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第十一話 レッサーオーガ

前回のあらすじ:馬車がゴブリンに襲われています。

レッサーオーガは一瞬にしてゴブリンを倒した俺を強く睨みつけ大声で咆哮を放った。

微かに大気が揺れ、馬車の周りは絶望に包まれた。

武士の様な恰好をした女性は腰を抜かし後ろへと下がろうとしている。

武士の男性は片膝を地に付けながらも後ろの少女をかばっていた。


馬車馬は暴れ、馬車と馬を繋ぐ『長柄』をぶち破り逃げて出し、御者も馬車から転倒してあたふたと馬車の陰に隠れていた。


『この状況はかなりまずい、俺の武器であいつにダメージが通るかどうかだな』


俺は先ほどのゴブリンとの戦闘でもう魔力がほぼ底をついていた。


―――――――――――――――――


【ステータス】

名前:神威

種族:龍人

状態:普通

Lv    :8

HP    :155/180

MP    :28/151

SP    :138/195

気    :40/182

SAN    :96/100


―――――――――――――――――


レベルアップ時に全回復なんて都合のいいことにはならねーなぁ。


相手に一撃でも貰えばコンボで俺は多分死ぬなこりゃ。


再び剣腰に戻し、抜刀の構えを取る。

レッサーオーガは右腕を大きく振り上げ、俺との距離を詰め振り上げてくる。

このストレートは俺には、通らん!!


俺の方がAGIが高くその攻撃の一瞬を突いて抜刀して左腰を切り裂く!!


―――が、全くと言っていいほど肌を切り裂けなかった。


切り抜け際、剣での攻撃は意味をなさないと判断し、わずかに切れ目を入れた箇所目掛けて「ライ」を打ち込んだ。



どうやらライは通ったようだ。そのままオーガの後ろを抜け馬車側へ移動する。

とっさに思い立ったことだったがこれにかけてみるしかなかった。


「おっさん!その太刀を俺に貸せ!!」


武士の男は俺の言葉に理解を示したのか太刀を地面へと突き立てる。


たった、たった一瞬の事だった。


俺は武士の男の方へ走ると同時にオーガの標的は武士風の女性に移った。


『まずい!!!』


「あっ……あっ……」


迫りくる恐怖に声が出せない女性は真っ青な顔でオーガを見ているだけだった。


俺は武士の男の傍へ走り抜くとその勢いで太刀を抜きオーガに向かって走る。


オーガは左腕を女性に向け、うちはなった。


「間に合ぇぇえええええええええ!!!ぐはっぁぁぁあああ!!!!!!」


俺はオーガの左ストレートを横腹からもろに受けて女性からオーガを見て左後方にぶっ飛んだ。


そのまま道脇に生えた木に直撃。



―――――――――――――――――


【ステータス】

名前:神威

種族:龍人

状態:普通

Lv    :8

HP    :61/180

MP    :18/151

SP    :87/195

気    :40/182

SAN    :75/100


―――――――――――――――――


居、一撃で94ダメージ……だと……。マジで死ぬ。


今まで直撃回避を予想して動いていた分、初めてのダメージのでかさと痛みで意識がぶっ飛びそうになった。


殴られた痛みから口から血を吐いた。やべぇ、まじでなんなんだよ。


オーガの方に目を向けると右腕を大きく振り上げ女性へ攻撃を仕掛けようとしていた。


まずい、あの一撃を受けたら確実に死ぬ!!


「オォオオオガァアアアア!俺はまだ生きてるぞぉぉぉおお!!」


俺は立ち上がり、全力の大声で相手の注意を惹き付けた。


効果は抜群だったようだ。オーガは俺を再度見ると同時咆哮で対抗してきた。


『次の接敵で決めなきゃ確実に終わるな』


俺は全身全霊をかけて太刀で納刀の構えを取る。太刀は大きすぎて俺の倍の長さだ。重てぇ。


オーガが全力で俺に向かって走りこんでくる。


俺は初動をわざと遅らせた。太刀に属性付与(風)を付与するためだ。


勝負は一瞬!オーガが俺を殴りこむ一瞬で片を付ける!!



「うぉぉぉおおおぉぉおおお!!!」


レッサーオーガが最後に一撃と言わんばかりに右腕を大きく振り上げ、俺に向かって振り下ろす!


