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第二話 玄武との日々

前回のあらすじ:俺は最弱生物だった。

今過ごしているのは玄武の社と呼ばれる所だそうだ。


玄武の社は四方が高さ3メートル位の瓦屋根の付いた周壁で囲まれており、社自体は日本の寝殿造だろうな。

門を抜け、社にまっすぐ向かうと儀式や祭事、その他人が多く集まるときに使うであろう140畳ほどの大広間がある。大広間を中心に東に炊事場、馬小屋、小さい客部屋が3つに厠が付いてる。

大広間を中心に西には炊事場と中広間、厠がある。

大広間から南側は庭園と訓練が出来そうなスペース。

最後の北側には玄武の部屋と俺の部屋、炊事場、書斎、空きの部屋が2つに居間、厠がある。


家はやっぱり四帝と呼ばれるだけあってゴージャスではあるが、時代的なものだろうか、平屋なのがなぁ。

まぁここの家のルールはすぐに慣れた。と言うか日本の家と同じで屋内土足禁止の毎朝大広間の儀式用の祭壇の手入れと家の掃除くらいか。毎朝神棚掃除してた俺には無問題だった。


ぶっちゃけると居住空間である北側以外の厠はあまり掃除していない。

そもそも人が来たことすらない。


なんだろう。せっかく異世界に来たのに日本で駆け込み寺で修業しに来た修行僧みたいな生活を毎日送ってる気がする。


育ての親は『玄武』。なんでも四皇と呼ばれる偉い人物らしいが、人里を離れてひっそりと住んでいる。

数千年の時をこの地で住んでいるらしく、知識は膨大にあるが、失うものの多さに疲れてしまったのだろう、人と関わることをやめてしまったらしい。

いつでも動きやすい様に普段から漆黒の作務衣に長剣を帯びている。剣の名前を聞いても教えてはくれなかった。

腰まで伸びる白髪を結って背中のあたり位に調節して、黒い作務衣の邪魔にならぬようにしているのは無駄な足掻きだと俺は思った。

俺の知る四神『玄武』同様に黒であり北の神であると思う。

龍人であるそうなので龍化すると亀と蛇のアレになるんだろうな。




今度は俺の話をする。

この世界で俺は最弱だと知った。

これ以上がないって程に最弱だそうだ。2度言うのはそれほど重要だという事。

俺の固定アビリティ、『希望』『可能性』『勇気』の効果は玄武もわからないそうだ。

ったく、最初から使えるチート能力が欲しかったぜ。


だが逆に利点も多々あった。

何か行動を起こすごとにその熟練値が入りステータスが上がる。

Lvはその総合評価が一定値を超えることで上がりボーナスを得る仕組みらしい。


1歳位から足や手を動かしSTRとVITを上昇させ、手や足の指を色々と動かしてDEXも上げたり、玄武にこの世界での優しい絵本から文字を覚えINTの向上を図った。


1歳半位で自分の足で立てるだけのVITとSTRを身に着け歩けるようになった。


2歳半位の頃走り回れるようになりある程度ましになってきた。


その後は家の掃除やらを手伝いながらステータスを磨いていったのだ。


玄武との日々は大変だったが、話してみると何でも知ってることもあり、俺の世界の事にも興味があるようでなんだかんだずっと会話に困ることは無かった。

俺は玄武の事を『じーちゃん』と呼ぶようになっていた。


そして―――現在5歳。

庭の池に映った姿での確認になるが、肩くらいまである長い黒髪に深紅の瞳、耳が龍人特有でエルフの様にとがった耳をした子供がじーちゃんのお下がりの作務衣を着て映っている。背がめちゃくちゃ小さいな……。多分90cm前後だと思われる。尺が無いのでわからん。


――――――――――――――――――――――――――――


【ステータス】

名前:神威

種族:龍人

状態:普通

Lv    :1

HP    :8/8

MP    :3/3

SP    :6/6

気    :4/4

SAN    :100/100


STR    :10

VIT    :7

DEX    :12

AGI    :8

INT    :8

MND    :14

EDU    :11


【レジェンダリアビリティ】希望 可能性 勇気


【レジェンダリスキル】龍化(極封印)



―――――――――――――――――――――――――――――


あと、俺が知らない間に龍化が封印されてた。よくわからんがチート能力は封印される宿命でもあるんだろうか。まぁ今は関係ないのでスルーしとく。


「流石に家の手伝いだけじゃステータスが上がらなくなったなぁ」


「当り前じゃ!動いてるだけでステータスが上がるなら世界中のすべてが最強生物になっとるわ!」


まぁ確かに、そんなに簡単なら誰も苦労はしないな。


けどレベルが一度も上がらないせいか色々な意味で大丈夫なのか心配になってくる。


「なぁ、この世界での平均レベルっていくつくらいなんだ?」


「あん?神威は不思議なことを聞くのぉ」


「そうか?大体どれくらいで普通なのかなって思って」


「それはお前さんの世界で言うとこのどの国がどれだけの戦力を保持してるか知ってるか?ってのと同じレベルの話になろう?」


「確かに」


実際俺も自分の住んでた地域でさえどれだけの人がどの程度の強さなのかなんてわかるはずもなく、ましてや別の国の戦力もしかり、普通はわからないものだな。


「まぁ、近くの村の人間で言えば大体生涯で10~20行くか行かないくらいなんじゃなかろうかの」


「10~20か」


そうか、別に個人で鍛える気がある者以外は別に高レベルを目指すこともないしな

建築業でSTRやVITが必要で仕事をしてるうちに勝手に上がっていく以外でレベルの上昇もしないだろうし

そんなもんか。


「じーちゃん。そろそろレベルを上げたいんだけど、このステータスで行けるところはある?」


「馬鹿もんが!そんな低ステータスで何が倒せる!倒せるものなんておりゃせんわ!」


まじかよ、このステータスじゃ魔物も倒せないのか。


「うーん、まっとれ」


そう言い残すとじーちゃんが出て行ったきり一時間くらいが経過した。


「よし神威、即席ではあるが訓練用の木製かかしを作ってやったぞ」


「え、まさかこれで戦闘訓練をしろと?」


「そりゃそうじゃ、戦闘技量の無いお前さんが経験を積むにはもってこいじゃろ」


そう言いながら一緒に作ったんだろう。一振りの木刀のような棒を俺に手渡した。


「重っ!なんだこれ」


「ははは。それは『黒重木』と言ってな、重力系の魔法の力が作用しておるのか一般的な木と比べると倍近く重さが違う木なんじゃ」


見た目は黒い木なんだがなんかめちゃくちゃ重い。5キロくらいあるんじゃないか? しらんけど。


「これで訓練したら上達が早そうだ」


「そうじゃろ、そうじゃろ? まぁ慣れるまで相当掛かるやもしれんが気長に頑張りな」


じーちゃんはそう言い残すといつものように食料を取りに狩りへと出かけて行った。


俺は朝一から日課の掃除が終わっているので今日から素振りやらかかし相手に訓練だな。

まともに動けるようになってきました。

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