北大路魯山人の格言で考えると、関西人の味覚は、ある意味王道だと思う。
『旨いは甘い』。
伝説的な美食家、北大路魯山人さんの言葉だそうだ。
少し前のペットボトルの緑茶のCMで、キャッチコピーとして引用されてたと思う。
ボクは、これは美食家として、とても本質を衝いた言葉だ思う。
ここからはボクの独断と偏見なのだが、『この世の美味しいと言われるものは、たいてい、大きく分類すれば“甘い”に分類される』と思っている。
お肉も刺し身も生卵もご飯も小麦を材料にした各種の麺類も、旨味という味覚も関わるからややこしいのだが、大雑把に、とても大雑把に分類すれば“甘い”に分類されると。
スイーツのような、砂糖の、ハッキリとした甘さではない。
ふんわりと、または優しく、または穏やかにだが、ほとんどの美味しいものは、“甘い”のだと。
だから、極論すると、ボクらは、例えば、お肉の甘さをご飯の甘さのオカズとして食べて、食事を楽しんでいるのだ。
で、このボクの独断と偏見から結論とさせていただくのは申し訳ないのだが、『だから、関西人の味覚は正しい』と思っている。
“関西人の味覚”?
アレである。
『お好み焼きをオカズにご飯を食べる』とか、『うどんとご飯がセットで、定食として出てくる』とかいうやつである。
よく、全国の人が関西人にビックリすることの1つとして上がってくるネタである。
「炭水化物をオカズに炭水化物を食べるなんて……変なのー。
ウフフフフ。
ナイわーッ」
大きなお世話である。
それは栄養面の話である。
味覚の話ではない。
ボクは味覚の話をしているのだ。
すべての美味しいものは、基本的に“甘い”。
お肉にはお肉の甘さが、魚には魚の甘さが、そして、小麦を原料にした食材には、その甘さがあるのだ。
お肉の甘さをオカズにご飯の甘さで食べる食事と、炭水化物の甘さをオカズにご飯の甘さで食べることが、“感覚として”何が違うのだろう?
わかんない人には、こう言えば伝わるだろうか?
全国で餃子をオカズにご飯を食べる人は、どれぐらいいるのだろう?
これ、中国の人から見ると、ちょっとビックリだそうだ。
「餃子の皮って炭水化物じゃない?
それをオカズにご飯を食べるなんて……変なのー。
ウフフフフ。
ナイわーッ」
なんだそうだ。
今、あなたが感じているモヤモヤまたはイライラが、長く関西人が感じているモヤモヤでイライラである。