく。


「提案ってのはね、君達に今度の『クラス対抗武芸大会』のクラス代表に立候補してほしいんだ」


「「イヤです」」


「まぁまぁそんなこと言わずに頼むよ」


「どうして僕たちじゃないといけないんですか?」


 クラス代表程度だったら、他の生徒でもいいじゃないか。どうして僕が……。


「それが、対戦相手が3組なんだよ」


「だからなに?」


 エルはもう敬語を使う気はないようだ。


「3組は…………リア充が異常に多いことで有名なんだ」


「ああ、3組の代表は確実に死にますね」


「だから頼むよ」


「大丈夫ですよ。あのクラスメイトならうまくってくれますよ」


「いや、それじゃだめなんだけどね」


 呆れたように会長が告げる。僕が代表? よし、なら僕が3組代表てきってやろうじゃないか。


「クラス代表は3人だけど後1人は?」


「桐ヶ谷君だよ。彼は優秀だからね」


 心の中で殲滅を誓う雄叫びを上げながら血祭りに上げる方法を考える。編入初日の僕が勘違いであんな眼にあったんだ、本当にリア充な奴らは死刑でも文句はあるまい。


「わかりました。僕とエルと悠翔で代表を務めます」


「頼んだよ」


「任せて下さい。まとめて奴らを逝かせてやりますよ」

感想、評価お待ちしております!! 哀れな作者に慈悲の評価を!

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