第8話 始動
「ようやく本番スタートだな」
今頃、勇者パーティーは教会で復活しただろう。
そうして混乱しているに違いない。
役立たずを追い出そうとして全滅したのだ。
何もかも理解できないと思う。
(憐れなもんだな。同情はできないが)
彼らには俺の行動理由が分からない。
たとえ説明したとしても伝わらないのは明白だった。
きっと狂人だと罵られて終わりだ。
実は俺は日本から転移してきた人間である。
そして、この世界は『ファンタジック・スリル3』というRPGに酷似していた。
最初は偶然かと思ったが、地名や歴史が一致しすぎているので確信した。
それと同時に、俺は特殊能力に目覚めた。
シナリオチャートの認識と、一部データの改竄である。
前者は未来予知に近いものだ。
勇者パーティーに関するシナリオ進行を確認して、分岐する今後の展開を知ることができる。
逆にスルーされたシナリオも分かるため、奴らの戦力把握は容易い。
後者は俺自身に限るものの、様々なデータを改変できる。
それによって超人的な身体能力を得たり、自在なアイテムが手に入るのだ。
他者に干渉できるほど万能ではないが、こいつのおかげで負けることはない。
勇者パーティーを一方的に惨殺できたことから、それは明らかであった。
異世界に転移した俺は、以上二種のチート能力を得た。
そうして掲げた目的こそが、勇者パーティーの全滅というわけだ。
これにはやむを得ない事情がある。
突き詰めると世界を救うことに繋がるわけだが、残念ながら理解してくれる人間はいない。
だから俺は、自由気ままに殺しまくっていこうと思う。




