チープぜいたく? カップ焼きそば
ボクは料理をしない。
バカスカと外食を楽しむなんて懐が痛い。
そんなワケだから、時々、他人から見たらバカバカしいことに、ハマることがある。
発想の基は、テレビ番組の街角レポートで、人気のお好み焼き屋さんを取材した映像だったと思う。
確か、スープか何かを隠し味として、生地に練り込んであるとかいう話だった。
これだ。
ボクは思った。
カップ麺はお湯を吸収して、麺が柔らかく戻る。
だったら、味付きのお湯で麺を戻したら、一味加わった深い味わいの麺になるのではないか?
スープのある、ラーメンやうどんや蕎麦ではダメだ。
それじゃあ、スープ自体も味が変わってしまって、そのスープの味にぼやけて、麺が一味違うことが認識できない。
そうだ!
麺を戻したお湯を1度捨ててしまう、カップ焼きそばにしようッ。
さっそく、いろんなモノを試した。
醤油、味噌、コンソメスープの基、コンブ出汁の粉末、カツオ出汁の粉末……。
カップ焼きそばの器にお湯を注ぐ前に、器に入れ、それが溶け込んだお湯で麺を戻すのだ。
結局、落ち着いたのは、めんつゆだったと思う。
そう、独り暮らしの味方、めんつゆである。
カップ焼きそばを食べて麺を噛みしめた時に、フワッと、焼きそばソースとは明らかに違う香りが口の中に漂う。
それで格段に美味しくなったかと言うと、よくわからない。
ただ、この、誰もやらなさそうな思いつきがお気に入りで、しばらくハマっていたと思う。
考えてみれば、バカバカしいもったいない話である。
捨てる為に、わざわざ調味料を使うのだから。
ただ、男というものは、特に独り暮らしの暇な男は、なんかこーゆーバカバカしいことを、無性に、やってみたくなる生き物なのだ。