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うわべの良さは自信あり

 最初に断っておく。

 これから書く話は自慢話なんかじゃない。

 どうしようもない事態に直面し、困惑している男の子の告白だ。悩み相談の手紙だと思って読んでくれ。

 交際している彼女のことで悩んでいる。

 おっと、そこのモテない弱者男性。舌打ちをしてページを閉じようとしているかもしれないけど、耐えてくれ。僕も弱者男性だから、その心境は分かる。恋人ができて喜んでいたら、まさか、彼女が! という話だから、君にも起こるかもしれないんだ。参考のために、読んでくれ。

 その彼女なんだけど、凄く美人でスタイルが良くて、正直「何でこんな子がマッチングアプリに登録したんだろ」と思ったんだ。

 でも彼女の説明を聞いて、納得した。

 偽装のための恋人が必要なんだとさ。

 何とかファミリーかよ! と思ったけど、スケールは僕の方が大きかった。

 彼女は宇宙刑事警察機構の特別捜査員で、地球に飛来する指名手配犯を捕らえる仕事をしているのだそうだ。規模は銀河系だ。ギャラクシー&セクシーだ(意味不明)。

 それで彼女が言うには、このビューティー&セクシーな外見は特殊な物質で出来た外皮とのことで、定期的に脱皮しなければならないのだそうだ。

 これが一人では大変らしい。前は相棒がいたけれど、産休に入ったので、困っている。そこで、偽装の恋人である僕に手伝ってほしい、とのことだ。

 お断りしたいけど、何しろ彼女の見た目は人間離れしているくらい素敵だ(人間ではないのだが)。頼まれると、断れない。

 それで僕は週に数回、彼女の脱皮を手伝っているのだが……皮の中身は、かなりグロい。皆が想像する十倍はグロい。彼女のルックスは、この世のものとは思えないけど、中身もこの世のものとは思えない。きつい。本当に気持ち悪い。

 でも、僕は彼女を愛してしまった。心の底から、彼女を愛している。

 もう離れられない……いや、それでも、あの本体は直視できない!

 僕のこの気持ちを誰か理解できるだろうか?

 谷崎潤一郎の小説『春琴抄』に登場する丁稚なら、僕の悩みに共感してくれるかもしれない。

 でも、あの選択はないよ……という感じで、僕は悩んでいるんだ。

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