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12話 告白

 魔術大会が終わり、週が明けた月曜日。すっかり生徒たちの興奮も収まり、後は夏休みを待つばかりだった。


 そんな中、カイは緊張しながら登校していた。魔術大会でヒバリにキスをされてからカイは、そのことを思い出しては顔を赤くしていた。


 魔術大会の後、ヒバリからは特に連絡はなかった。カイは自分から連絡するのは恥ずかしく、また何と連絡したらいいかわからなかった。


 そのため登校してヒバリに会うまで、キスの真意を聞くことが出来なかった。しかしヒバリはカイのことを好きと言っていた。


 カイはヒバリが好きと言ってくれたことを思い出しては、口元が緩んでしまっていた。


 そしてカイは緊張しながら教室の扉を開けた。するとカイを見たヒバリは嬉しそうな表情でカイに挨拶をしてきた。


「若夏くん! おはよう!」


「おはようございます!」


 ヒバリは挨拶の勢いそのままに、カイに抱きついた。ヒバリの大胆な行動に教室はどよめいた。


 クラスメイトの女子は黄色い声を上げ、男子は驚きと嫉妬の声を出していた。


「えー! 二人ともそういう関係だったんだ!」


 ヒバリの友達はカイに抱きつくヒバリを見て、二人が付き合っていると思った。それをヒバリは特に否定しなかった。


 一方で抱きつかれているカイは、嬉しさと困惑、そしてヒバリの柔らかい体の感触でキャパオーバーになっていた。


 カイは顔を真っ赤にして、何も言えなくなっていた。ヒバリは周りの視線を気にせずカイに抱きついたままだった。


 クラスメイトが困惑しながらも祝福していると予鈴が鳴った。そのためヒバリは一旦カイから離れた。


「若夏くん、また後でね!」


「は、はい」


 ヒバリから解放されたカイは席に向かった。しかしその動作は固く、まるで油を差していないロボットのようだった。


 そしてその後は移動教室が重なり、ヒバリと話す機会はなかなか訪れなかった。


 カイはヒバリに抱きつかれてから、ずっと呆然としており、授業の内容が全く頭に入っていなかった。


 そして昼休みになった。するとヒバリは我先にとカイの元へとやって来た。


「一緒にお昼食べよ!」


 そう言うとヒバリはカイの手を引っ張り、教室を出て行った。カイはヒバリの手の柔らかさにドキドキしていた。


 そしてヒバリとカイは中庭にやって来た。空いているベンチに二人は座った。


「教室だとゆっくり出来ないからね、こっちの方が落ち着くでしょ?」


 ヒバリはカイを気遣って中庭に連れ出してくれたのだ。ヒバリは弁当を広げて食べ始めた。しかしカイは一つの不安があった。


「あ、あの、本当に僕でいいんですか?」


「うん? 何が?」


 カイはヒバリに質問した。それに対してヒバリは何のこと、という反応をした。


「その、つ、付き合うのが僕なんかでいいのかなって……」


 カイはまだヒバリに好かれているという事実を飲み込めていなかった。一方でヒバリはそんな不安そうなカイとは対照的に、明るい笑顔をしていた。


「もう、気にしすぎだよー! キスまでした仲なのに!」


「で、でも、ちゃんと告白もしてないですし……」


「そう言えばそうだったね。両想いなのが嬉しくて忘れてた!」


 そう言うとヒバリはカイの方を向き、真剣な表情をした。いつも笑顔なヒバリの珍しい表情にカイはドキドキした。


「あたし若夏くんの事が好き。だから付き合って欲しいな」


 改めて面と向かって告白されたカイは、嬉しさと緊張でなかなか返答出来なかった。そんなカイをヒバリはじっと顔を見て、待ってくれていた。


「こ、こちらこそよろしくお願いします」


 やっとの思いでカイは告白に返事をした。カイの返事にヒバリは満面の笑みを浮かべた。一方でカイは耳まで真っ赤になっていた。


 ヒバリも表情には出なかったが、自分から告白するのは初めてだったため、少しだけ恥ずかしくなっていた。


 そしてヒバリはカイの手を取った。


「これからよろしくね、若夏くん」


「は、はい」


 ヒバリはカイの反応を可愛いと思った。そしてヒバリはその思いが溢れて、カイの頬にキスをした。


 カイは突然のキスにフリーズしてしまった。


「さ、早くお昼食べちゃお!」


 ヒバリはキスの恥ずかしさを誤魔化すように、弁当を食べ始めた。カイはたっぷり十分は固まったままだった。

読んでいただきありがとうございます。

次回更新は1月31日の0時です。

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