10話 第一印象
ヒバリは昔からよくモテた。光を反射して煌めく金髪に、均整の取れた顔のパーツ、高身長でスタイルも良く、誰もが目を奪われる存在だった。
ヒバリはそんな恵まれたルックスで、知らず知らずの内に異性を魅了してしまう。
カイも魅了された内の一人だった。
最初にヒバリがカイを認識したのはクラスにいるときだった。ヒバリが友達と話しているときに、カイが熱視線を送ってくるのに気付いたのだ。
ヒバリのカイの第一印象は大人しそうというものだった。
ヒバリはカイに限らず男子に視線を送られるのに慣れていた。自分の容姿が良いことを理解しているのだ。
ヒバリはカイのことを、自分の見た目が気になって見てくるだけだと思っていた。
しかし数日後、カイが登校して驚いた。見た目ががらりと変わっていたからだ。驚いたのはヒバリだけでなく、友達の女子生徒も驚いていた。
ボサボサの髪は短くスッキリし、眼鏡からコンタクトに変えたようだった。ヒバリは人の変化に敏感な方だが、カイの変化はヒバリじゃなくても気がつくレベルだった。
「若夏くんだっけ、意外と格好良いね」
「ね。ありだね」
クラスメイトの女子生徒はカイの変化を好意的に受け入れていた。
そしてそれからカイはボディメイクも行い始めて、どんどん格好良くなっていった。
「最近の若夏くん、良いよね」
「ねー。めっちゃ好みだわ」
クラスメイトの女子生徒はカイのことを気になり始めていた。それはヒバリもだった。カイはヒバリの好み通りに変わっていた。
「若夏くん、何であんなに変わったんだろうね。高校デビュー?」
「え、ヒバリ、知らないの!?」
ヒバリは友達からカイが見た目を変えた理由を聞いた。
「男子から聞いた話によるとね、ヒバリの好みを聞いて、それを目指して見た目を変えたらしいよ」
「え!? そうだったの!?」
カイの変化の真実を聞いたヒバリは驚いた。そしてヒバリはそれを聞いて、カイのことを健気だと思った。
ヒバリは今までもカイのような大人しそうな男子に好かれることはあった。しかしヒバリのために変わったのはカイが初めてだった。
ヒバリはカイのことが少し気になり始めていた。
(告白してきたら、付き合ってもいいかも)
しかしカイは切っ掛けが掴めず、告白どころか、ヒバリに話しかけることすら出来ていなかった。
その間にヒバリは色々な人から告白されて、付き合っては別れてを繰り返していた。
※
そんなある日、ヒバリは上級生の女子生徒から恨みを買い、決闘をすることになった。多数のギャラリーに見守られる中、ヒバリは魔法の実力を遺憾なく発揮した。
決闘はヒバリの圧勝で終わった。
しかし相手の女子生徒は往生際が悪く、卑怯にも背中を見せたヒバリに魔法を撃った。ヒバリは魔法が近寄っていることに気付いていなかった。
それをカイが身を挺して防いだ。カイは魔法が直撃し、大きく吹き飛ばされて壁に激突した。
ヒバリは最初何が起こったのかわからなかった。そして悲鳴が聞こえ、相手の女子生徒が取り押さえられているのを見て、不意打ちされたことに気付いた。
ヒバリはすぐに吹き飛ばされたカイに駆け寄った。そして守ってくれたのがカイだと気付いた。
「若夏くん、大丈夫!?」
ヒバリの声に反応はなかった。カイは気絶していた。
「いいから、運ぶぞ!」
ヒバリはハクロと一緒にカイを保健室に運んだ。
そして先生からの聞き取りが終わったヒバリはもう一度保健室に向かった。カイのお見舞いが目的だった。
ヒバリはお見舞いの品としてお菓子とジュースを持って行った。保健室に行くとカイは目を覚ましていた。
ヒバリはカイにお礼と謝罪をした。自分のことに巻き込んだのを謝りたかったのだ。カイはまったく気にしていなかった。
そしてヒバリはカイと少し会話をした。カイとまともに話すのは初めてだった。会話をしてみて、ヒバリはカイが誠実な人だとわかった。
会話を終えると、ヒバリは保健室を後にした。ヒバリの中でカイの存在が少しだけ大きくなっていた。
※
翌日から、ヒバリは自分からカイに話しかけるようになった。保健室にいて受けられなかった授業のノートを見せるという口実を活かして話しかけた。
ヒバリに話しかけられたカイは少し驚いていた。その様子をヒバリは可愛いと思った。そしてそれからヒバリはカイに積極的に話しかけるようになった。
挨拶から始まり、勉強についての質問、そして日常会話と着実に距離を詰めていった。
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次回更新は1月29日の0時です。




