第10話 奇跡
「あのときは、なんでもやり直せるって思ったんだけどなぁ。」
僕は、眠っている奈津の隣で思い出していた。
「さ、帰るか。」
僕は、病室を出ようとした瞬間なにか聞こえた。
「修司・・・・?」
「!!!」
僕は、振り向く。
そこには、眠っていたはずの奈津が起き上がっている。
「・・・奈津?」
「ん?どうしたの?」
久々の優しい声。
「奈津!!!!」
僕は、あまりにもいきなりのことで覚えていないけど僕は奈津を抱きしめていた。
「どうしたの?なんで・・・ここにいるの?」
奈津も驚いていたらしい。
「いいから・・・・黙ってて。」
僕は、奈津の唇をあわせる。
もう、何年前かにやってそれ以来キスは1度もしていなかった。
なつかしい奈津とのキス。甘くて、優しくて、落ち着く。
「あ・・・・。」
奈津は、自分のおなかにさわり思い出した。
「赤ちゃんは・・・・?」
記憶は、あのときのままのようだ。
「僕の家にいるよ。」
「今すぐ逢いたい!!!」
奈津のハニカム笑顔は本当に久々だった。
「じゃあ、行こう!!」
僕は、奈津の手をとり並んで歩いた。
「ここは?」
奈津はわからないらしい。
「宮古島。」
僕はお久しぶりの奈津の感触に照れていた。
「ええ??宮古島??ずいぶん遠くまで逃げてこれたんだね。」
「うん。大変だったんだよ?」
僕達は、手を繋ぎ、浜辺を歩く。
「うわぁー!きれい!」
奈津は、海とたわむれている。
そうゆう姿はまだ本当に子どもだった。
だって・・・まだ17歳なんだから。
「ねぇ、あかちゃんなんていうの?」
奈津は赤ちゃんの名前を知りたがった。
「名前は、ゆず。」
「そんな名前にしたっけ?」
奈津は覚えがないらしい。
「うん・・・奈津は頑張ってたよ。」
ー14の春ー
「ただいま!!」
奈津は大きなおなかで帰ってくる。
「よ!!!」
雅人も遊びに来たらしい。
「お!雅人!!お久しぶり。」
「どうして、俺に言わねんだよ!力貸したのに・・・。」
雅人はぜんぜん学校に行かなくなった俺達を心配した。
「でも・・・こうゆうことだったとは・・・。」
雅人も初めて知ったときは驚いていた。
「悪りィ。」
僕は、笑ってみせた。
「でもさぁ、どうすんの?お前らの親、まぢにカンカンだぜ!昨日、行ったらそんなの子
うちにはいませんだってさ。」
雅人は、そこで奈津のおばあちゃんの景子さんのところに行ったらしい。
「雅人くん・・・このことは誰にも言わないでね。」
奈津は心配そうにする。
「だいじょうぶ!!俺、この口がさけても言わないよ!!」
すごく雅人の存在がわかった。
ありがとう・・・雅人。