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最後の眠りからどれだれの時間が経っただろうか


長かったような気もするし、短かったような気もする


俺は最初、目が覚めた時いつもの天井とは全く違う真っ白で何も無い世界に飛ばされていた事を知った。



『なるほどな、ここが天国か…やっぱり寝る前にガスの元栓を閉めなかったのが原因なのだろうか…』



そう、別に死ぬ事は俺にとってそう悲惨的なものでは無かった、遅かれ早かれいつかは来る物、むしろこのまま生きていても時間だけが過ぎていくような人生に今更未練など無かった。


自分の身体は今寝ている体勢…?なのだろうか


不思議と自分の体が見えない、が全てが終わりを迎えた事が分かったので起き上がろうと言う事自体やる気が起きなかった


このまま自分は永遠にこのままなのだろうか…


そして俺はもう一度、深い眠りについた







しばらくして俺は目が覚めた。


今度は凄く長かったような気がする


またしてもその目に映ったのは見知らぬ天井だった…


真っ白な傷一つ無い天井に、無数の人間の像が辺りに並び、赤色の絨毯じゅうたんが下に敷かれていた


自分は今まで仰向けになっていたはずなのに、気が付けば立ち上がり上を向いている状態になっていた


俺は何が何だか訳も分からなかった


その時、正面から見知らぬ声が自分に問いかけてきた


その声の正体は、黒色の神父のような男性だった



『転生者よ、あなたを今一度生者の世界に呼び戻した私をお許し下さい…私の名前はベリル、この村の神父を務めている者です…』



俺は何が何だか未だによく分からなかったがとりあえずその神父が言っている事を冷静に聞くのがベストと判断した、俺の長所はいつだって冷静に物事に対処する事だ…規格外の事が起こり過ぎて流石に頭が混乱しているが…混乱した所で何も変わらない事は分かっていた。


俺はその神父に食い気味になりながら質問した



『あなたが私をこの世界に呼んだんですね?

では何か自分に務めてもらいたい任務でもあるんですか?残念ながら何か自分に期待しているようですが俺は大して役に立てるような人間ではありませんよ?』



神父は俺の質問を聞くと涙目になりながらこう答えた



『おぉ…転生者よ…私はやっと成功したのですね…

分かりました、説明しましょう。

あなたには務めて欲しい事がありこの世界に召喚させて頂きました…

大丈夫です…ここに呼ばれた以上、あなたは召喚魔法に導かれた存在…

きっと役目を果たす器を持っているでしょう…』



神父は涙をぬぐいながら答えた



『あなたの役目は私の娘であるカプリコと冒険に出かけ護衛をして欲しいのです。』


『お断りしますね、そもそも勝手に呼び出しておいて命令を聞け、なんてのはあまりにも飛躍し過ぎていて…それに俺は生き返る事を望んでいません。

できればあのまま永遠に眠っていたかった…

期待に答えられず申し訳ございません…』


『ええ…知っています。だからこそあなたは導かれたのでしょう。転生者は自分の命を大切にしない者程導かれやすい。

ですがそれは決して嫌な事ではありません

あなたにはもう一度生きると言う希望を…思い出して欲しいからこそ導かれたのです』



神父は俺の横を通り過ぎ、後ろにある大きな扉に近づきこう答えた



『転生者よ、あなたが命を拒む理由は分かりました。ではこちらをご覧下さい』



神父は大きな扉を開け俺に外へ出るように促した。


俺は神父の言う通り外へ出た。


そして…



『綺麗な景色だな…』



外へ出るとそこには辺り一面草が生い茂り、空は元いた自分の世界とは見違える程広がっており、木でできた家が数軒建っていた。そこには子供が数人追いかけっこをしていて、まさに天国のような場所だった。


いつも見る仕事帰りの景色では無い別の何か…



『確かに…素晴らしい景色ですね、神父さん。』


『ええ…私の自慢の村です…』



神父の顔は優しく微笑み目を輝かせていた


そんな神父に俺は無慈悲にこう答えた



『でも約束は守りませんよ、自分は勝手に召喚された身、言う事を聞く義理はありません』


『残念ですねえ…分かりました。

ああそれと、あなたの職業を聞いていませんでした』


『職業…?俺はここで働く事になるんですか?』


『いえいえ、あなたは冒険者として導かれた者。

その者には皆与えられた職業を選ばせるのが教会の主人の務めなのです。』


神父はいくつかの選択肢を俺に与えた



『戦士、魔法使い、魔物使い、僧侶、賢者です

あなたはどちらにしますか?

ああそれと、これは必須事項です。選ばなければ一生私と一緒にいる事になりますよ??』



神父は気味の悪い笑顔をしながら俺に問いかけてきた



『まるで何かのゲームの選択肢じゃないか…』



俺は悩んだ末神父にこう答えた



『じゃあ僧侶でお願いします。冒険者として働く気はありませんが人の助けになり、救う事ができる職業がいいです。まあ一番は選ばなければあなたと一緒にいる事になるのを避ける為ですけどね』


『ハッハッハッ。いやはや誠に申し訳ございません。あなたにはとても失礼な事をしましたね、本当に申し訳ございません…

では新しき冒険者よ、貴方を人々を救い導く、僧侶として、生きる事を祈ります。』



神父がそう唱えると俺を教会から追い出し、何の情報もないまま村へと放り出された…



『説明不足すぎるでしょ…』

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