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脳内間軍事ネットワーク


 2111/05/23 08:15:45 <B.M.I network communication>

ONLINE:<blackshall>

    TO:<honron>

 

 ――……ウィザードは対象者と一緒に逃亡、その後消失か。

 ブラックシェルは脳内で呟いていた。

 ブラックシェルと紅龍のマージおよびクレイマトンは、オンラインでマージのBMI機能を利用した、脳内間軍事ネットワークを形成していた。互いにリアルタイムでチェックし、双方向通信を行っている。

 システムを通し、ブラックシェルはクレイマトンがクラッシュするまで戦闘の一部始終を見ていた。

 ――……申し訳ありません。

 紅龍は謝罪する。

 脳内通信による情報交換と脳内チャットである。

 ――光学剣に、W-二三ソフトの使用……か。海賊版か……?

 ――分りません。ですがおそらくオリジナルかと……。

 ――W-二三……通称<サージ・ブリンガー>、特定圏内のナノマシンの複製機能を崩壊させ、ECM現象を起こし、行動不能に陥らせる。追手を振り切る為に、ウィザードが使う軍事戦闘ソフトだ。 

 マージが記録していた戦闘時の様子を解析した得られた結果だった。 

 引き起こされたECM現象はマーカーや追尾機能を破壊し、短時間使用不可能になる。

 ――マージと思われる姿も見えました。

 エレメントのクラッシュによる局地的ジャミングが発生し、また追跡用のクレイマトンを失った紅龍が二人を追う事が出来なかった。

 ――サージ・ブリンガーやマージは、マニアやおたく(ギーグ)が扱うシロモノじゃない……。まさか、あんなガキがウィザードとはな……。ユーティリティ・フォグをあそこまで組み替えるとは、ナノテク・キッズ蔓延る世界有数のナノテク都市……か。

 ――我々と同じPMC所属のウィザードということですか……?

 紅龍はブラックシェルに尋ねた。

 ――問題なのはプロの我々が、ガキに言いようにあしらわれたということだ。

 ――探索用のセンサーを強化したタイプだった為、戦闘能力に特化したタイプならば……。

 ――言い訳はいい。

 にべもないブラックシェルに対し、紅龍は一瞬言葉を飲み込む。紅龍の悔しがる感情の波が、ブラックシェルにバイブレーションとして伝わってきた。

 ――……現在、独立行動型の別のクレイマトンがウィザードを追尾しています。相手に気づかれないよう、相互通信を切った状態ですが、もう少しで情報が送られてきます。それまでお待ちを……。


 2111/05/23 08:24:30 <B.M.I network communication>

 >>>> OFFLINE


 脳内ネットワーク通信が終わると、ブラックシェルは眼を開いた。

「会話は終わったか……?」

 田宮が自分のデスクから尋ねてきた。

「ああ」

 ブラックシェルはソファーから身を起こす。

 田宮の社長室だった。

「見つけておきながら、まさか逃げられるとはな……」

 ブラックシェルはジロリと支社長を見る。

「収穫がないわけではない」

「…………」 

「シンカーがウィザードを探していたということは、マージの分離およびデータの抽出あるいは消却が目的であるのは間違いないだろう」

 田宮はブラックシェルの言葉に鼻を鳴らす。

「……それよりも対象者を助けたウィザードの詳細を調べろ。データを渡す……お宅ら向きの仕事だろう……?」

 悠然と構えるブラックシェルを、田宮は無言で睨みつけていた。

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