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8話 優花と登校

この話は少し短めです。今日は20時にもう一話更新する予定です。


 次の日の朝。いつも通りのランニングから始める。走りながら学校のことを考える。今日から偽カップル生活を開始する。まず学校のやつらになんて言おう...。学校のことを考えていたらあっという間に走り終わり、家に入る。お互い休憩をはさみ居間で朝食をとる。


「今日は仁くん家でるの遅いね」


 美穂さんが俺に言う。美穂さんにはまだ伝えてなかったな。


「今日から優花さんと一緒に通うんですよ」


「あらそうなの! じゃあゆっくりご飯が食べられるわね!」


「はい」


 優花さんとお互い苦笑いしながら美穂さんがいつもより少し豪勢な朝食を食べて、優花さんと一緒に家を出る。


「「行ってきます」」


「いってらっしゃい」


 優花さんと一緒に家をでて通学し始めてふと思う。


(そう言えば今日は弁当もらってないな。まあ昨日の今日だしね。もらう立場で催促するのもね...)


 数分沈黙して、俺が沈黙に耐え切れなくなったので優花さんに話しかける。


「優花さん本当に大丈夫?」


「何が?」


「偽カップルのことだけど」


 ちょっと言葉足らずだったかと反省する。俺が聞いた時、優花さんは少しビクッとする。


「大丈夫。私が頼んでいることだしね。今日からよろしくね。後優花さんじゃなくて優花ね」


「あ、ごめん」


(今まで通り優花さんって言っていた。気をつけなくちゃだな)


「でも偽カップルってどんなことするんだろう?」


「うーん。手を繋ぐとか?」


 優花から思いもよらない言葉が出てきた。


「手を繋ぐか...。まあ俺たちじゃ無理だね」


 優花が男性を苦手にしているのはわかっている。近くに来るといつも少し震えている。だから手を繋ぐことは無理。


「そうだね。じゃあ何だろう? 一緒にお昼を食べるとか?」


「お昼か。いいね。一緒に食べよっか」


 これなら俺を使い男性の苦手意識を減らしつつ、男子が近寄ってこなくなると思う。それにカップルらしい。


「お昼...。よろしくね」


「うん」


 他にもカップルらしいことはあるか? なんせ俺に彼女ができたことないからわからない。それに男が苦手なのにずっと一緒にいると優花が疲れてしまう。


「あのさ。お願いしたいことがあるんだけどいい?」


「いいよ。なに?」


「私に勉強を教えてくれない?」


「そんなことならいいよ。どの教科が教わりたい?」


「数学」


「了解!」


 勉強のお願いされるとはな。優花ってそんなに勉強できなかったっけ? まだ優花が来てからテストが行われていないからわからない。男子が苦手なんだから勉強を教わるなら女子でもよかったと思う。それでも俺に聞いてくれたってことは偽カップルのことを考えてくれているし、俺のことも少し安心感を抱いてくれているってことだよな。


 優花に頼られて嬉しい反面、羨ましいという気持ちがわいてくる。


(表面上は信用することができるけど、心から信用することはできない)



 

読んでいただきありがとうございます。

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