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11話 大きくなる存在

 あるときヒバリはカイとクラスメイトの男子の会話を聞く機会があった。ヒバリが教室に入ろうとしたら、偶然聞こえてきたのだ。


「てか、カイはヒバリちゃんのどんなところが好きなん?」


「そうだねー」


 ヒバリは盗み聞くつもりはなかったが、気になって聞き入ってしまった。カイが自分のことを好きなのは知っていたが、どこがそんなに好きなのか気になったのだ。


「最初は一目惚れだったんだけど、教室で楽しそうに話しているところを見て、明るい人だなって思って、それから周りの人も楽しそうなところも好きかな。あと、ポジティブな話題が多くて話してて楽しいし、そういうところも好きかな」


 赤裸々にヒバリの好きなところ語るカイに、クラスメイトの男子も、盗み聞いていたヒバリも驚いた。


 ヒバリは赤裸々なカイの告白に恥ずかしくなって、顔を赤くした。


(めっちゃあたしのこと好きじゃん!)


 ヒバリはカイの言葉に嬉しくなった。ヒバリはカイともっと仲良くなりたいと思った。そのためヒバリは午後の魔法薬学の授業で、カイにペアを組もうと誘った。


 カイは誘われたことに動揺したが、喜んでヒバリとペアを組んだ。カイはヒバリと組んで緊張している様子だった。


(ふふ、可愛い!)


 そんな様子のカイをヒバリは楽しく見つめた。


(若夏くん、めっちゃいいなー)


 ヒバリは素直で可愛らしい、そして健気なカイに惹かれ始めていた。ヒバリはカイともっと一緒にいたかった。


 そんなヒバリは一つのことを思い出した。魔術大会に出ないかと友達や担任に推薦されていたことを思い出したのだ。


 ヒバリは出るのは良かったが、ペアの相手をまだ探している途中だった。そこでヒバリはカイを魔術大会の対抗戦のペアにしようと思った。


 魔法薬学の授業が終わり、ヒバリとカイの二人は廊下を歩いていた。ヒバリは今がチャンスだと思い、カイに魔術大会のことを切り出した。


「今度の魔術大会に一緒に出ない?」


 突然の申し出に困惑するカイに、ヒバリは事情を説明した。カイの実力なら一緒に出ても大丈夫だと思ったという建前でカイを誘った。


 なかなか返答してこないカイに、ヒバリは必殺の上目遣いを使った。


「私と出るの、嫌?」


「い、嫌じゃないです! こちらこそよろしくお願いします!」


「それじゃあ、これからよろしくね!」


 カイから了承を得たヒバリは嬉しくなり、カイの手を握った。ごつごつとした男子の手に少しドキドキしたヒバリだった。


 そしてその後のホームルームでヒバリは、魔術大会の対抗戦にカイとペアで出場することが決まった。


(これで若夏くんと一緒にいられる!)


 ヒバリはカイと過ごす時間が長くなると内心で喜んでいた。そしてその日の放課後からヒバリはカイと特訓を始めた。


 見込み通りカイは筋が良く、ヒバリと一緒に魔術大会に出ても大丈夫なレベルだった。それからヒバリとカイは作戦を考えたり、特訓をしたりと一緒にいる時間が増えて、より仲良くなった。



          ※



 そして楽しい日々はあっという間に流れ、魔術大会の当日になった。緊張している様子のカイの手を握って、ヒバリはカイを励ました。


 ヒバリはこれまでの二人の努力の結果を見せつけようと、自信満々に校庭に歩いて行った。その後ろをカイは付いていった。


 そしてヒバリとカイの一回戦が始まった。ヒバリとカイは見事な連携を見せて順調に一回戦を突破した。


 勝利したヒバリは嬉しさからカイに抱きついた。カイは恥ずかしがって固まった。


(ちょっとスキンシップ過剰だったかな……)


 ヒバリの行動はカイには刺激が強すぎた。しかし今のヒバリの嬉しさを表現するにはそれがピッタリだった。


 そして続く二回戦も苦戦をしながらだが勝つことが出来た。カイに良いところを見せようと、上級攻撃魔法を使ったため、ヒバリは魔力がすっからかんになった。


 ヒバリは控え室に着くと、椅子に座って項垂れた。そしてカイにバッグから魔力回復の魔法薬を出して貰った。


 マズい魔法薬を何とか飲みきり、魔力を回復させたヒバリだったが、完全回復とまではいかなかった。


 そしてその状態でヒバリは決勝戦に挑んだ。ヒバリは試合が始まると同時に攻撃を撃ち、短期決戦にしようとした。


 しかし思うように試合は運ばず、長期戦になりヒバリは魔力切れになってしまった。そんなヒバリの前に入り、必死に守るカイ。


(どうにかしないと、このままじゃ負けちゃう……)


 焦りながら打開策を考えるヒバリは、一つのことを思いついた。それは粘膜接触による魔力補給だった。


 魔法使いは粘膜接触することで魔力を他者から補給できるのだ。少し恥ずかしさもあったが、覚悟を決めたヒバリはカイに質問をした。


「若夏くん、あたしのこと好き?」


「え!?」


 防御魔法が疎かになり、近くに魔法が着弾した。そしてちょうど良く二人を隠すように砂埃が舞った。


「あたしのこと、好き?」


「と、突然どうしたんですか!?」


「いいから、答えて」


 ヒバリは真剣な目でカイを見つめた。答えは知っていたがカイの口から直接聞きたかったのだ。


「す、好きです。大好きです」


「私も、若夏くんのことが好き」


 カイの答えを聞いたヒバリは、カイの頬に手を伸ばした。そしてカイにキスをした。キスをしたことでカイの豊富な魔力がヒバリの体に流れ込んできた。


 カイとの初めてのキスはとても美味しく感じられた。魔力補給は相手との相性が良ければ良いほど、美味しく感じるという噂があった。


(あたしたち相性ピッタリじゃん!)


 魔力の補給が終わり、ヒバリは唇を離した。好きな人とキスをすることが出来たことでヒバリは元気が戻った。


 そして魔力も回復したヒバリは、それから怒濤の攻めを見せた。相手はヒバリの攻撃に対応し切れず、戦闘不能になった。


 ヒバリとカイは見事に勝利を掴んだ。ただヒバリは優勝したことよりも、両思いだと確認出来たことの方が嬉しかった。


 こうして魔術大会の対抗戦は終わりを迎えたのだった。

読んでいただきありがとうございます。

次回更新は1月30日の0時です。

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