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7.影

集落跡を出た六人は、東の森を目指して荒野を横切っていた。風が鋭く肌を切り、遠くの森の影が闇に揺れている。ミリアは首飾りを手に持つと、三つのエーテルの欠片が放つ柔らかな光を見つめた。これまでの旅の重みが、彼女に最終局面への覚悟を植え付けていた。「東の森に次の試練が待ってるわ。私たちの絆が試される時が来たんだ」と彼女が静かに語った。

レオンは自分の運命に立ち向かう意志を固めていた。「この剣が導くなら、俺は進むしかない」と彼が呟く。

「森か...動きやすい場所なら俺の出番だな。どんな敵でも一刺しで仕留めてやるぜ」とガルドが馬を操り、短剣を手に持つと軽く回した。彼の声には興奮が混じる。馬の首を軽く叩き、風が彼のマントを翻し、彼に活気を与えていた。

「ねえ、森ってどんなとこだろ?木がたくさんあって楽しそうだよ!」カイは目を輝かせた。

「森なら私の風が活きるよ。お前たちに遅れは取らないから安心しな」とリナが笛を手に持つと、短く吹いた。風が一瞬勢いを増し、五人の周りを渦巻いた。彼女の瞳には自が宿り、風の民としての力が感じられた。「私の力、見せてやるよ」と彼女が笑みを浮かべる。

「私が先陣を切る」とセフィラが馬を進め、短剣を手に持った。彼女の声には静かな威厳があり、帝国の将軍としての冷徹さが薄れていた。

東の森に足を踏み入れたのは、三日後の朝だった。枯れた木々が立ち並び、薄暗い霧が地面を這う不気味な場所だ。枝が風に擦れ合い、低い唸りが響き渡る。ミリアの首飾りが光を放ち、森の奥を指し示した。「ここよ。四つ目の欠片はこの森の中心にあるはず。気を引き締めて進もう」と彼女が声を張った。風が彼女のローブを揺らし、彼女に覚悟を刻んでいた。彼女は森の暗さに目を凝らし、首飾りの光を頼りに進んだ。

「この雰囲気、嫌いじゃねえぜ。黒翼団でも出てきやがったら、俺が一掃してやる」とガルドが馬を降り、短剣を手に持つと軽く笑った。彼は森の暗さに目を凝らし、足元の枯れ葉を踏んだ。

「こういう場所、俺の勘が冴えるんだよな」と彼が呟き、風に耳を傾けた。彼の軽快な動きが、霧に溶け込むようだった。

「僕、ちょっと緊張するよ。木の匂いって不思議だね」とカイが杖を手に森の中を見回し、小さく笑った。彼は枯れた木々の中にも何か生きている気配を感じていた。「でも、みんなと一緒だから平気だよ!」と彼が明るく言い、杖を握り直した。彼の笑顔が、霧の中で輝く光のようだった。

「私の風が霧を切り裂くよ」とリナが笛を吹き、風が霧をわずかに押し退けた。彼女の瞳が鋭く輝き、風の民としての力が森に響いた。「欠片が近い。私の笛がそう言ってるよ」と彼女が言い、風に目を細めた。彼女の笛の音が、森に微かな響きを残した。

「何か潜んでるなら、私が先に仕掛ける。お前たちは私の動きに合わせろ」とセフィラが短剣を構え、森の奥を見据えた。彼女の勘が、霧の中に潜む気配を捉えていた。彼女は静かに歩を進め、短剣を手に持つと微かに震えた。彼女の鋭い視線が、霧を貫くようだった。

六人が森の奥へ進むと、霧が濃くなり、視界が閉ざされた。ミリアの首飾りが道を照らし、その先に青い輝きが浮かんでいた。四つ目のエーテルの欠片だ。だが、その周囲に黒い霧が渦巻き、星詠みの民の声が響き渡った。「絆を試す試練が始まる。心の闇と向き合い、それを打ち破れ。さすれば、エイドスの力が目覚める」と声が響き、風が唸りを上げた。

声が消えると、霧が形を成し、六人の前に影が現れた。それぞれがレオン、ミリア、ガルド、カイ、リナ、セフィラの姿を模し、赤い瞳が不気味に光る。風が影を揺らし、森に不穏な空気を運んだ。

「偽物か...面倒だな」とレオンが剣を構えた。影のレオンが歪んだ笑みを浮かべ、「お前は孤独しか知らない。仲間なんかいらないよな」と囁いた。「孤独か...」レオンが剣を振り、影と激しくぶつかった。刃が火花を散らし、彼の肩が疼いた。影の言葉が心を揺さぶったが、彼は仲間を思い出し、力を振り絞った。

影のセフィラが短剣を手に近づき、「お前は裏切り者だ。過去の罪は消えない」と嘲った。「私の罪...」セフィラが影に突進し、短剣で応戦した。彼女の動きに迷いはなかった。

「お前は臆病者だ。逃げるしか能がない」と影のガルドが彼を挑発した。「俺は逃げない!お前らと一緒なら何でもできるぜ!」カルドが短剣で影の胸を突き、動きを封じた。彼の声には力が宿り、仲間への頼が彼を突き動かしていた。

「お前は無力だ。使命なんて果たせない」と影のミリアが魔術を放った。「私は仲間と共に未来を築くわ!」ミリアが光を放ち、影を押し返した。彼女の瞳に決意が燃え、星詠みの民の意志が彼女を支えた。

「お前は仲間だとは思われていない。自分の故郷に戻れ」と影のリナが笛を吹く。「ここが私の居場所だ」リナが負けじと笛を吹いた。

「お前はただのガキだ。何の役にも立たない」と影のカイが歪んだ子守唄を歌った。「僕、みんなと一緒なら強いよ!」カイが震える声で歌い、影の動きが鈍った。彼の純粋な歌声が、闇を切り裂く力となっていた。

「カイ、歌え!お前が俺たちを繋ぐんだ!」レオンが叫び、五人が一斉に反撃した。影が崩れ、霧が晴れ、四つ目の欠片が輝いた。「勝ったわ...

絆が試練を越えたんだ」とミリアが欠片を手にした。首飾りが共鳴し、光が森を満たした。

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