表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/41

第二十九話 杜の都

前回のあらすじ:廃屋は蜘蛛の巣でした。

女王蜘蛛はアンで放った魔弾が飛び武久に直撃する。ダメージは受けたがまだ何とか動けてはいるようだ。女王蜘蛛は続けざまに闇を連発。連続して飛んでくる魔弾を回避しながら月夜が脚を切り落とそうとするが出来ない。狭い部屋で動きが取りずらいらしい。攻めるなら今だろう。


「月夜は聖光でダメージを稼いでくれ。俺が蜘蛛の目を引き付ける」


「あいつは魔防高そうだけど大丈夫なの!?」


「簡単に切り落とせない現状、毒牙の射程で戦うのは危険すぎる」


俺と月夜は闇を避けつつ大地と聖光で牽制し、じりじりとダメージを稼いでいく。このまま押せば倒せるだろう。


「神威!危ない!避けて!」


月夜が叫んで危険を知らせてくれたが女王蜘蛛は俺に向かって突進を掛ける。巨大な図体を狭い屋内で避けきれず壁をぶち破り外へと吹っ飛ばされた。左脚に強烈な痛みが走る。どうやら折れたようだ。まずいのは外に出たので相手も動きやすくなったところだ。俺を狙う女王蜘蛛を追いかけ月夜と武久も駆けつける。


「ギギギギギ」


女王蜘蛛は魔弾を連発して撃つ。二発は体の軸をずらし回避したが一発が俺の右腕へとぶち当たり右腕も動かなくなる。


「蜘蛛の魔物よ!拙者はここぞ!」


武久が声を張り、女王蜘蛛を挑発すると巨大な図体を反転させ武久に突進した。


「羅道北玄流、紅蓮羅斬剣!」


武久を紅蓮の炎が包み込み、刀に炎が集約され、大きく振りかぶる。振り抜いた刀は地面を砕き一瞬の炎が爆散したように見えた。女王蜘蛛の頭部は真っ二つに裂け、切り口は燃えて巨体は武久の前で崩れ落ちた。


【経験値1027取得しました】


「神威!」


「神威殿!」


二人が俺の元へ駆けつけてくれる。大丈夫。毒は受けてない。


「あ、ああ生きてるよ」


「何が大丈夫なの!もう行き絶え絶えじゃない!」


「姫様、今は回復を優先しましょう」


月夜は俺に上光治癒ルクシオを掛けてくれる。折れた腕と脚が徐々に治る。意識がある時で初めて治癒魔法の世話になったと思うけどやっぱり優秀だな。武久も同様に回復してもらっている。


「体は……うん。動ける」


俺が体を起こし立ち上がると月夜に抱き着かれた。


「もう!油断しないでって言ったのに!」


「ごめん」


「しかし、あの状況では仕方ないと思いますぞ」


あの巨体で回避できなかったのは仕方ないと言えば言葉も出ない。


「仕方がないとは言いたくないけど、避けれなかったのは俺のミスだ。ごめん」


「次は自分の事も大事にして」


「そうするよ」


月夜がそう言うと廃屋の中へと入り奥に潜んでいた蜘蛛を倒していた。


「今日はここで一夜を過ごすから、二人も片づけるの手伝って」


俺達は廃屋を掃除し、寝るためのスペースだけ確保する。俺は集めた蜘蛛の死骸を火炎で灰にし、月夜は晩御飯の支度を、武久は屋内に落ちていた箒で蜘蛛の巣を取り除き寝る場所の確保をした。夕食は奇跡的に無事だった廃屋の台所を使うことにし、米は御釜で新たに炊いき、昼食と同じく干し肉の焼き。


少し、あったかい気持ちになった。



翌日、街道を外れ東へと向かう。杜の都へと向かう細道を進んで半日。目的地が見えてきた。


「神威殿。そろそろ到着しますぞ」


遠目で目に入る巨大な神殿。清水寺の様に見えるがこちらの世界では神殿……になるのかな?


山の谷間を利用したであろう都市は幻想的な雰囲気を醸し出していた。昨日の武久の話だと特殊な魔素の関係で属性色のある魔力の霧が立ち込めるらしい。それが太陽の光に反射して幻想的な雰囲気を醸し出すのだとか。……ただ戦争で10年が経っているとはいえ完全修復はされていないのか、神殿など巨大施設はまだ修理している最中なのが残念だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