18話 仁の心情変化と行動
翌日も同じメンツと一緒に勉強をした。やっぱり優花は理解能力が早い。それにしても今日はちょっと教えている時、優花と席が近かった気がする。次に勉強した時に確かめればいいし、あまり気にしないようにしよう。今考えてもスッキリするわけじゃないし。
今日は卓也と会う日。あいつは俺に何をして克服させてくれるんだ? 優花はいろいろな面でサポートしてくれている。今のところ一番信用できると思っている。だけど卓也は優花と違っていつも会えるわけじゃない。だから何ができるわけじゃないと思っている。
授業が終わり、優花と別れていつものファミレスに向かう。到着すると卓也と黒髪ロングの男がいた。見たことある顔。話したことないけど、何度も顔合わせしているから緊張はしない。
「仁来たか!」
「あぁ。待たせて悪い」
「それで何をするんだ?」
「お前の問題はすぐ解決できるわけじゃない。だからいろいろな人と会話してもらって少しでも人の気持ちでもわかってもらおうと思ってな」
優花と一緒のこと言ってるな。でもこれだけ知らない人と話せば俺も少しは変われるかもしれない。
「何度か顔合わせしてますよね? 龍宮寺仁です」
「はい。石上丈です。それでなんですが、今回私が話してみたいと思って呼んでもらいました。本当にお時間を取らせてしまいすみません」
やっぱり外見とは違い優しそうな人だ。卓也にあってから俺が持っている印象がガラッと変わった。今までは不良と関わらないようにしていたが、卓也や石上さんみたいな優しい人がいるとわかった。それだけでもすごく前進したと思っている。
「はい。俺も石上さんと話してみたかったです。後、あの件については本当にありがとうございました。」
嘘ではない。卓也のほかにゲーセンでの顔見知りは4人いる。そのうちに一人が石上さんだ。だからこの4人とは一度話してみたかった。
「いえいえ。私は何もしていないので。それよりも龍宮寺くんの問題を聞いてもよろしいですか?」
「卓也から聞いていませんか? 俺は人を信用することができません」
「卓也から聞こうとしても一切教えてくれなかったのですよ。信用ですか...。だから私が1番に呼ばれたのですね」
卓也は俺に気を使ってくれて人に言わなかったのか? しっかりしていない人だと親友や友達にはその人の問題点をいってしまう。それを言わなかったってことは卓也を少しは信用できるってことだよな...。
「私も周りを信用できなかったことがあります。原因は少し長くなってしまうため話しませんが私にもそういう時期はあります。だから少しは共感できると思います。結論から言いますと治すことはできます。ですが治すためにはまず自分自身の考え方を変えなくてはいけません」
「自分自身の考えを変える?」
「はい。今の龍宮寺さんは本当に危ない時以外は一人でやろうとしていませんか?」
「はい」
「それをまずやめましょう。まず心の底から信用できない人じゃなく、少しでも信用で来ている人に頼ることから始めた方がいいです。そうすれば龍宮寺さんが信用していなくても頼った人はその結果を出す。そうすると少しずつですが龍宮寺さんも信用できるような心情になると思います。私はこの方法で人を信用できるようになっていきました」
なるほど。心の底から信用できない人は他人。だけど少し信用している人は友達。だから少しずつでも頼っていけばそれに答えてくれる可能性がある。それを毎回毎回やってすこしずつ信用していけばいいのか。
「ありがとうございます」
「龍宮寺さんだけが信用できるようになったら次の問題が発生します。心のどこかで俺は信用されているのかって思い始めると思います。だから龍宮寺さんも信用でき始めたらその人に頼られる行動をとった方がいいです。頼られる行動自体が大変ですけど、勉強を教える。料理を教えるなどいろいろな方法があります。だから頑張ってみてください」
「何から何までアドバイスありがとうございます」
「いえいえ。頑張ってください」
本当にためになる話だった。俺一人だとここまで考えがたどりつかなかいと思う。やっぱり一度経験している人の言っていることはためになる。普通ならこんなこと信用できない。でも言っていることが納得できるし、真剣に話していることが分かる。だから試してみようと思った。
「石上さんありがとうございます。後卓也もありがとな」
「いいって。だから俺とか石上、後で紹介する3人に少しでもいいから頼って見ろよ」
「そうする」
「じゃあ飯食おうぜ!」
重要な話しが終わって3人でご飯を食べる。他愛の無い話をしているが楽しかった。
ファミレスをでて2人と別れる前、さっき言われたことを早速試してみる。
「石上さん。今後も少し相談してもいいですか?」
「いいですよ」
「俺にはないのかよ!」
「卓也はこれからまだ3人も紹介してくれるんだろ? もう頼ってるじゃん」
「お。そうだな。残りの3人もいい奴だから期待してろよ」
「おう。ありがとな」
俺はそう言ってみんなと別れた。頼るか...。
家に入る時、優花もモデルの仕事帰りでちょうど合う。さっき言われたことを実行してみる。
「優花さ。もしよかったら月に一回どこか出かけてみないか?」
優花に対する気持ちもわかるし、優花を信用できるいい機会だと思う。
「え? 唐突だね。いいよ!」
「ありがとう」
優花はこころよく答えてくれる。優花が少し顔を赤くしていたのは多分、俺が遊びに誘っているからだろう。本当は俺がこんな奴じゃなければはっきりと告白の返事が出せるんだけどな。
でも周りにこんなに頼ろうと思えば頼れる人がいるっていうのは結構恵まれているな。
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