ギルドの受付嬢と-1-
朝、眩しい光と鳥の声が聞こえてきて目が覚めた。
気持ちいいなぁと一瞬思って直ぐにはっとする。
「ごめんマリア!寝坊した!」
跳ねるように体を起こして左を見てもベッドのふちしかない。
それで、ここが住んでた家じゃないと思い出した。
もうマリアとの朝練がないことも。
「あーー……」
とりあえず窓辺に行ってカーテンと窓を開けた。
丘の上だから、陽当たりが格別だ。
ぐるぐる腕を回す。
だいぶ頭がスッキリしてきた。
「ピィ!」
そこに元気な鳴き声が飛び込んでくる。
声の元を探すと窓から見える樹木の枝に、オウムくらいの鳥が一羽とまっていた。
複雑な青緑のグラデーションが付いた羽根で、額にツルッとした丸いガラスが付いている見たことない鳥だ。
見た目は害がなさそうだけど魔鳥の血が入った変種かもしれない。
「おはよう。あまり人里に来ない方がいいぞ。乱暴なやつもいるから。」
特にここは冒険者の町だ。
珍しかったらとりあえず捕獲するような人がいるだろう。
「ピィ!」
鳥は首を傾げるばかりで飛び立とうとしない。
「この宿が気になるのか?いい宿だよ。中見てく?」
通じると思って話しかけてる訳じゃない。
適当だ。
なのにまるでこちらの言葉を理解してるかのようにバサリと鳥は一飛びして窓のふちに着地した。
「あはは、俺の言葉が分かるのか?」
また冗談半分に言って手を伸ばす。
鳥は逃げることなく、俺は滑らかな羽毛をそっと撫でた。
首元を掻いてやると目を細めて気持ちよさそうにする。
だいぶ人に慣れてるようだ。
「ひょっとして、飼い主がいるのかな。」
脱走してしまったのかもしれない。
となるとこのまま逃してしまうのはマズイな。
飼い主が探してるかも。
「ご主人探しに行く?」
とまり場として肩を差し出すと鳥はパサッとそこに移動した。
賢いし訓練されてるように思う。
毛並みもいいし大事に育てられてるんじゃないかな。
飼い主に早く返してやらないと。
鳥と遊びながら身支度をして部屋を出る。
昨日寝る前にアヴィに言われたとおり食堂に行くと、1食分の食事がダイニングテーブルに用意されていた。
「アヴィ?」
周りを見渡して声を掛ける。
外から応じる声がしてダイニングに繋がる庭からアヴィが現れた。
「おはようアヴィ。」
「おはよう、よく眠れたかい?」
「うん。」
「……その鳥は何だい?」
「朝起きたら窓辺にいたんだ。慣れてるし、多分誰かのペットだと思う。ギルドに行くついでに飼い主を探そうかと思ってついてきてもらった。」
「そう。やっぱあんた底抜けだね。」
「底抜け?」
「お人好しがだよ。飯は食べないのかい?そこあるだろ。」
「あ、うん。ありがとう。頂きます。」
席に着いてフォークを持つ。
パンにハムとチーズ、サラダの朝食だ。
アヴィが目玉焼きとコーヒーも用意してくれた。
「ありがとう。この子、ご近所さんが飼ってるか分からない?」
隣で一緒にコーヒーを飲み始めたアヴィに尋ねる。
「このあたりの人は鶏以外飼ってないよ。」
「そっか。じゃあやっぱり町で探すしかないな。」
「ギルドに行くのかい?」
「うん。俺1人で出来るクエストを受注するつもり。」
「あんた冒険者向いてなさそうだけどねぇ。」
「でも、パーティーに戻るには続けないと。」
「戻れるのかい?」
「分からないけど、戻りたいから。」
とにかく、マリアが俺をパーティーから外した理由はおれの実力不足だから、そこをなんとかしてくのが今の考えだ。
食後、俺は迷子の鳥を連れて町に向かった。
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