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29話 デート


「じゃあ優花に仁くん、一週間よろしくね!」


「はい」


「うん!」


「仁。優花ちゃんのこと宜しくな」


「あぁ」


「「じゃあ行ってきます」」


「「行ってらっしゃい」」


 父さんと美穂さんが俺たちに言い、家を出ていく。優花と父さんたちのことを居間から見えなくなるぐらいまで見て、ソファーに座る。


「行ったね」


「うん」


「今日から一週間よろしくね!」


「こっちこそよろしく」


 親が家に帰ってこないからといって特に今までと変わることは無いと思う。不安要素は優花が頻繁にくっついてくるか心配なことぐらい。


「そう言えばランニングもそろそろ再開できそうだから、一緒にやるよ?」


「本当! 一人で走るのも楽しいけど、やっぱり仁と一緒に走る方が楽しいから嬉しいな」


「じゃあ明日から一緒に走るよ!」


「よろしくね」


 怪我をしていたから走ることができなかったけど痛みも減ってきたし、そろそろ軽い運動はした方がいい。だからまた一緒に走るのはうってつけだと思う。それに優花と一緒に居た方が楽しいから。


「それでだけど、隆一とかはいつ呼ぶ?」


「そうだね。明後日とどう?」


「わかった! 連絡してみるよ」


 俺はみんなに連絡すると、全員から了承が出た。


「オッケーだって」


「ありがとう! 今暇だよね」


「うん」


「じゃあショッピングでもしない?」


「いいよ」


 二人きりになって少し緊張していたが、優花からデートの誘いをしてくれて助かった。はっきりいってこういう時俺が誘うべきなんだろう。本当に情けない。


 それにしても優花の誘いを断る理由がない。優花と一緒に出掛けるということは他人から見たらモデルと歩いている人ってことだ。そんな人がダサい恰好で歩いていたら優花に迷惑だと思う。だから身だしなみとファッションはちゃんとやらなくちゃいけない。まあ優花と一緒に出掛ける時はファッションするけどさ。


 俺が準備を終えて10分程度待つと優花が居間に降りてきて、家を出る。


「似合ってるね」


「えへへ。ありがと」


 俺は自然に手を握って歩く。お互い他愛のない話をしてショッピングセンターについて洋服などを見始める。


「この服どう?」


「似合ってるよ」


「この服は?」


「似合ってるよ」


 こんなやり取りを10回程度繰り返すと優花が俺に少し怒りながら尋ねてくる。


「...。ねえ、本当に似合ってるって思ってる? さっきから同じ回答しか返ってこないけど」


「似合ってると思ってるよ」


「本当?」


「うん。かわいい服を着ている優花が可愛いと思う。だから全部似合っていると思うよ?」


「ありがと」


 はっきり言って優花が着る服なら何でもかわいいと思う。優花はモデルだけあって服のセンスもいい。だから何を着ても似合ってるのはしょうがない。


「じゃあ今度は仁の服を選んであげる!」


「いや、俺は...」


「え・ら・ぶ・の! わかった?」


「はい...」


 優花に無理やり服を着させられる。


 (こんな風に言ってくるのは初めてだな)


 優花が選んだ服をいろいろと着て、優花とおそろいの服と優花の反応が良かった服を買った。その後俺と優花でご飯を食べて優花が少し席を外した瞬間、ギャル二人組の人に話しかけられる。


「カッコいいですね! 今日は一人ですか?」


「いえ。もう一人いますよ」


「もしよかったら連絡先交換しませんか?」


 これがナンパなのか? こんなこと起きたことがなかったから固まっていたら優花が来て俺の腕に手を組んでギャルに言う。


「私の彼氏なので手を出さないでください!」


「えー残念。 それよりもモデルの方ですよね? 何度か雑誌で見たことあります! そしたら彼氏さんもモデルってこと?」


 ギャルがそう言うと周りに人が寄り始めた。このままだとはっきり言ってめんどくさいことになる。


「ごめん。今からデートだから」


 俺はそう言って優花の手を握って歩き始める。


「ごめん。私がモデルだからって...」


「大丈夫だって。俺も優花にふさわしい男になればいいだけだしさ」


「今だって私にはもったいないよ」


「そう言ってもらえてうれしいけど俺が納得できるような人になれるように頑張る」


「うん」


 ショッピングセンターが騒ぎになっているためショッピングは中止にして家に帰ろうとした時、勇気をもって優花にキスをする。自分の顔が赤くなるのが分かる。


「今日はたのしかった。またデートしようね」


「不意打ちはよくないよ...。デートはしようね...。」


 すると優花も顔を赤くしながら腕を組んで歩く。腕には柔らかい感覚が伝わってくる。


(こうゆうことは家ではやらないでくれよ...)


「お返し!」


 優花が笑いながら俺に言ってきた。俺も恥ずかしながら一緒に家に帰る。これがカップルってことなんだよな。隣にこんなにかわいい彼女がいるのがこんなに幸せなんだ実感したときどこのだれかわからない女性が優花に話しかけてきた。


「優花! モデルなのに変装もせずに彼氏と一緒にショッピングセンターに行くってどういうこと! モデルの自覚を持ちなさい!」


読んでいただきありがとうございます。


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