17話 仁の決意
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再来週テストのためいつもより図書館が混んでいた。それでもいつもより混んでいるだけで、気になるほど多いわけではない。俺の隣に優花が座り、前に隆一、菊池くん、結城さんが座る。
「じゃあ勉強始めよっか」
優花の合図と同時に勉強が始まる。俺は優花に、結城さんは隆一と菊池くんに勉強を教え始める。結城さんは前回のテストでも学年TOP20位には入っていたと言っていたため教える側に回っている。ちなみに俺は2位、隆一と菊池くんは下から数えた方が早い。
1時間ほど俺が優花に数学と物理、化学と理系科目を重点的に教えていると隆一が俺たちに話しかける。
「本当に仁と龍宮寺さんは仲がいいね。本当にいいカップルって感じだね」
「そうか? 普通だと思うけど?」
いつも一緒にいるためこれが普通になっている。それに仲がいいかはわからない。俺が仲がいいと思っていても優花が仲がいいと思っているかはわからないし。俺が優花の方を向くと目が合う。優花はすぐに視線を逸らす。
(別に視線が合っただけだろ そんなにあからさまに逸らされるとちょっとショック)
「まあそんなことより勉強しよう」
「あぁ」
その後も少し勉強を教えていると結城さんが俺の隣に来て聞いてくる。
「この問題ってどう解くんだっけ?」
「それは~」
俺も理解するのが難しいところだったため、少し聞かれて共感する。それだけ教えるのも簡単だった。なんせ何度も復習していたから。結城さんと15分程度で教え終わると、優花が少し怒り気味で俺を蹴る。
「え? なんで蹴った?」
「気のせいじゃない?」
(あれ? 俺いじめられてる?)
「それよりも早く教えてよ!」
「うん」
聞かれた問題を教え始める。その時も少し怒りっぽい雰囲気を出しながら勉強している。
(俺。なにかしたか?)
夕方になったため、図書館をでて帰宅する。隆一や菊池くんは結城さんとすごく仲良くなっていたため、少し羨ましかった。
(俺もこれぐらい早く仲良くなれればな。それにしてもなんで俺は優花に蹴られたんだ?)
頭の中でずっとそのことが離れない。だからその時話していた結城さんに尋ねようと思い、結城さんの方に向かい聞く。結城さんが俺の事嫌っていなかったら教えてくれるはず。
「なんで優花は俺の事蹴ったと思う? 俺何か悪い事したかな?」
「あ~。別に龍宮寺くんは悪いことしてないと思うよ。今だって優花こっち見てるよ」
俺が振り向くと本当に優花がこっちを見ていた。結城さんはエスパーだ!
「理由わかる?」
「わかるけど、それは優花に聞きな」
「あ、うん」
そのまま優花の方に向かい聞こうとすると無表情で話し始める。
「里穂と話していて楽しかった?」
「え? まあ普通かな?」
「ふーん」
なんでこんなに怒っているんだ?
「それよりもさなんで図書館で蹴ったの? 俺のこと嫌いになったの?」
嫌いになったならはっきり言ってほしい。そしたら頼らないし極力かかわらないようにしようと思うし。
「嫌いなわけないじゃん。だって...」
優花が話そうとしたところで隆一たち3人がなぜか寄るところができたと言って別れる。その後優花は泣きそうな顔で俺に言う。
「だって。私告白したじゃん。なのに他の女の子と仲良く話してるし...」
ここ最近いろいろありすぎて告白されたことを忘れていた。本当に俺ってくそだな。優花の気持ちも考えずに行動していた。でも女子と話さないって無理じゃない?
「ごめん。でも女子と話さないのは無理じゃないか?」
「わかってるよ! 仁にはいろんな人と話してもらいたいし。でもこんな気持ちになる私も嫌」
「優花の気持ちもちゃんと考えるよ。俺も早く俺の問題を解決したいし、それを解決させてくれようとしている優花にも感謝している。だからもうちょっと告白の返答は待ってくれないか? できる限り俺も頑張るからさ」
「うん」
いろいろと心情って難しいな。でも俺もみんなの手助けに答えられるように頑張りたい。それでちゃんと優花にちゃんとした気持ち、心情で答えたい。
お互いこの後は話さずに家に帰った。
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