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第二十四話 龍王 瞭然

前回のあらすじ:瞭然に決闘を挑まれる。

俺は心地よい感触と穂のかに香る良い匂いによって目が覚めた。


眼を開けると月夜との距離が近い。


―――そうだった。一緒に寝てたんだ。


無意識のうちに月夜を抱き枕代わりにして眠ってしまったようだ。


上半身を起こし、ボーっと月夜を見やり頭を撫でる。


スースーと眠っていた月夜だが、流石に違和感を感じたのか起こしてしまったようだ。


「おはよう」


「うーん……おはよ」


まだ眠いのだろう。右目を擦りながら返事をしたが俺に寄垂掛かる。


「今日は瞭然と手合いがある。体を温めておきたいからそろそろ起きようか」


「あー……。うん」


俺は布団から出ていつもの着物を着ける。


時間差で月夜も着替える。


天守を出るとほとんど誰も居ない。まだ早朝で衛兵も寝てるようだ。


俺と月夜は二の丸まで下りて行き訓練場の所でストレッチをして素振りを始める。


「体も暖まったし、少し相手してくれないか?」


「今日は大事な手合いがあるから無理のない程度にね」


慣れた様子で全支援を月夜にかける。

ある程度の距離を取り木刀を構えると俺は開始の合図を行う。


「それじゃ行くぞ」


「すぐに倒れないでよ?」


俺が合図をする。同時に月夜はコウで作った剣を4つ生成する。


攻撃の隙を封じる剣の乱舞が俺に常時付き纏い、その隙を待っていたかの様に月夜が俺を狙う。


「いつもながら、末恐ろしい連打だな」


「寝ぼけてると痛いじゃ済まないからね」


浮遊する4本の剣は俺に会話の時間さえくれない。


全ての攻撃をいなしきれる訳ではない。極力木刀で往なしで盾を生成して防ぐ。


取り巻きの剣を抜け、木刀を左斜め下から打ち込む。かなり重い一撃を放ったのだが月夜に止められる。

鍔迫り合いに持ち込まれたが、力勝負なら負ける気がしない。


―――っと、それは相手も許してくれない。


瞬時に光の剣が死角から飛んでくる。


俺は月夜を押し込み後ろへ跳躍し光の剣を回避する。


「……最後の一手でいつも捉えきれない」


「いや、そこを取らせたら俺が負けるから簡単には取らせる訳ないだろ」


その後、も月夜は色々俺を追い詰めてきた。


光の剣をランダムな軌道で攻撃してきたり、剣の本数を増やしたりコウを飛ばしそれを爆発させて利用したり、と俺はそれを木刀の稽古として少しずつ攻撃を避け、本人を攻めて行く。


