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第1話 「特異系」能力

「あの~、一体どうなってるんですか?」


 僕の頭は非常に混乱していた。


 辺りを、研究員達が走り回っている。みんな、酷く興奮しているようで、落ち着きが無いどころか配線で躓く人までいる。


 聞こえていなかったようなので、もう一度聞いてみる。


「なんで、そんなに慌てているんですか?」


 今度は聞こえたようで目の前にいた自分よりも二歳ほど年上のの研究員――確か名前は楠木くすのき 優一ゆういちといったはずだ――が振り返ったが、彼も興奮しているのか早口にまくし立てる。


「君の検査結果の所為だよ! PSI能力は通常『武装系』と『能力系』、そして『強化系』の3つの分かれるんだ。

PSI能力者の生体電流には必ず3つのパターンのどれかが確認されるんだが、君の生体電流にはその3つのパターンがすべて当てはまらないんだ」


「それは僕が能力者では無いだけじゃないんですか?」


 当然の疑問だと思ったが、優一は呆れたように首を振った。


「それはあり得ないよ。君には生体電流とは別のPLSパルスと呼ばれるエネルギーの流れがある。それはPSI能力者にしか流れていないんだ」


「じゃあ、僕は何なんですか?」


「それが解らないからみんな慌てているんだよ。まぁ、今は取りあえず君の能力の系統を『特異系』と仮定しているけど、これからどうなる事やら……」


 最後の言葉を聞くと、少し寒気がしてきた。いったい何が起こるんだろうか?


 だが、彼の言葉はまだ終わっていなかったようだ。思い出したように言葉を続ける。


「みんな君の能力の系統ばかりに気を取られているけど、君の能力のランクは「S」だ。かなり希少だよ」


「そうなんですか!?」


 そう驚いた後、思ったことを口にする。


「で、ランクって何ですか?」


 ドーン! と、その場で優一が盛大にこける。


「何も知らないならなんで驚いたりしたのかい?」


「いや、その場のノリで……」


 ジト~と生暖かい視線が突き刺さる。何か微妙にへこむ。


 が、気持ちを切り替えたのか解説をしてくれた。


「ランクというのは、そのレベル内でどれくらいの強さかと言うことだよ。君はまだ能力が覚醒していないからレベル0(ゼロ)。そして君はレベル0の中ではトップクラスの実力を持っていると言うことだよ」


「はぁ、それって凄いんですか?」


「凄いよ。Sランクって言ったら将来かなり有望だよ?」


 よく分からないが、取りあえず凄いのだろう。そう結論づけてどうにか気持ちを切り替えた。が、次の瞬間に頭が真っ白になった。


「ああ、それと君は星城学園への編入が決まったから」


 は? 今なんか言いましたか? 状況が飲み込めない。だが、問答無用で話は続く。


「君には取りあえずマンションの一室が与えられるから、今のボロアパートは解約していいよ」


 ボロって言うな! 取りあえずこことの中でつっこんでみるものの、状況が変わるわけがない。


「あの、僕の意思とかどうなるんですか?」


 すると、優一は何を言っているのか解らないと言った様子で首をかしげた。


「そんなの聞いてもらえると思ってるのかい?」


 盛大にため息をつきたい気分だ。そこで優一が思い出したように言った。


「そういえば、今日は始業式だから、もう行かないと。颯真君、また今度」


 いやです。そう答えたかったが、何とかこらえた。優一は小走りで去っていった。

 

 ふと周りを見渡してみると、研究員達が一斉に顔を背ける。


「あの、どうしたんす……」


「ひいっ、殺さないで!」


 近くにライオンでもいたのだろうか?気を取り直して他の研究員に話しかけてみる。


「すみま……」


「い、命だけはぁぁあ!!」


 土下座されてしまいました。微妙に、いやかなり傷つくなこれ。とそこで、研究所の所長とおぼしき人が焦ったように指示を出す。


「おい、お前等! 早く飲み物をもってこねぇか!! 惨殺されるぞ!!」


 しませんよ。


「は、はい! 少々お待ち下さい!!」


 なんか心が折れそうです。普通の人間として扱って欲しいなぁ。


 職員が水を持ってくる。顔面蒼白だ。


「た、ただ今お持ちしました!!」


 取りあえず受け取っておく。ああ、寂しいな。


 所長が僕に向かってぺこぺこしながら話しかけてくる。


「颯真君、取りあえず君の育成費用は¥¥¥億円くらいあるから、安心していいよ」


 取りあえずそのお金政府に返してきて下さい。


 僕のむなしい願いが叶うはずもなく事態は進んでいく。これからどうなるんだろうか?

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