番外編4話 優花の心情変化1
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今作っている料理と昨日の夜から準備していたおかずを合わせてお弁当が完成した。
(男の子にお弁当を渡すの初めてだから緊張する。約束したけど、いらないって言われたらどうしよう?)
仁さんがそんなこと言うはずがないとわかっているけど、不安になる。いつも仁さんのほうが私より早く家を出るため、すでに家を出ようとしていた。
まだ気持ちの整理が...。でもそんなこと言ってられないよね。
「仁さん。お弁当。この前約束したから」
少し強めに言ってしまう。本当に素直に言えない私が嫌になる。すると仁さんは疑問っぽそうに言う。
「え? ありがとう?」
「なんで疑問形なの? 行ってらっしゃい。また後でね」
昨日返ってきたときに仁さんの顔をみて思った。だからちゃんと言えた。それにしてもなんで疑問そうなの? 私との約束忘れちゃったの? それとも私は口だけだと思ったの? 少しイラっとしたけど、仁さんに限ってそんなことは無いと思いすぐに我に返る。
仁さんも疑問っぽそうだったけど、少し嬉しそうに受け取ってもらえてよかった。
(ちゃんと渡せてよかった。作ったのに渡せないのは嫌だもん! でもおいしくないって言われたらどうしよう?)
渡せたまではよかったけど、後々のことを考えると不安になる。私も仁さんが行ってから準備を始めて家を出る。家を出る時、いつも仁さんに気を使わせているなと思う。本当ならもう少し家を出るの遅くてもいいのに私のせいで早く出させている。
(仁さんのことが苦手って感じがすこしずつなくなってきたから、もしこのまま順調にいけば仁さんが出る時間も遅くできるし、負担も少しは無くなるかな?)
学校に着くと仁さんは榎本くんと珍しい組み合わせの菊池くんと話していた。
(どんな会話しているんだろう?)
私がそう思ったが、すぐに何を考えているんだって思った。でも仁さんのことをもっと知りたい。あんなに優しくしてもらっているのに私は何も返せていない。少しでも知ったらそこでお礼ができるかもしれない。
私が少し考えているといつも通りクラスメイトの人たちから質問攻めされる。私の席の近くに来るため男子とは必然的に近くなる。そのため女子からの質問はすぐに対応できるけど、男子からの質問はすぐには返せない。
(はー。でも仁さんがこの距離にいても何とも思わないんだよね。逆に少し安心する)
やっぱり授業のレベルが高くてついていくのが大変。誰か勉強教えてくれないかな? 前に先生が仁さんは頭が良いって言っていたから仁さんにでも教わろうかな?
お昼になるとここ最近仲良くなった友達---結城里穂とその友達と一緒にお昼を食べる。
「優花ちゃんお弁当作っているの?」
「そうだよ」
「すごい! 私なんて料理できないよ」
「私も最初はできなかったから、みんな一緒だよ!」
「そうかなー。それにしても優花ちゃんは顔は可愛いし、スタイルはいいし、料理はできるし悪いところ一つもないじゃん。いいなー」
里穂から言われて思うが、私にだって悪いところはある。例えば男性が苦手なところ。それによく仁さんにはきつく言っちゃうときとかあるし。
「ありがと」
お昼が終わり午後の授業に入る。ついていくのでやっとな授業もやっと終わり家に帰る。家で仁さんと雑談をしているところで家のインターホンが鳴った。仁さんが出ていると私のところに来て
「イケメンな男性が尋ねてきたけど知り合い?」
ドキッとする。もしあの人だったら...。カメラ越しで見てみるとあの人---西村龍雅だった。声が出ない。体が震える。仁さんが聞いてきているのにこんな姿を見せて恥ずかしいと思っていると
「じゃあいないってことにするけどいい?」
仁さんは私に気をつかってくれた。本当にありがたい。この場に仁さんが居なかったらどうなっていたんだろうと思うとゾッとする。
仁さんが家から出て数分立ち居間に戻ってくる。それで西村龍雅のことを聞いてくる。いつもなら聞いてこないラインまで聞いてきた。でもなぜかスッと言葉が出てきた。その後嫌っている理由を説明した。
中学1年の時は優しくてイケメンだなって思っていた。けど学年が上がるごとに肩を触られたり、手を繋がれたり、腕を触られ始めて、中学3年の時には胸を触られた。身の危険を感じたから距離をとったらモデルの仕事帰りに付けられたりして怖く感じた。一番怖かったのは夜つけられたこと。
あの日から多分私は男性が苦手になったんだと思う。でもそれは私がちゃんと西村くんと向き合わなかったところも悪いと思う。だから迷惑はかけられない。私がそう思っていると仁さんはいままで見たこともないような怖い顔をしていた。少し時間がたって仁さんは対処を一緒にしようと言ってくれて驚く。
(なんでここまでしてくれるの? 運動とかとは違くて、人がかかわってくるんだよ? 仁さんにも被害が及ぶかもしれないんだよ?)
仁さんが危ない理由とかも説明してくれて一緒に帰るの案を了承する。本当は私から頼むべきだった。それなのに仁さんは気を使ってくれた。
(本当にやさしいな...)
学校での対処としての案が偽の恋人で驚いたが嫌な気持ちはしなかった。それよりも少し嬉しかった。
(私。もしかして...)
少し顔が赤くなりながらこの案も了承する。すると仁さんが私のことを呼び捨てで呼ぶ。
いきなりのことでドキッとする。いきなりじゃなくてもドキッとしていたかもしれない。私もぎこちなく仁と呼び、お互い苦笑いをして部屋に戻った。
(私、仁のこと好きなの? でも誰かを好きになったことがないから好きって気持ちがわからない。)
この気持ちはどっちなの?
読んでいただきありがとうございます。
本当にここまで読んでいただきモチベーション向上になります。
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