第26話 懇願する男
俺が希望したのは、パーティーへの再加入。
それを聞いた勇者と錬金術師の反応は顕著だった。
「何を言っているんだ……?」
「貴方はっ、自分のしたことを忘れたのですか!?」
錬金術師などは大きく取り乱している。
珍しく声を荒げて怒りを露わにしていた。
よほど許せないのだろう。
俺はその鋭い視線を浴びながら顔を下げる。
「もちろん忘れちゃいないさ。だから反省している。取り返しの付かないことをしたと思っているよ」
勇者達の損害は甚大だ。
俺との戦闘で残機を10も減らしている。
ちなみに元々が100だ。
そこから多少の増減はしているが、とにかく一割程度の減少と見ていい。
まだ冒険の序盤なのだから、かなりの痛手であった。
さらに時間的なロスもあるし、メンタル的なダメージも無視できない。
まさか役立たずの傭兵を追放しただけで、ここまでの被害を受けるとは思っていなかったはずだ。
チート持ちなど予想できるわけがないのだから不運としか言いようがない。
俺は未だ警戒する二人を説得しにかかる。
「しかし、ここは冷静によく考えてほしい。俺を仲間にする利点は多いぞ」
「…………」
勇者が真面目な顔で沈黙する。
手は聖剣の柄に触れているが、抜き放つ気配はなかった。
勇者は俺の再加入のメリットを理解しているのだ。
今頃、感情と利害を天秤に吊るして迷っているのだろう。




