14話 仁の問題
明日まで2話投稿して、明後日からは1話投稿になると思います。
「大丈夫か!」
「あぁ」
「1日寝てたんだからな?」
そんなに寝てたのか...。優花からも聞かされてなかったし、看護士さんと話す前に卓也から電話で聞いたから初めて知った。
「心配かけたな」
「まあ大丈夫ならいいや。明日病院に行く」
「おけ」
電話が終わると同時に睡魔が来て、就寝した。
次の日の朝一番に卓也が来る。
「よお。元気そうでよかった」
「今回の結末知っているか?」
「知らない」
すると卓也が話し始めてくれる。いつもなら西村の父親が事件をもみ消しにするはずだったが、動画を取られていたということや武器も持ち出したこともあり西村は少年院に行くことが決まった。この事件がニュースで大きく報道されていた。
(モデルだからニュースにもなるか。これで優花に手を出されなくなってよかったけど)
「今回の事件は向こうの不良グループも手を出してこないらしい。そっちは俺たちが話をつけておいた」
「サンキュー」
「助けたから対価を払ってもらうよ。お前と俺は達だろ? 学生のうちだけの関係は嫌なんだよ。だからお前の過去を克服させてくれないか? お前は俺たちを信用できないんだろ? でも全部が全部信用できないわけじゃない。だから少しずつでもいいから一緒に治していかないか?」
ありがたい申し出だと思う。だけどこれは俺の問題。だから
「悪い。これは俺の問題で、お前たちに迷惑はかけられない」
「誰が迷惑だって言ったよ。それにこれは助けた時の対価。断ることはできねーよ?」
「...」
「じゃあそう言うことで、週に何回か会おうな。また連絡するわ」
卓也がそう言って部屋を出ていく。
(こっちの気持ちも知らないで。俺だってみんなを信用したいさ。でも先輩に裏切られた時のことを思い出すと、一歩踏み出せない。それにあの時こんな気持ちになるならだれも信用しなくていいって思って、それが今でも気持ちのどこかである)
どうやったら克服できるんだよ。優花の件は多分だけど、現状恐怖していること以上の恐怖を持ったから克服できたんだと思う。だけど俺は本心で信用できなくなった時点でそれ以上の恐怖と言うのがない。今回の件で解決策が見つかると少しは思ってたんだけどな。
その後、隆一や菊池くんもお見舞いに来てくれた。嬉しかったけど、今日来たのだって本当はしょうがなく来たんじゃないか? ただの時間つぶしで来たんじゃないかって言う下種な考えが出てしまう。
(本当こんな俺が嫌だ)
ぶっちゃけ今の生活で満足している。だからこれ以上のことを求める必要がないと思う。すると最後に優花がまた来る。
「仁。明日退院だって」
「ありがとう」
「でさ本当に私じゃ仁を助けることができない?」
ここまで言われているのに、俺の事を話さないのもおかしいよな。
「できると思うよ。でも俺は優花を信用できていない。だから頼らないんだよ。誰も信用できないのが俺の問題だから」
「信用されればいいってこと?」
「そうだな」
「そっか。後昨日告白したのは嘘じゃないよ。私の本心だよ。だから仁が私のことを少しでも信用してくれるようになったら答えを聞かせてほしい」
「わかった」
「じゃあ私行くね」
優花がそういって病室を出る。俺が優花や卓也を信用するね...。現状の俺じゃ考えられないな。それこそ何かしらのきっかけがなくちゃ。
後今回の事件でまだ1つやっていないことがある。俺と優花と西村の対談。だから明日退院してから優花をつれて少年院に行って会話をしよう。
会話をしなくちゃちゃんとした解決にはならない。お互いがどんな心情でいたかを確かめなくちゃいけない。だから明日は少年院に行こう。
それにしてもいつ優花は俺に惚れたんだ? そんな素振り見せてこなかったけどな。でもきっと好きになってくれたのも一時の迷いだよ。
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