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第四話 木製かかし

前回のあらすじ:やっと動けるようになってきました。

俺が生まれ5年と2か月が過ぎた。

卯月。春の訪れと共に桜がちらほらと花咲き暖かい日差しが心地良い。

俺は朝食後、今日も日課の家の掃除を済ませウォーミングアップに素振りをしていた。


「毎日飽きもせず、よーやるの」


「あぁ、俺の居た世界だと続けることの大切さを教えていたからな」


「良い道徳心の環境で育ったんじゃな」


「まー。わかっててもそれをやらなかったのが俺だからな」


「理解しても実行するしないで変わるもんじゃて」


「ここに来て改めて実感した」


そう、ここの世界ではステータスと呼ばれる目に見えての成長がわかる。

元居た世界だと魔法も無ければステータスも閲覧できない。

それ故に自身の成長が目に見えてわかる現状がすごく楽しいのだ。



―――現実でもそんな機能が欲しかったぜ!


「それはそうとさ」


「なんじゃ?」


「今日から『かかし』を使って訓練する」


「そうか、頑張るのじゃぞ」


そう言い残すと狩りへと出かけて行った。

おいおい、アドバイスの1つでもほしかったんだが―――まぁ、じーちゃんの性格上、最初は何も言わず自身で気づくまで挑戦させようってことかな。


応用に関しての技量じゃ元居た世界だと日本人が最強だったから俺にもできる!―――はず。だよな?



「まずはこのかかし、どう叩いてくれようか」


色々試行してみたり考えたが1分ほどでそれをやめ、まずは全力で切り込んでみることにした。


かかしに向かい構える。構え方は剣道初心者だがどうしても同じ構えを取ってしまう。日本人だからか?


そして全力で冷静に呼吸を整え一気に振り切る―――。


ボキンっ!!


ほんの少しかかしがへこんだ様な鈍い音がしたのと同時に。


「いってぇえええええ!!!」


このかかし、素材は多分『黒重木』なんだろう、めちゃくちゃ固い。

しかも俺も初めて武器を使って物を叩いて気づいたが、叩けば作用するダメージがあるんだから当然それと同様の反発分も受ける訳で、素手で柄なんて持つもんじゃなかったな。


「日本刀の柄に柄糸を巻いてたのには刀と柄の固定以外にもダメージ抑止の意味合いも兼ね備えていたってことか……!」


やばい、手がめっちゃいてぇ。硬いもの同士が反発してくるダメージをマジで受けたから本当にいてぇ。

HPが2減ってるし。


痛い手を抑えつつ、俺は自室に戻り布の切れ端を手に取り、手のひらの自由が奪われない程度に、結構厚めに、そして木刀の柄にも布を巻いた。


「よっしゃ!これからが本番だ!」


再度かかしを正面に今度は連撃をイメージして木刀を叩きこむ。


「だいぶ痛みは緩和出来てるな。痛いのは痛いけどこれならやれる……!」


カンッカンッカンッ!!


良い音が辺りにずっと響きつつも、もう夕方。

狩りから戻ってきたじーちゃんは獲物である熊とは別に俺に小手の様なグローブを持ってきた。


「なんじゃ、てっきり手がしびれて今日の訓練はやっておらんと思ったのに」


おあいにく様だったな。そんな程度で音を上げる玉じゃないんだぜ。


「これでも使って手でもいたわりな」


ひょいと投げたグローブを取り。


「ありがとな」


「バカ息子が頑張ってるんだ。少し位は、な」

グローブ装備で今後が楽になりそうです。

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