嘘つきの占い師の話【意味怖風】
C「何も思い浮かばん」
C「こんな日に限って誰も捕まらん。……仕方ない、一人でやろう」
脇役C:小柄な男性。
「やぁ、そこ行くお嬢さん、どうでしょう。占いなど。こんな夜道で商いをしていて驚かせたかもしれませんが、おひとつ」
「昨日までは居なかった?いやいや。実は昨日もここで商いをしておりまして。しんと静かにしていると気づかれなかったので今回は声をかけさせていただいた次第です」
「やぁやぁ、そんなにも興味を持っていただけるとはこれ幸い。ではそうですね……。うーん、姓名判断、手相占い、タロット占いと各種取り揃えておりますが、今宵はこちらの水晶玉で占ってみましょうか」
「さぁ、よぉく覗き込んで。見えますか?だんだん見えてきますよ、さぁ、見えた、見えてきた……!」
「分かりましたか?えぇ、そうです。……そう驚かないで。過去を振り返ってはいけません」
「うーん、そうですね、ここ最近は運気が下がり気味だったのではないですか?うんうん、仕事が立て込んで忙しくなってきて、毎日疲れている。そういう時は注意力が散漫になり、事故の元ですからね。お気をつけてください。さらに、このままでは健康運もよろしくないでしょう。そうですね、仕事の差しさわりがない範囲で早めに帰ってぐっすり眠られることをお勧めしますね。もしくは、そう……ここは心機一転を図るというのも一つの手かもしれませんね。例えば、家移りなどを検討されるのも良いかと。まぁそれはなかなか難しいかもしれませんが……」
「え、いいことを聞いた?そうですか。明日にでも不動産屋に行く?……それは何よりです」
「え?明日?そうですね。明日もここにいることにします。貴方の良い知らせを聞けることを楽しみにしていますよ」
意味が分かると怖い話:話に出てくる女性はストーキングされていた。占い師は前日にそのことに気づいたが、女性本人は疲労のため気づいていなかった。翌日も女性はストーキングされていたため、占い師は水晶玉の反射を使ってついてきている存在を彼女に教えた。ストーキングに気づいたため女性は引っ越しを決めた。占い師が明日も同じ道にいるのは見守りのため。
C「うーん、驚きが足りないな。一人語りももっと練習しよう」
脇役C:小柄な男性。物語には驚きを求めるタイプ。