第2話 問題指摘
俺は小さく嘆息する。
胸倉を掴もうとする女戦士に向かって吐き捨てた。
「身勝手な言い分だな。あまり調子に乗らないでくれよ」
「調子に乗っているのは貴方です」
ぴしゃりと言い放ったのは錬金術師だ。
クールな眼鏡美女で、俺に向けられる視線はまるでゴミを見るかのようなものである。
見下されているのは知っていたが、今回の解放宣言に伴ってその嫌悪が露骨となった。
「貴方は常にパーティーの規律を乱します。いつも集合に遅れて、それを反省しない。こちらの指摘にも嫌味を返すばかりです」
「集合は同じ部屋にすれば解決するだろ。俺だけ離れた宿を使わせているのはそっちじゃないか」
「野蛮な貴方と一緒では安心して眠れませんので」
「ははっ、言ってくれるね」
俺は鼻を鳴らすと、煙草をくわえながら指摘する。
「大好きな勇者様との時間を邪魔されたくないだけだろ。はっきり言いなよ」
「この……ッ!」
錬金術師の目が血走った。
そして、素早く杖を振るって魔術を発動する。
小さな火球が飛んできたので、俺は地面を転がって回避した。
「危ねェな。仲間に向ける威力じゃねぇよ」
「貴方を仲間と思ったことは、一度もない!」
錬金術師が断言して、さらなる魔術を撃とうとする。
それは勇者の一喝で辛うじて中断された。