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第三十六話 魔族とは

俺と襷丸は20名の部下を連れ、現在玄華とベルメサイア公国の国境付近の砦『北落師門』へと向かっている。かつて神々の戦争の時代から存在していると言われる難攻不落と呼ばれた要塞であり、10年前の魔王軍侵略時にも陥落されることは無い程優秀な重要拠点だ。


北落師門は山一つが丸々要塞として改造された場所であり、それを作ったのは当時のドワーフ種の遺産と言う事でも有名であるらしい。山をくり抜き、いたるところに壁面を見せ、山の内部には敵の侵入を阻む迷路。正面突破が容易に出来ぬ様設計された連郭式の曲輪を軸に合計9か所の曲輪が存在し、防衛に特化した要塞。


北落師門が重要拠点としての意味合いは別にあった。本来の需要はその交易路としての意味合いが強い。玄華とベルメサイア公国の国境は蛇龍山脈(別名ガレル山脈)と呼ばれその山々が細長く蛇の様に山脈が重なっており、その険しさから山越えが困難な為その名が付けられた。その蛇龍山脈をどうやったのかくり抜き作った北落師門は玄華とベルメサイア公国を繋ぐ唯一の交易路であった為、重要拠点として運用されていた。


しかし、ベルメサイア公国側の近隣地方が落城しており、魔王軍のが度々攻撃を仕掛けてくる為に激しい攻防が行われる前線へとなった。

だから今回の遠征は魔王軍を強行突破し、ベルメサイア公国との連絡網の構築とそれらを皮切りに大陸から魔王軍を殲滅する一大作戦を敢行しようと言うのだ。


と言う話を襷丸に教えてもらった。


「神威様、じきに北落師門へと到着します」


そう言うのは襷丸だ。俺達は今、北落師門へ向かう馬車の中で揺られている。王都からはや2週間が経過、毎日馬車の中で前線へと急いでいるが距離が遠い事と馬の体力に合わせて移動する為、日数が掛かる。


「なぁ」


「なんでしょうか」


「今まで考えたことも無かったんだが、魔族ってのはどういう奴らなんだ?」


俺にとっては素朴な疑問だった。魔族魔族と皆言うが元々はこの大陸の住民だった者達の事だったし、俺達は何と今対峙しようとしているのか今更気になった。


「そうですね。魔族と呼ばれている種族としてはドレイクと呼ばれる竜人種。ダークエルフと呼ばれるエルフ種、オークと呼ばれるエルフ種、ギガースと呼ばれる巨人種の4種が筆頭種族でしょうか」


「龍人と竜人が居るのか」


「えぇ、我々も確定的な事実は存じないのですが元々は祖は同じだったのが対立しあううちに龍族と竜族で分岐したと言うのが簡単に答えれる理由でしょうか」


東洋の龍と西洋の竜と言った違いぐらいで然したる差はこの世界には無いらしい。亀みたいなのも龍として存在してる世界だから深い設定は気にしたらいけないんだと思った。


「その理屈で言うとダークエルフやオークも同じ理由か」


「えぇ、大体の耳が長い種族はゴブリンもドワーフもウッドエルフもハイエルフも皆同種だと学術的にはなっております」


「龍族でも野生の龍が存在する理由は?」


「元々龍化と言うのは人化ができる龍が居たことに始まります」


「それが龍の王族か」


「はい、その通りです。何千年もの歳月と歴を重ね、龍は人の姿を基本とした王族と自身の姿に誇りを持ち、その本能に身を任せた種族に分かれました」


「それで野生の龍と龍人に分かれたのか」


「はい。更に今でも龍化をした際に自信の本能の赴くまま戻ることをやめ暮らすものも居りますので高位の龍などは対話も可能ですし、恋愛も可能とされております」


「要は見た目を自分がどうしたいかで然したる違いは無いわけか」


「いいえ、龍化すれば本能に囚われてしまいます。これは相当訓練しないと自我を保つことは出来ないのでとて難しい事なのです。それに龍化すれば真の力も戻る為、人の形態より利点は多いですね」


「不利点は?」


「大きさと自我を保つことが容易でない、器用度が極端に下がる。くらいでしょうか」


「なんか器用差と常識を手に入れる為に本能と力を限界まで封印したのが龍人みたいだな」


「そうなのかもしれませんね。他種との交流を望んだ結果、力よりも優先すべきことだったのでしょう」


流石に龍の状態じゃ人種との対話は無理そうだな……。俺も巨大な龍相手に対等に会話できるかと言われたら無理だと思ってしまう。


「結局は皆元々この世界の者同士で戦争をやってるんだな」


「戦争とはそういうものかと」

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