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第十五話 我流の四帝劇

前回のあらすじ:熊に襲われかけた月夜を抱っこして家に帰った。

ずっと俺の胸に頭をくっつけて俯いたままだった為か、敷地内でクルメに声を掛けられるまで月夜は今自分がどこにいるのかまで気が付いていなかったようだ。


「神威様!ど、どうなされたのですか!?」


屋敷の方から月夜を抱きかかえて戻ってきた姿に驚いてしまったのか、声を荒げて駆け寄ってくる。

その声に月夜は我に返ったのか、クルメの方を見やると顔を真っ赤にし、『降りる、降りるから!』と言わんばかりに抱かれている体を剥がして無理やり降りようとする。


降りたとほぼ同時に、クルメがそばに寄ってきては月夜の肩に手をやる。


「月夜姫が熊に襲われて転んでしまったようで、こうして戻ってきた」


「く、熊に……。今日はずっと姿がお見えにならないと思っておりましたので心配しておりましたが、神威さんを負って行った挙句、神威様にご迷惑をおかけする事態になってしまったようですね」


「理由はわからないけど、姫様なりの考えがあって付いてきたんだろ?そこをずっと責めちゃ本人も辛いだろ。今日は安静にさせてやってよ」


クルメは心配性が過ぎるかもしれないな。それに心配が過ぎると怒るタイプ。これ、結婚した旦那さんは苦労しそうだ。


「……わかりました、一度怪我の状態を確認してみましょう」


クルメは着物の上からではあるが、怪我の具合を確認しようとしている。


「よかった。外傷はないみたいですね」


「あぁ、けど何かあったら困る。なかで見てやってくれ」



そうしてクルメは月夜を連れて部屋へと戻っていった。

俺は部屋に戻るとそっと扉を閉め、机に向かって座り『四帝劇』と言われるものの内容を考えていた。


『そもそも俺、四帝劇自体見たことないんだよなぁ』


書斎にはそんな演劇の本無かったし、もしかしたら街ではやってる演劇の類なんだろうな。


『うーん。話の内容をクルメから聞いて見たけど、登場人物が20人以上必要な劇らしいからなぁ……』


四帝劇とは、世界中の人種ひとしゅの頂点位置に顕在し、今もなお現役の四人のことである。


主な役割はこの世界に無数にある大陸と島々を邪気を払う結界で包み込み、世界中に魔物の発生率を下げる役割を担う者たちだ。


じーちゃんもその一人で北方方面の大結界を張っている……らしい。

結界は視覚感知ができないものを使用している為見えないので、実感はわかない。

ただ、結界にも限度があり、魔王の侵略や魔界の直接干渉などの大量の邪気までは防ぎきれないのだと言うことだ。広く、そして魔王クラスの魔物が生まれない様に邪気を拡散させるものなのだと言う。


そしてその四帝が、今に四帝と言われる元となった『紅魔戦争』と呼ばれる戦争だ。

この戦争について考えるにはそれなりに過去の事も踏まえて話を進めなくてはいけないかもしれない。

自分がこれまで本で読んだ知識を整理してみよう。



この世界の歴史は『神聖時代』『大魔導文明時代』を経て、現在に至る。


太古の昔に神々が世界が破滅する寸前まで戦争をしあったらしく、世界を一度リセットする意味合いを込め、神々は自分たちの領域を各自で作りその世界へと移住していった、と言うのが神聖時代の結末。


神々がこの世から去り、善と悪の勢力で残された一部の家臣だったものや、その時代を逃げ延びた者たちが独自の文化を作って進化・発展をなした時代を『大魔導文明時代』と呼ぶ。