そんな攻防を二時間ほど続けていたが決着はつかなかった。


気が付けば俺と月夜の周りには武久やクルメを始め、多くの兵士たちが俺達を囲み観客となっていた。


「ふぅ。そろそろ稽古もやめておこうか」


「神威の足さばきを私も見習わないと」


「月夜は接近された時だいぶ動けてるし、得意な魔法制御をもっと極めたらいいと思うが」


「それだけじゃ駄目、抜かれる程度の精度なら近接でももっと動けなきゃ」


そうこう指摘しあいつつクルメ達の元へ行く。


「おはようございます」


「ああ、おはよう」


「おはよ」


「朝食の支度が出来ておりますので向かいましょう」


「うむ、そうするか」


朝食を済ませ、のんびりとしていると侍女がやって来た。


瞭然との手合いの支度が整ったとの事。


俺も準備は済んでいる。そのまま侍女に連れられ稽古場へと向かう。


「お、あれが先ほど姫様と稽古をしていた小僧か」


「あんな小さいのにどこからあんな動きを……」


「隊長が言うには小僧の皮をかぶった化け物のような強さだとか。流石は瞭然様の息子か」


観客の雑談が耳に入ってくる。


「まぁ、瞭然様にどこまで食い下がることができるか」


「馬鹿、瞭然様に一手打てたら相当だろう」


「結局、龍化せずの手合いだからな」


俺は瞭然の元へ行く。


「わりぃな」


「??」


「いや、ずっと戦時として緊張しきっていてな。こんな催しがあればここぞとばかりに息抜きに兵士が寄って来るんだ」


「いや、息抜きとしての見世物なら喜んでやって良いと思ってるから」


「はっは。口だけは達者だな」


「俺も一度試してみたかったんだ」


「ならば良い。―――して今回の決まりだが、単純に倒れた方が負けって事で良いか?」


「つまり魔法も使って良いと?」


「あぁ、余の配下の治療班もな、今回の話を聞いて喜んで配備されたので死ななければ大体の治療は問題無くなった」


「皆に休暇を与えた方がいいんじゃないのか……?」


「そうしてやりたいんだがなぁ。情勢が悪すぎてまだまだ余裕が無い」


「―――そうか」


俺と瞭然は眼を合わせ軽く会話をしてみたが、やはり親子なんだろうか。


「あー。言葉を交わしても繋がるもんじゃねぇな。そろそろやるか」


「そだな」


俺達は木刀を各々構える。


―――――――――――――――――――――――――


【ステータス】

名前:瞭然

種族:龍人

状態:普通

Lv    :129

HP    :6640/6640

MP    :6271/6271

SP    :5810/5810

気    :5014/5014

SAN    :100/100


STR    :3275

VIT    :3003

DEX    :2879

AGI    :2800

INT    :3160

MND    :3320

EDU    :100


―――――――――――――――――――――――――


意味不明なステータスを見てしまった。


スキル等は妨害で見えなくなっている。ステータスを見せるのは力量差を見せつける為だろうか。


俺のステの約6倍か


このステータスで魔王とやっとタメ張れる訳か……。


「俺の強さに今更ビビっちまったのか?」


「―――いや、逆にワクワクしてきた」


「はっはっは。ならばさっさと来い」


俺が何をしても攻撃は入らない。これは相手が手を抜いても入らないだろう。


下手な攻撃をしても相手は満足しないだろう。


俺も舐められれたくは無い。ここで俺が出来ることはたった1つだ



―――全力でやるまでだ!


俺は自らに全支援を掛ける。この世界の住人はこれまで魔力強化の概念を知りえていなかった。

攻めるならそこだ。俺はステータスを爆発的に上昇させ、両全へと突っ込んだ。


「な、なにっ!?」


今まで想像もしていなかっただろう。3桁のステータスの10歳になったばかりのガキが自らの脅威になるなんて誰が想像しただろう。


俺は瞭然の目の前へと跳躍し、そのまま強烈な一撃を胴へと叩き込む。瞭然は木刀で防ぐが軸足が地面へと食い込む。


一瞬の隙も与えない!


木刀を振り下ろし鍔迫りを解くと瞭然の下へ潜り込む。


「連続火炎!」


火炎を魔法拡大(範囲)で連続爆破させ瞭然を空中へ吹き飛ばす。


両腕を交互に火炎をぶち込も宙を舞う瞭然。俺はすかさず聖光セイコウを8つ上空へ高速で飛ばす。


一瞬上空の瞭然と俺は目があった様に思えた。―――目が笑ってやがる。


「氷結!駄目押しだぁああ!」


俺は上空に飛ばした聖光を大爆発させ氷結をミサイルの様に飛ばした。


―――が、氷結は衝撃波の様な斬撃で切断された。


「はーっはっはっは!!!」


爆風でまだ視界が見えないのに気配で氷結を潰したのか。


「ありゃ化け物の類だな」


高速で地面へと降りてくるなり、俺の方を睨みを利かせる。


「正直ここまで出来るとは思ってもみなかった。こりゃ余も下限出来ねぇかもしれんな」


「元より俺が下限して戦うなんて選択肢はなかったろ」


「ははは、そりゃそうだ。余の前で下限などした時点で死よりも恐ろしい目にあわそうと思っておった」


たった一瞬の出来事で周りの者すべてが静まり返っていた。


―――――――――――――――――――――――――


【ステータス】

名前:瞭然

種族:龍人

状態:普通

Lv    :129

HP    :6378/6640

MP    :5980/6271

SP    :5780/5810

気    :4620/5014

SAN    :100/100


―――――――――――――――――――――――――


あれだけやって300ダメージぽっちか。

ダメージ軽減をどうやってやったかは分からないが、MPと気が減ってる辺り何かしら対策を打たれてるな。



「おいおい、誰だよ。あの小僧じゃ瞭然様に傷を着けれないなんて言った奴は……」


「あの小僧、名を神威と言ったか。ありゃとんでもねぇ化け物じゃねーか!」


観客がざわつき出し、それはすぐに声援へと変わった。


「す、すごい」


食事前まで共に稽古していた相手とは思えぬ攻防を前に月夜は圧倒されている。


「神威殿があれほどの力を隠しておられたとは……」


武久も俺との力量の差に圧倒されている。


「周りもだいぶ盛り上がってきたようだな。なら今度は余からやらせてもらおうか。―――『豪炎』」


巨大な炎の玉が高速で飛んでくる。


「!!?」


豪炎を避けたが、瞭然は何度も豪炎を唱えてくる。


―――このままじゃやばい。とっさに木刀に風属性を付与してぶった切って間合いを詰める。


「ほう、余の豪炎を切り捨て向かってくるか」


俺は完全に瞭然を捉える間合いに入ると納刀からの抜刀体制を取り、居合斬りを放った。


「―――同格であれば防ぐことが出来ぬ速度だなこりゃ」


「―――なっ!?」


瞭然は俺の居合を防ぎ余裕の笑みを俺に向けた。


「近接は俺の得意分野だ!」


俺は高速で二連撃、乱れ突きを放ったがすべていなされる。


「よくぞここまで鍛え上げた!。褒めてやろう。―――だが、これで終わりだ」


言葉と同時に姿が消え、上空から重い衝撃が来る。


「ぐはっ……」


眼にもとまらぬ速さで跳躍して俺の左肩に一撃を叩きこんだのだ。



俺はそのまま気を失い倒れこんだ。

勝てねぇっす。

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