1/3
ファンブル
○月✕日
後悔している。
数年前、彼の元を離れたことを。
本気の愛は重たくて、幼く無知な私には扱いきれなかった。
想いだけ過去に置いてきた私は、彼の面影を探してつまらない恋愛ごっこをしている。
無駄に大人になってしまった。
「本当に縁のある人はまたどこかで会える」と、チープな動画が縦長の画面で語っていた。簡単に騙される幼い私が、彼に会いたいと心の中で喚いている。
無理な話だ。
自ら望んで彼から離れ、彼以外を探してみたものの、いつの間にか彼の面影を探している。
彼に似た人を探し、彼に似たところを好きになり、彼と違うところに失望し、結局1人に戻る。
煙草を吸わない私の家に灰皿があるのは、探した面影達のせいである。




