第一話 最弱の龍人
前回のあらすじ:『高天原』にて三神より、力を授けられた。
『―――ここは、どこだ?』
激しい光に包ま絵れた俺が次に目にした光景は見知らぬ女性の顔。
その女性は止めも優しい笑顔で俺を抱きしめていた。
『あれ、俺の体が動かない……?』
言葉も出ない。ただ動かしている感覚はある。なんだろう、変な感じだ。
―――だが、俺のことよりも周りが以上に慌ただしかった。
「王妃様まもなく敵が迫ってきます!早く赤子を抱いてお逃げください!」
どうやら城が攻め落とされようとしているらしい。動きたいが動けない。
ってか、え? あの女性の事を王妃って呼んでたし赤子って俺の事?
そうか、俺は赤ん坊としてこの世に転生したのか。成程、自由に動けないってのも納得だ。
ってか、それだと俺今やばくね?動けない赤ん坊の状況で殺されてバッドエンド寸前じゃねーか!
その後、あれやこれやと出来ることを模索し続けたがひどい眠気に襲われ眠ってしまった。
いや、俺の名前まだ聞いてないんだが……。
再び目覚めると俺はとても大きな大樹の根の隙間に居た。
曇りではないが、大きな雲が頭上にあるのだろう、雲の隙間からの光芒が辺りを神秘的に照らし出していた。
状況確認をしてみよう。
1、多分俺が生まれたのはどこかの城だったという事。
2、王妃と呼ばれていた美しい女性が俺に笑みを掛けていたということは彼女が母親だったであろう事。
3、俺を連れて逃げたはいいが俺を隠してどこかへ去ったであろう事。
まぁどれも推測なんだけどな。
特に3つ目に関しては助けを呼びに行ったのかもしれないし。
俺は困ったことが1つあった。
それは飯だ。現状腹は減っていないけど、これが数時間後には空腹になるだろう。
多分この体では持って1日あるかないか……。
それまでに助けが来れば何とかなるかもしれないが……困った。まさか転生初日目にしてゲームオーバーは俺も三神も思ってもみなかっただろうな。
―――そして5時間後。
「誰だ、儂の聖域に赤子を捨てていった馬鹿は」
「!!」
俺は動けないので視線がずっと空を向いているんだが、そこには日本人の老人の様な顔がひょっこりと現れた。一見すると日本人だが、耳はエルフの様に長くとがっていた。
老人は俺を根の隙間からひょいと取り出すと一言。
「こりゃ、なんつー弱い龍族じゃ」
その言葉を聞いた俺は『?』と意味がよくわからなかった。
まぁ赤ん坊の時から最強は無いだろ常考……。とか思ってた。
「まぁ、捨てる神あれば拾う神ありってことじゃな」
老人はじっと俺を見つめ何か思い立ったように声をかけた。
まじまじ見つめられると恥ずかしいからやめてくれ……。俺はいたって普通のヲタクなんだ。コミュ力が危険信号出してるから。
「よし!主の名前は今日より豆太郎じゃ!」
ちょ、おいおい転生してその名前はねーよ!これから強くなっていくんだ、どうせならもっとましな名前にしてくれよ!
俺はその名前が嫌なのを話せない体で必死に首を横に振った。全力で
「なんじゃ名前が気に入らんのか。なら―――」
その後も弱くてダサい名前が300個以上出たが全力で拒否してやった。
一寸だったり牛太郎だったり豆の助だったり、てか豆関連の名前が7つくらいでた。どんだけ豆好きなんだよ……。
結果何故かそこで1時間ほど老人の命名ガチャを回した結果。俺の名前は『神威』となった。
この老人から神威の名が出るとか多分本当の意味で奇跡に近かった。
俺は老人に連れられるがまま老人の家であろう所に連れて行かれた。
まぁ、抱っこされてちゃなすがままなんで仕方がない。
その後、老人に育ててもらい、俺はすくすくと平和な時を育った。
その時に色々世界の事も教えてもらった。
まずは名前、老人の名は『玄武』 種族分類上では龍人であるが角がない。
まぁ、俺の知ってる四神の玄武と同じ感じだが、この世界には四帝と呼ばれる国家以外で肉体的・精神的に神に近しい最高地位の者がいて世界との干渉をしない代わり、己の結界によって世界のパワーバランスを支えるのが役目なんだとか。
俺は1歳になる前に会話ができるようになり、その後玄武に俺が転生者である事と俺の使命を事前に話をしていた。
それがきっかけで俺は玄武から様々なことを学ぶことができた。そして絶望した。
まずはステータス。
この世界にはステータスと呼ばれるゲームの様な自身の能力値を数値として閲覧することが可能な事。
俺のステータスはこうだ。
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【ステータス】
名前:神威
種族:龍人
状態:普通
Lv :1/1
HP :1/1
MP :1/1
SP :1/1
気 :1/1
SAN :100/100
STR :1
VIT :1
DEX :1
AGI :1
INT :1
MND :1
EDU :1/100
【レジェンダリアビリティ】希望 可能性 勇気
【レジェンダリスキル】龍化
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全ステータスがそもそも1だった。そりゃ弱いと言われても仕方ないわ。
てかダメージ受けたら死ぬぞこれ。
だけども俺にはチート能力である【レジェンダリアビリティ】が付いてる。これがどんな効果を示すのか今後調べなきゃな。
玄武によると龍人は生まれた状態でも平均ステータスが20前後あるらしい。それがどの程度の強さ化はしらんが。
まぁ、大抵のステータスの見方は俺もぱっと見見た感じで理解できた、まぁゲーマーでもあるしな。
なんとなく理解できるが俺の解釈と違うと困るので質問できるとこは聞いてみた。
まずLv:これはまんま自身の確定的なステータスで現在地位を示す数値だそうだ。
HP:まぁ生命活動値だな。なくなると死ぬやつ。
MP:魔力値 まぁ、これもまんまの意味だ。
SP:行動動作ポイントか、まぁ走ったりすると疲れるやつ。
気:これは魔力と同じで体内に巡ってる能力らしい。
SAN Sanitiy:自身の正気度表す値、無くなると発狂して自我を失い廃人と化すらしい。全種族固定で100だそうだ。数値は上昇しない。回復はする。 よかった。
STR Sterength:筋力 攻撃力に算出される数値だそうだ。
VIT Vitality:生命力・持久力度。これが上がるとHPや防御力に影響する。
DEX Dexterity:器用度 物理技量上昇の成功率が上がる数値。
AGI Agility:敏捷度 移動速度に直結し、主に移動速度肉体動作に影響する。
INT Intelligence:知力 頭の回転速度・状況判断・魔法攻撃力に影響する。
MND Mind:精神力 敵の精神攻撃・魔法や気などの防御に影響する。
EDU Education:教養 全体のステータスの底上げ、理解度・常識値 これは上限100で打ち止めだそうだ。
そんな感じで教わることができた。
それから俺は玄武を師匠として体を鍛える為に日々修行をすることになる。
自分が世界で最弱生物であることが判明した。