9.エイドスの光
東の森を後にした六人は、北の山脈へと向かって荒野を踏み越えていた。「北の山脈がエイドスの核の眠る場所よ。私たちの戦いがここで決まるんだ」と彼女が静かに語った。
「決着か。俺の剣がそれを望んでる気がする」とレオンが呟く。
「最後って響き、ちょっと寂しいな。俺、みんなともっと冒険したいぜ」彼の声には旅への愛着が溢れ、仲間への親しみがにじみ出ていた。
「でも、派手に締めくくるのも悪くねえよな」と彼が笑った。
「ねえ、山ってどんな感じかな?頂上に着いたら何が見えるんだろ?」カイの笑顔が明るく輝く。
「山なら私の風が活きるよ。お前たちを頂上まで導いてやるから、期待しな」とリナが笑みを浮かべる。
「最後まで戦うのは私も同じだ」とセフィラが呟く。
北の山脈に足を踏み入れたのは、数日後の朝だった。切り立った峰々が連なり、頂上には古い神殿がそびえ立っている。風が岩肌に当たって唸り、冷たい空気が六人を包んだ。ミリアの首飾りが光を放ち、神殿を指し示した。「ここよ。エイドスの核を再統合する場所...最後の戦いが待ってるんだ」と彼女が声を張った。風が彼女の髪を乱し、彼女に覚悟を刻んでいた。彼女は神殿を見上げ、首飾りの光を頼りに進んだ。
「やっとたどり着いたか。長い旅だったぜ。俺、最後まで楽しむよ」とガルドは頂上を見上げ、風に目を細めた。「頂上の景色、楽しみだな」と彼が呟く。
「僕、ちょっとドキドキするよ。頂上ってどんな場所かな?」カイが杖を手に笑い、彼の純粋さが仲間を和ませていた。「でも、みんなと一緒だからワクワクするよ!」と彼の笑顔が、山脈の冷たい空気の中で輝く光のようだった。
リナが笛を吹く。彼女の笛の音が、山に微かな響きを残した。
セフィラが短剣を構え、神殿を見据えた。彼女の勘が、山脈の静寂に潜む気配を捉えていた。
六人が神殿に近づくと、風が止まり、不気味な静けさが広がった。入り口を抜けると、広大なホールが現れた。中央には巨大な祭壇があり、四つの欠片が反応し、光を放った。だが、その前に黒翼団と帝国の兵士が待ち構えていた。黒翼団のリーダーが肩の傷を押さえ、「欠片か。ここで全部いただくぜ」と笑った。帝国の将軍が兵士を率いて進み、「セフィラ、裏切り者め。お前を許さん」と剣を構えた。風が彼らの鎧を鳴らし、不穏な空気を運んだ。
「私を許さなくていい。私はこいつらと共に未来を切り開く!」セフィラが短剣を構え、敵に目を向けた。彼女の声には迷いがなく、仲間への思いが彼女を支えていた。
「まとめて相手してやる。」レオンが剣を振り上げ、六人が一斉に構えた。
戦闘が始まった。
レオンの大剣が黒翼団の敵を切り裂き、一人の胸を貫き、二人の首を跳ねる。ガルドが短剣で素早く動き、三人の喉を突いた。ミリアが魔術で援護し、リナの風の刃が敵を切り裂いた。カイの子守が響き、欠片が輝きを増した。セフィラが帝国兵の急所を突き、将軍に迫った。「終わりだ!」彼女の一撃が将軍の喉を貫き、敵が崩れた。血の匂いが風に混じり、ホールの石床に滲んだ。
だが、その時、祭壇が揺れ、四つの欠片が融合し、エイドスの核が現れた。星詠みの民の声が響いた。「真実と向き合う時だ。過去の歪みを清め、未来を切り開け」と声が響き、風が唸りを上げた。
核の光が強まり、黒い霧が溢れ、巨大な影が現れた。顔のない闇の姿で、歪んだ剣を手に持つ。
「これがエイドスの闇だ。お前たちの絆と覚悟でこれを清める」と声が響いた。だが、その背後に守護者の幻影が現れ、レオンに語りかけた。「俺の剣を継ぐ者よ。最後の試練だ。エイドスの光を取り戻せ」と幻影が言い、風に目を細めた。
「こいつが最後か!終わらせてやる!」レオンが剣を振り、影に突進した。影の剣が彼を弾き、衝撃で後退させた。
六人が連携し、レオンの剣が影の胸を貫き、倒した。守護者の幻影が微笑み、「お前たちがエイドスの光だ」と消え、ホールに静寂が戻った。
エイドスの核が輝きを増し、光が爆発的に広がった。闇が消え、結晶が完成した。「やった....再統合できたわ」とミリアが微笑んだ。
「俺たちの勝ちだ!」ガルドが笑い、短剣を収めた。
「僕、嬉しいよ!みんなすごいね!」カイが杖を振って飛び跳ねた。
「私の剣が未来を切り開いた。お前たちのおかげだ」とセフィラが微笑んだ。
「絆と覚悟が試練を乗り越えたのか。俺たちの旅はここまでだな」とレオンが剣を背負い、光を見上げた。空が裂け、太陽が差し込んだ。