番外編3話 優花の日常
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引っ越してから初めてのモデルの仕事。引っ越したからって特に変わることはないけど、ちょっと緊張する。今までモデルの友達に鈴木って呼ばれてた人も、今は龍宮寺って名字に変わったからどう対応するのだろうか? 芸名で呼ばれている人はいいけど、鈴木って呼んでいた人に今まで通り鈴木って呼ばれるのも複雑だし、下の名前でいきなりよばれるのも...。
事務所に入ると仲のいい友達---森下優里が話しかけてくる。
「優花おはよー」
「おはよー優里!」
みんなも優里みたいに自然に話しかけてくれれば助かるのに...。変に気を使われるとどう対処していいかわからない。
「優花はどこのオーディション受けるの?」
「私は×××だよー。優里は?」
「私は×××だよ。お互い受ける場所が違うからライバルにならなくてよかった」
「本当にね」
モデルの仕事はまずオーディションを受けて受かったら、写真撮影に入る。それ以外にもSNSを使って知名度を上げていかなくてはいけない。モデル業は個人の人気で仕事が来たりするので、現状に満足するわけにもいかない。
(人気にはなってきているけど上には上がいるからね)
優里と少し話してから仕事に入る。夏休み中にファッションショーが入っているため、マネージャーさんと打ち合わせをする。
内容は体重、スタイル、肌の状態などをどのようにケアしているかや、どのような服を着るか。どうやって歩くか。
マネージャーさんは私に体力がない事をしっているため、そこを考慮して今の内から体力をつけるように言ってくる。
(本当に仁さんには感謝しかないよ)
仕事の打ち合わせが終わり、ちょっと優里と雑談する。
「優花は今の環境なれた?」
優里は心配そうに聞いてくれる。面白半分に聞く人もいるけど、信用できる友達はちゃんと心配してくれる。
(本当友達に恵まれている)
しみじみ思う。
「なれたよ。心配させちゃってごめんね」
「心配するよー。だって再婚相手に連れ子がいたんでしょ? それも男! 色目使われてない? 男子ってそういう目で見て来るし」
心配してくれるのは嬉しかった。でも少しイラッと来てしまった。
(仁さんはそう言う人種じゃないもん。優しいしちゃんと気も使ってくれる)
でも心配してくれているのに否定的なことを言うのはね...。
「色目で見てこないよ。大丈夫だよ」
「本当? 優花いつも抱え込んじゃうから何かされたら相談していいんだよ?」
「うん」
優里とも話し終わって家に帰る。家に仁さんだけいなかったけど、お義父さんとママはいた。
(二人は仲よさそうでいいな。私も将来いい男性と会ってあんな暮らしができるといいな)
すこししたら仁さんが家に帰ってきた。
「仁さんおかえり」
私と同時にママとお義父さんが言う。すると仁さんは少し顔が緩んでいた。おかえりって言われてそんなに嬉しかったのかな? そうだったら今度からいっぱい言ってあげよ。少しでも手助けしてもらっているのを返していきたいし。その夜はいつも通りの生活をして終わった。
仁さんと毎朝一緒に走る約束をしたのが先週。今日から一緒に走るんだよね。ちょっと楽しみだけど、仁さんについていけるかわからないし幻滅されたくない。それにまだ仁さんのことを信用しきっているわけじゃない。
運動をするときはしっかりと準備運動をした方がいいと目にしたことがあったので仁さんに質問する。すると仁さんはしっかりとした回答が返ってきた。
(こういうところだよね。ちゃんとわからないところを真剣に答えてくれるところ)
すると仁さんが私をまじまじと見てくるので
「どうしたの? まじまじと見て」
「あーえっと。かわいいなって思っただけ」
え? 一瞬ドキッする。でもすぐにそういう目で見ているのかって不安に感じたのでつい本音が出てしまった。
「仁さんもそういう目で見るんだね」
すると私が思っていた返答とは違う回答が返ってきた。言われてみればそうだよね。私も一流のモデルさんは可愛いと思うしかっこいいとも思う。それと一緒ってことだよね。ちょっとがっかりしたけど、安心もする。
(なんで私がっかりしているんだろう?)
私がわからない。まあ今考えてもね...。
話は終わりランニングに入る。最初は仁さんのことを気にしすぎてチラチラみてしまったけど、途中から走るのに夢中になり、あっという間に走り終わる。家に着くと仁さんはまず心配してれる。近くにこんな優しい男性がいなかったので新鮮に感じた。シャワーを浴びて居間に行くと仁さんは何やらノートを書いていた。
「何書いてるの?」
「優花さんの成長日記だよ」
「え?」
私の成長日記? なにそれ? 恥ずかしいんだけど。
私が疑問に思っていると仁さんが書いている理由を話してくれる。目で見えるものがあると治りやすいね。言われてみればそうだよね。何でも目に見えるものがあれば成長は感じるし、しっかり私のこと考えてくれているんだなと実感する。
仁さんは書き終えると部屋に戻ってしまう。
(ここまでしてもらっているし、私もお弁当をちゃんと作らなくちゃね。でもまずいって言われたらどうしよう? それよりも仁さんの嫌いな食べ物知らないよ)
不安がよぎり独り言を言ってしまう。
「まあ作ってから知っていければいいよね」
私はそう思いお弁当を作り始める。
(おいしい。次も食べたいって言ってほしいな)
読んでいただきありがとうございます。
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