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21話 ゴースト退治

 夜の帳が降り、月明かりだけが暗い道を照らしていた。ヒバリとカイは郊外にある廃墟にやって来ていた。


 そこはかなりボロボロで、建築する際の基礎などが剥き出しになっていた。またそこは心霊スポットとしても有名で、周りを木で囲まれていて、深夜なのも相まって人気が全くなかった。


 辺りは静まりかえっていて、木の葉が風で擦れる音と、自分たちの足音しか聞こえなかった。静かすぎて、生唾を飲み込む音すらも大きく感じた。


 ヒバリとカイは肝試しに来たわけではなかった。二人はここに取り憑いたゴースト退治のアルバイトに来ていたのだ。


「雰囲気あるねー」


「そ、そうですね」


 ズンズンと進むヒバリに歩調を合わせながら、カイは隣を歩いた。


 ゴーストに限らず危険の少ない、しかし害のある怪物の退治は魔法使いのアルバイトとして人気だった。


 今回二人はここに取り憑く悪霊を除霊するのが仕事だった。ここに肝試しきた人が、悪霊によって体に不調をきたしたり、幽霊に精気を吸われ病院に搬送されたりしていた。


 ヒバリはこの求人を見つけて、すぐにカイに連絡した。しかしヒバリの目的はアルバイトの報酬ではなかった。


 ヒバリはカイの触手を実戦で訓練しようと考えたのだ。未だ不安定な触手を使い慣れるために、このアルバイトはちょうど良かった。


 人間が相手だと危険があるため、すでに死んでいるゴーストを実験台に選んだのだ。ゴースト相手なら気兼ねなく触手を使えると、ヒバリは考えたのだ。


「あれから触手は出てきた?」


「いえ、一度も出てきてないです」


「そっかー」


 触手の主であるギルバートはあれから一度も現れず、沈黙を貫いていた。


 触手を自分で制御できるようにしなければ、日常生活に支障をきたす。そのため、カイは何としても触手の使い方を覚えようとしていた。


 二人が意気込んで廊下を廃墟の廊下を歩いていると、背筋に悪寒が走った。ゴーストが近くにいる証拠だった。


 すると廊下の奥、角から白い手が伸びていた。病的なまでに白い手は不気味だった。白い手はまるで二人を誘うかのように手招きしていた。


 肝試しに来た人ならば悲鳴を上げて逃げるところだが、魔法使いである二人は違った。二人は杖を抜くと、白い手の方に向かって行った。


 白い手に招かれるまま廃墟を進んでいくと、大きな部屋に辿り着いた。二人がその部屋に足を踏み入れると、扉が独りでに閉まった。


 ヒバリとカイは閉じ込められたのだ。そして二人の目の前にゴーストが姿を現した。放置された家具の後ろから白い手が伸びてきた。


 そして時間を掛けて、ゴーストは全身を露わにした。ゴーストは白い死に装束を着ていた。また目玉があるはずの眼窩は空洞になっていた。


 ゴーストの手足はあらぬ方向に曲がっており、異形な姿だった。そんなゴーストに二人は本能的に背筋が凍った。


 そしてゴーストは床を這って、ゆっくり二人に近づいて来た。


「若夏くん、触手出せそう?」


「ムリそうです……」


 ヒバリはカイに触手を出せるか確認した。しかしカイは触手を出せなかった。まだ自分の意思では操ることが出来ないのだ。


「そっか、なら普通に祓っちゃうよ!」


 そう言うとヒバリはゴーストに杖を向けた。


「『魂送』!」


 杖の先からゴーストに向かって、聖なる光が照射された。光を浴びたゴーストはうめき声を上げた。ゴーストにとってこの聖なる光は天敵だった。


「少し我慢してね」


 そしてヒバリはゴーストに光を当て続けた。するとゴーストは粒子となって消えていった。


「これで終わりかな?」


 ゴーストを成仏させたヒバリはそれで終わりだと思った。


「いえ、まだみたいです」


 しかしゴーストは一匹ではなかった。ゴーストはわらわらと物の影から現れた。


「祓い甲斐があるわね!」


 そう言うとヒバリとカイは呪文を唱えて、次々とゴーストを除霊していった。そして最後の一匹が消えると、辺りを静寂が包んだ。


 寒気も収まり、空気が澄んでいくのを二人は感じた。二人は少し疲れた様子だった。息を少し切らしていた。


 大量のゴーストを祓うのに、そこそこの魔力を使ったためだ。


「終わったし、帰ろっか」


「はい」


 ゴースト退治が終わったヒバリとカイは、また長い廊下を出口に向かって歩いていた。


「バイト代は、後で確認が終わったら払われるってさ」


 バイト代は業者がゴーストが全て祓われたのを確認してから払われる。


「バイト代が入ったらさ、またどっか遊びに行こうよ!」


「いいですね!」


 二人は今後の予定を話しながら歩いた。そして二人がある一室を通り過ぎようとしたとき、その部屋から一本の腕が伸びてきた。


 その腕は赤黒い紋様が走っていた。そして腕はカイの肩に置かれた。


 あまりに突然のことにカイは悲鳴を上げることすら出来なかった。驚いたカイは腕の伸びてきた方を見た。


 そこには黒いローブを着た男が立っていた。カイは男と目が合った。


「悪魔の触手、頂くぞ」

読んでいただきありがとうございます。

次回更新は2月9日の0時です。

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