22話 卓也たちへの恩返し
5万字突破しました! 10~15万字で完結を目指しています。今後もよろしくお願いします。
明日は人物紹介あわせて3話投稿すると思います。
仁と優花の恋愛と日常生活メインにここから書いていく予定です。
夏休みに入ったが、特にやることがない。優花はモデルの仕事があるらしいし、隆一は部活がある。卓也でも誘うか....。
「卓也。今日暇なら遊ばないか?」
「いいぜ。じゃあ石上ともう一人連れて行くわ」
「おっけー」
前々から紹介されるって言っていた人だろうし、今更驚くこともない。嫌ではないが、緊張はする。突然誘ったのに俺のせいでその友達を帰させるって言うのもよくない。いつものゲーセンに行くと卓也含めて3人いた。
「きたきた。おはよ」
「龍宮寺さんおはようございます」
「おはよ」
3人がいっぺんに挨拶してくれる。
「おはよー。龍宮寺仁って言います。よろしくお願いします」
「よろしくな。野口匠」
お互い挨拶をして、いつも通り他愛の無い話をする。卓也と野口さん、後2人は中学生時代までサッカーをやっていたらしい。石上さんはお坊ちゃまらしく、話していると少し問題を抱えているらしい。
「石上さんは勉強とかがやりたくなくて卓也とかと一緒にいるようになったって経由なんだね」
「そうなんですよ...」
でも話を聞いている限り勉強が嫌いって言うよりは周りからの圧力に負けてしまったって言う感じだ。だから俺は提案する。
「石上さん。今から俺と勉強でもしてみませんか?」
「え?」
「石上さんは家族からのプレッシャーに耐えられなかったって感じですよね? それで今はあまり家族とかかわらなくなったと。じゃあ家族を見返しませんか?」
「見返すって無理ですよ。だって私勉強できませんし」
「だから勉強をするんですよ! 勉強に才能とかってあまりないと思います。そりゃあ天才はいますよ。でも音楽や美術みたいに才能だけの世界じゃないです。勉強は才能じゃなくて努力だと思います。続けられる継続力。これが勉強で一番鍵になると思います」
「でも見返すって言っても...」
「俺が通っている高校は県内トップクラスの学校です。だから教材はありますし、誰もがっかりなんてしませんよ。だって俺とか卓也、野口さんは友達じゃないですか」
石上さんは最初少し怒りつつ話していた。でも俺が説得すると少し悩みながら答え始める。
「どうやって見返すのですか?」
「そうですね。目に見える結果が欲しいですよね。だから2年後にある大学受験で名のある大学に行ければ良いと思っています」
「わかりました。ではよろしくお願いします」
「はい。で、卓也とか野口さんはどうする? いい機会だと思うけど」
俺が卓也などを誘う。すると
「勉強してなんの意味があんの?」
「まあそうだな。今やっている勉強はそこまで役に立たないかもな。でもいい大学に行ったら今後役に立つ勉強ができる。その勉強を活かして就職するとかね。後は周りから見られる目が変わると思うよ」
「は?」
「今は悪く言うけどただの不良。だけどそれが有名大学合格の不良に変わったら、どうなる? 大人たちは今までとは手のひら返しみたいな対応をとると思うよ。そこで俺たちが思っている鬱憤を言えばいいんじゃないか? それでも怒りがあるなら、嘘でも大学にはいかないって言ったらどう反応するだろうね?」
おれが笑いながら言う。すると2人もやる気を出してくれる。
「でもそしたらお前に負担がかかるんじゃねーの?」
「まあそうだな。でも俺は卓也に石上さん、間接的にだけど野口さんには感謝している。だから恩は返したいなって思ってさ。俺に返せるのはこれぐらいだから」
「別に恩とか感じなくていいのに」
「それは俺が感じているだけだからさ。受け取れるものは受け取っておけよ。じゃあ夏休みの内毎週2日は勉強しよう。場所はどうするか...」
すると石上さんが案を出してくれる。
「俺の家でいいよ。家には執事とメイド以外いない。家族はめったに返ってこないからな」
「わかった。じゃあ頼もうかな」
話していてわかった。あいつらは親とうまくいっていない。卓也たちにどうやって恩を返せばいいかわからなかった。でも勉強ができるようになったら大抵の大人は今までとは違う態度をとると思う。それはあいつらが親に見限られてからまた話すきっかけにでもなればいいと思って提案した。
こんなことしか俺には返せないけど、それでもあいつらとは大人になってもかかわっていきたい。その時就職できていないとかだったら嫌だしさ。
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