8.絆
だが、その時、レオンの剣が再び脈動し、守護者の幻影が現れた。星空の下で戦う男が、六人の前に立ち、「俺の剣を継ぐ者よ。絆だけじゃ足りない。覚悟を試す試練がこれだ」と告げた。幻影が剣を振り、森の地面が揺れ、巨大な魔獣が現れた。黒い鱗に覆われ、赤い目が光る竜のような姿だ。風が魔獣の咆哮を運び、森に響き渡った。
「何だこいつ!?俺の力を試すか」レオンが剣を振り、魔獣に突進した。鱗が刃を弾き、彼を吹き飛ばした。「硬い...一人じゃ無理だ!」と彼が叫び、風に目を細めた。
「私の風で動きを封じるよ!」リナが笛を吹き、
風の渦が魔獣を包んだ。魔獣が哮し、風を振り払ったが、彼女は諦めなかった。「お前たち、続けな!」と彼女が声を張り、風に髪をなびかせた。
「俺も行くぜ!」ガルドが短剣で魔獣の脚を狙い、素早く動き回った。爪が彼をかすめ、血が滲んだが、彼は笑った。「まだやれるぜ!」
「私たちの力を一つに!」ミリアが魔術を放ち、光が魔獣を弱らせた。彼女の声が森に響き、仲間を鼓舞した。「今よ!」と彼女が叫び、首飾りを握った。
「私が殺る」セフィラが短剣で応戦する。その動きは常人離れをしている。
「僕、みんなと一緒なら怖くないよ!」カイが子守唄を歌い、魔獣の動きが鈍った。六人が連携し、レオンの剣が魔獣の胸を貫き、倒した。
守護者の幻影が微笑み、「覚悟を証明したな」と消えた。風が静まり、森に安堵が広がった。
だが、その時、森の奥から笛の音が響いた。リナが顔をしかめ、「まずい、私の仲間だ!」と叫んだ。風が強まり、色鮮やかな布を纏った三人の風の民が現れた。リーダーらしき男が笛を手に持つと、「リナ、お前が欠片を渡さないから、俺たちが奪う。風の民の自由は、エイドスの力で守るんだ」と告げた。風が彼の布をはためかせ、彼に決然とした気配を与えていた。
「お前たちの自由は認めねえよ!」リナが笛を吹き、風の壁で追跡者を押さえつけた。「お前たちに渡さねえ!」と彼女が叫ぶ。
「裏切り者め!風の民の掟を破った報いだ!」男が笛を強く吹き、風の渦が六人を襲った。レオンが剣で渦を切り裂き、「お前らの争いに巻き込むな!」と叫んだ。ガルドが短剣で別の風の民を切りつけ、ミリアの魔術で援護した。カイの子守唄が風を乱し、セフィラが短剣で男の腕を突いた。
「絆を試す気なら、私が受けて立つよ!」リナが風の刃を放ち、六人の連携が風の民を圧倒した。男が膝をつき、「リナ...お前、変わったな」と呟き、仲間と共に森の奥へ消えた。風が彼らの足跡を消し、静寂が戻った。
「リナ、お前の仲間だったのか?」ガルドが短剣を収め、彼女を見た。
「昔はね。でも、私はお前たちを選んだよ。風の民の自由より、お前たちとの絆が大事だ」とリナが笛を手に持つと、笑みを浮かべた。彼女の瞳に、風の民としての新たな決意が宿っていた。
六人が森を出ようとした時、地面が揺れ、黒翼団の斥候が現れた。「お前たちが試練を越えたか....だが、ここで終わりだ」と呟き、彼が持つ結晶を地面に叩きつけた。森の地面が崩れ、六人が罠に落ちた。暗い穴の中で、彼らは目を覚ました。石壁に囲まれ、上部に光が漏れている。
「くそっ、罠かよ!油断したぜ」とガルドが短剣を手に持つと、壁を叩いた。風が穴に吹き込み、低い唸りを立てた。
「こんなところで終わる気はないわ」とミリアが首飾りを握り、光を放った。光が壁を照らし、出口を探した。
「僕、みんなと一緒なら怖くないよ!」カイが子守を歌い、光が強まった。風が彼の歌に共鳴し、穴に響き渡った。
「私の風で道を作るよ!」リナが笛を吹き、風が壁を削り、出口への道を切り開いた。彼女の笛の音が、穴に希望を運んだ。
「私が先に行く。お前たちをここから出す」とセフィラが短剣を手に持つと、壁を登り始めた。
だが、その時、彼女が呟いた。「昔、私も仲間を罠に落としたことがある。帝国の命令で...」彼女の声には悔恨が滲んでいた。
「帝国の命令か...」レオンが剣を手に彼女を見上げた。
セフィラが短剣を握り、光を放った。彼女が壁を登り切り、六人は森を出、東の森を後にした。「リナの言う通りだわ。絆が私たちを救った」とミリアが微笑んだ。
風がそよぎ、彼らの旅が新たな局面を迎えた。