「今だ!!」


俺は居合の様に抜刀し、再度同じ左腰に付けた切り口へと抜ける!!


そのまま反転しオーガの背後を左から右へ振り下ろす!


レッサーオーガが硬すぎるのか、太刀は真っ二つに折れた。―――だが俺は攻撃をやめない!!!


振り下ろした太刀を右から左へ薙ぎ払い!膝裏の靭帯を狙い二連撃を重ねる!


あまりの激痛にレッサーオーガは両膝を落とすと同時に右肩を狙って太刀を振り下ろしその反動を使ってレッサーオーガの目の前へと移動した。


「はぁはぁ、これで最後だぜ。オーガさんよぉお」


「ぐるぁぁぁあああああああああああ!」


レッサーオーガは完全に頭に血が上ってる。まさかこんな小さいガキに押されてるんだからな。


咆哮を使うレッサーオーガに俺は折れた太刀に属性付与(雷)を付与し直した。


太刀の長さは通常の刀くらい。


―――俺はこの逆転のチャンスを逃がさない。



折れた太刀を納刀状態にし、深く息を吸った。


俺は最後のラッシュをレッサーオーガにかける!


『奴の行動は残り2パターン。カウンターを狙って俺に殴り掛かるか、あえてガードを取って俺の隙を作るか。―――だがその判断を一瞬でもした時点でお前の負けだよ。オーガ』


俺の攻撃にオーガはガード態勢を取った。


「もうてめぇに勝機はねぇよ!!」


俺が狙ったのはオーガの左手首。関節部をさっき狙って分かったがやはり鍛えにくい部位は切り込める。

今回は雷付与もしてるからな。受けたら帯電の影響で全身の動きも鈍るそれがお前の最後だよ。


ぶっ飛んだ左手が宙に舞う中、俺はそのまま二連撃を放ち右手も切断した。二連撃の勢いが強すぎて俺自身も1メートルばかし飛んだがこれで最後だ。


身を若干動かし、折れた太刀を真上へと振り上げる。真向斬りの体勢だ。


そのまま俺は折れた太刀を振り下ろす。


【経験値を480取得しました】


着地した時にはレッサーオーガの頭蓋骨は真っ二つに裂け、太刀は肋骨で止まっていた。


レッサーオーガの死骸が威圧する様に辺りは静まり返った。


「ま、まさかこんな童子がレッサーオーガを討伐するなど……」


武士の男はそう呟くと、後ろの少女が俺の傍へと寄ってきた。


「ひ、姫様!!なりませぬ!」


武士の男がそう言うも、腰が引けてまだ動けないでいた。


「ここぞという時に動けぬ者が申すでない!」


「し、しかし……」


「お主が妾を守ってくれたのを妾は見ておった。主は恐ろしく強い。名はなんと申す?」


俺今そんな悠長に答えれるほど体力的に余裕ないんだが……。


「はぁはぁ……。かむい、神威カムイだ」


「―――神威。其方が……」


「???」


その姫様と言われている少女以外の面々が驚きの顔で俺の方を向いていた。


「なぁ、お嬢さん。あんた姫様なんだろ?」


「そ、そうですが……」


俺は立ち上がって少女と顔を合わせた。黒髪のストレートに深紅の瞳。おでこの端から出た小さな二本角。汗衫かざみ被衣かずきに見えるが……三重単衣くらいの重ね着のメインの白い着物には彼岸花……センスは悪くない。訪問着を着てるってことはどっかに行く最中ったんだろうな。


「あいにく俺には姫様と知り合うほど悠々自適な生活は送ってないんだ。俺はそろそろ帰る。」


「えっ、あっ……お待ちなさい! 待って!」


俺はそう言い残すと、森へと跳躍で飛び、そこから家に向かって駆け出して行った。


あの子可愛かったな。




俺は肉や剥ぎ取りナイフを拾い上げると帰路を全力疾走しながら今回の勢いに任せて戦闘をしたことを後悔していた。、


『まじやべー!やべーよ!まじで!今回下手したら死んでる奴や!』


俺はその後3時間ほど後、家へと帰ることができた。全身血だらけで。

その姿を見たじーちゃんが超心配してくれたのはちょっと嬉しかった。

レッサーオーガ怖い(TRPG感)

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