名前通り、魔法の技術が最も盛んにおこなわれたらしく、それ故に戦争も大規模だったらしい。



そんな『大魔導文明時代』をも終わらせる大戦争があった。


『紅魔戦争』

当時『アストリアル大陸』と呼ばれた中央大陸において、独裁国家であった『アストラルエンパイア』と呼ばれる帝国があった。

帝国の王族はかつての邪神の配下の者であったらしく、皇帝は自らを魔王と名乗り、「この世界に多数の神が居ては上手く回ることは出来ぬ。一神のみ存在すればよい」と提唱を唱えた。

当然、世界中の国家は反発し、大戦が勃発することとなる。


魔族とは当時の『アストリアル大陸』内にて帝国と親しかったもの達を総称し呼ぶ言葉となり、いわば差別用語として魔族と呼ぶようになったと言う。



その時代は何千年も劣化することのない神殿や神が与えし神器に匹敵するレベルの過去の遺物アーティファクトと呼ばれる魔道具が健在、製造され、多く存在しており、文明レベルがとても高い時代でもあったため、戦争の規模もとてつもなく大きかったそうだ。


それも、現在とは違って結界がないので、世界を包む魔素量が段違いと言う事で魔物の強さも比例して強かったらしい。


そんな『紅魔戦争』の最中、生まれた四人の天才『玄武』『青龍』『朱雀』『白虎』。


じーちゃん達四人を筆頭とした連合軍は長い戦いで劣勢を巻き返し、魔王率いる帝国を圧倒する。

劣勢に立たされた帝王「ネフェリタル・ガウリス」はこの世界に邪神を降臨させようとしたらしいが寸前の所で計画を止めることに成功。その後、『アストリアル大陸』を全国家の魔力を結集させ別空間へと転移封印した。―――それが昨日の話に出ていた『魔界』と呼ばれる世界の事だ。


彼『アストラルエンパイア』の起こした戦争終結後、更に世界中に顕在する凶悪な魔物を駆逐していったことにより世界はゆっくりと安定していった。

帝国が滅んだ後、『大魔導文明時代』は幕を下ろし、魔導の一部を外部に流出させぬ様禁忌目録へと記し、封印して、これを世界へと出回らせぬように全世界の国家との条約とした、条約違反は四帝の名をもって国を亡ぼすと。念を押して。


その働きがあって、四人は南の大国『ムート』にて新時代の幕開けを発表。現在に至ると言う訳か。


今回の演目で使う『四帝劇』とは、その四帝が帝国を打ち破るまでの物語。


多くの国家とかかわりを持ち、四帝が如何に魔王を倒し、世界を救ったのかをどうやって自分で魅せれるか……。


まぁ、何も考え無しで動いてたわけじゃない。


俺はその検証をするために山へ行って実験と検証をしてたんだ。

俺の理論が正しかったことは証明されている。


あとは、どういった内容の劇を創るのか。


―――それなんだよなぁ。

大体の流れはわかっちゃいるけど、どの部分を表現したらいいだろうか。


『じーちゃんにでも聞いてみるか』


俺は早速、居間へ向かった。


「じーちゃん居る?」


「なんじゃ藪から棒に」


「今さ、月夜姫の為にちょっとしたことやりたくて相談があるんだよ」


俺はじーちゃんに色々と説明し、実際にあった出来事で印象深かったところの詳細を教えてもらった。


「なるほど……。それなら行けそうだ」


「ん。儂の思い出が役に立って何よりじゃわい」


「さんきゅーな。それじゃそれの概要を練って、明日にでも練習してくる」


「なんじゃ。演劇じゃから人がいるじゃろ。それはどうするんじゃ?」


「それを踏まえて、やれるように工夫するんだよ。まぁ、完成したらまた報告するよ」


俺は部屋へと戻り、書斎から絵の付いた本を何冊か持ってきてはやりたいことを頭の中で形作っていった。

一応、目的の劇は完成しそう。


追記:昨日寝るのが早くて投稿予約忘れておりました。ごめんなさい。

帰宅後に投稿予約を取りましたので、夜21時投稿になってます。

明日の分も投稿済みですので、予約忘れに気を付けます。

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