番外編10話 優花の迷い
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「どうして別れるの? 龍宮寺くんと仲良さげじゃん! これからって感じじゃん。それなのに別れるなんて...。嘘でも言っちゃダメだよ!」
「嘘で言っているわけじゃないよ?」
私はここ数日間ずっと悩んでた。仁にはいろいろと助けてもたった。ストーカーの件から勉強のこと、運動のこと。本当に仁がいなかったら今の楽しい生活はなかったと思う。だから仁が義兄であってくれてよかったと思う。だけど仁はどうなの? 私が義妹になってよかったと思ってる? 私のせいで刺されてしまったし、勉強や運動まで教えてくれている。それに加えて私がモデルだからって普通の恋愛すらできているかわからない。本当は面倒くさいと思っていない? 私が仁の立場なら嫌だと思う。
だから...。だから別れて普通の義兄妹の関係に戻った方がいいんじゃないと思ってしまう。そしたら最低限普通の恋愛はできると思う。仁ならかっこいいし頭もいい。それに運動もできるし身長も高くて優しい。欠点と言う欠点がない。だから私と別れてもすぐ彼女はできると思う。
(そこまで考えても別れたくないと思っている私がいる。他の女の子とはあまり話してほしくない。もっと私だけを見てほしい。二人でいろいろなことを体験して、もっと思い出を作りたい。でもそれは私のわがままかもしれない。仁のことを考えたら...)
それに加えて仁の問題は解決したとは言い切れない。私の時みたいに仁がほぼ一人で解決してくれたわけではなく、仁のことを思ってくれている友達と私が手助けしてやっと解決していっている状況。それなのに仁は私のおかげって言ってくれている。仁は本心で言ってくれているだろうけど、私はそうは思わない。だって私は少し手助けをしただけだから。根本的なアドバイスは優里やヤンキーの石上って人が言ってあげた。だから私は本当に少しの手助けをしただけ。
「龍宮寺くんの事が嫌いになったの?」
「そんなわけないよ!」
「じゃあなんで別れようって考えになったの?」
「それは...」
ここで本音を言うべきなのだろうか? 里穂には本当に感謝している。大切な相談だってできる友達だと思っている。だけど今回は治しようがない。モデルをやめたら悩んでいることの一つは解決されるだろう。だけど私がモデルをやめるって言ったら、仁から別れ話をされるだろう。仁にはもう大変な思いはさせたくない。
私が悩んでいると里穂がテーブルをたたいて叫ぶ。
「はっきり言ってよ! 相談できないようなこともあるかもしれない。それは誰だってあるよ。でも言った方が楽になることもあるよ! 優花はいろいろと考えすぎだよ!」
「...」
里穂の迫力に押されてしまい、黙ってしまう。だけどそうだなと思った。
「うん。そうだね」
私は里穂に最初から最後までは包み隠さず話した。するとスッと今まで悩んでいたことが少し楽になった。
「優花にもそんな悩みがあったんだね。気づいてあげられなくてごめんね。でも一つだけはっきりしているよ? 今優花が別れ話を龍宮寺くんに言ったら龍宮寺くんはまた自分を責めると思う。なんで俺と別れたんだ? もっと俺も治すべきところはあったんじゃないかってね。だからそういう問題は龍宮寺くんが言うように二人で話し合って解決したほうがいいと私は思うよ?」
「そうだね...。今日にでも相談してみる」
「うん! そうしたほうがいいよ!」
また里穂に助けられた。今日言われたことで誰にかに相談したほうがいいとわかった。それに加えて私は本当に恵まれていると実感した。だって仁とは別に里穂や優里。そして仁の関係で榎本くんや菊池くんにも相談できる。そんな環境はそうないと思う。
「ありがと! じゃあ居間に戻ろうか! 榎本くんにも頑張ってアタックしなくちゃ出しね! ダブルデートとかしたいね!」
「え? うん。頼るとは思うけど宜しくね?」
「任せてよ! 私も頼りっぱなしだったんだし、それに友達じゃん!」
「うん。ありがとう」
そう話して居間に戻り、特にみんなから詮索もされずに今日は終わった。こういう所で詮索をしてこないところが本当の友達なんだなって思った。面白半分で聞いてくる人もいる。だけど仁はともかく榎本くんや菊池くんもそういうのはわきまえている。だからこそ私はみんなを信用しているんだろう。
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