15話 仁のための手段
ここからは仁の周りの人が、仁の問題を解決していく話です。
解決してから優花と仁のラブコメに行くと思います。
午前中に父さんや美穂さん、優花が来て退院する。
「もう無茶はするなよ」
「うん」
「家族なんだから相談しろ」
いつも放任主義の父さんなのに今回は忠告される。それだけ今回は心配してくれたってことだよな。美穂さんや特に優花には心配させてしまった。
家に着くと、俺は部屋に戻りスマホを取り出しネットニュースを見る。
[現役モデルが傷害事件を起こす]
今回の事件のことだよな。本当にニュースになっていた。西村がモデルってこともあったし、俺が入院しってこともありネットニュースにまでなっちゃったんだよな。
俺が少し考えていると優花が尋ねてくる。
「仁。部屋に入っていい?」
二度目なので、すぐに返答できた。
「いいよ」
「今回は私のせいでごめんなさい。ここまで大きな事件になるとは思ってなくて」
「いいって。それに俺が被害者になってよかったよ。優花だったらもっとひどい事されていたかもしれないし、女子の肌は一生もんだろ? こんな傷で助けられるんだったら安いもんだよ。俺が死んでいるわけでもないんだし気にするなよ」
「うん。でさ、仁の問題だけど。私をもっと知ってもらうって言うのはどうかな?」
「どういう意味?」
優花を知ったら俺の問題が解決できるのか?
「私が思うにね。仁はもっと人と接したほうがいいと思うんだよね。そしたら人がどんなことを考えているとかわかると思うし。その第一段階としてまず私のことを知ってもらったら少しでも私のことを信用してもらえると思う。後、私モデルだから人と交流する機会もあるし仁もいろいろな人と関われると思うんだよ!」
そう言うことね。だから卓也も週に数回会おうって言っていたのか...。あの時から人と話すのを減らしていたからな。いい機会か...。
「でも迷惑かけるよ? まず前提として俺は優花を信用しきっていない。だからどういう対応をするかもわからない。この前までは優花の問題を解決するために優花を第一に考えていた。でも今回は俺の問題を解決するんだろ? そしたら俺が遠慮しちゃいけないってことだよな? だからどうするかわからない」
「いいよ。それだけ私は仁に恩をもらったと思っているし、仁のために頑張りたいとも思ってる」
そこまで思っててくれていたのか。でも本当に助けてもらっていいのか? 本当に信用していいのか?
まあ今回試してみて、嫌になったら断ればいいか。
「じゃあお願いしようかな。で、何をするの?」
「まずは今まで通り朝のランニングと偽カップルを続ける。それでいつも通りコミュニケーションを取ろうと思ってる」
「なんで偽カップルまで?」
「今別れたら絶対クラスメイトから不信の目で見られると思う。だから別れるにしても期間を置いてからがいいと思う。後は偽でもカップルでいたら絶対に話しかけてくる人はいると思う。だからそういう人とコミュニケーションをとったら仁も少しは克服できるかなって思ってる」
そこまで案があるならいいか。
「そっか。わかった」
「後、私の友達を1人紹介するけどいい? その子とも話してみてほしい。その子も友達をあまり作らない子だから仁に少し似ていると思う」
「わかった。その子が了承してくれたら一回会ってみようかな」
「じゃあそう言うことで! まだ傷もあるから走れはしないけど、また一緒に登校しようね」
「あぁ」
優花は部屋を出ていく。ぶっちゃけここまで言われても五分五分としか考えられない。他人がここまで人に尽くしてくれるとは思わない。それも最初会った時に私にかかわるなって言った人が。
でも俺のために優花や卓也が手を差し伸べてくれるのは嬉しいし、助かる。結局のところ俺一人で解決するとか思っていたけど、そんなことできるはずがない。できたとしてもそれはより時間がかかると思う。
でも俺は変われるのか? 本当にこれから優花や卓也、そして隆一などみんなを信用できるようになるのかな? それに優花の友達と会ってほしいって言われたけど、会う人も俺みたいな人だったらどうなんだ? お互いちゃんとした会話ができるのか?
少しの不安と自分自身の劣等感に悩まされながら就寝した。
読んでいただきありがとうございます。




