吸血鬼を追う者ー1
かなり遅れましてすいません。
ところどころ日本語おかしかったりするかもですがよろしくです。
まだ方向性がガシッと決まってない状態なので、いろいろと変です(笑)。
−−−
「...なんでこんな時にくるんだよ......全く...」
「ああぁん?なんつったオメェ聞こえねえぞ!」
「い、いやなんでも....」
晴れ時々ゴリラ、と。
本日の天気予報はそんなかんじか、と。
少年−−−寄鳥褥は思いふける。
「オラァおメェ聞いてんのかァ?」
「は、はい...」
そう、少年は現在進行系で恫喝をされており、その前方に立ちふさがる−−−ゴリラの様な威圧感を出した男もまた、現在進行系で恫喝中である。
すなわち、之を「カツアゲ」と。世には言うらしいのだが。
今日十二月の二十余り四日。それまでずっと止まることのなかった恫喝は。これからも止まる気配を見せないでいた。
通報こそすれ、目前のゴリラ不良の上司にあたる−−−白服の男にもみ消されるだけのこと。
逃げ場もなければ、かといって抗う力さえも、「劣等生」たる少年は持ち合わせていない。
打つ手無し。こんな状況で「弱者」がとる方法など、ただ一つしか無いのはもはや明白である。−−−すなわち、「服従」。抗うこと無く、ただ嵐が過ぎるのをやり過ごす...それが唯一の戦法であり、また少年がこの半年間貫いてきたやり方でもある。
「グルぅあ、早く財布出せやァ、ああぁん?」
「はい、出しますから...ちょ、首...ぐぅっ」
胸ぐらを捕まれ、汚れたビルの壁に押し付けられる少年。痛くないといえば嘘になるが、何度も食らっていれば慣れる。寄鳥の半年間のサンドバッグ体験は伊達ではない。
「こ、これ...」
彼は鞄の中に入れていた、薄い財布を取り出す。昨日違う奴らに貢がされたばかりで、唐突に請求されるとは思っていなかったから中にはほとんど入っていない...。
このゴリラも計画的にこいよ...と不良側の連携のなってなさに内心愚痴をこぼすが、ゴリラは少ない金を全てむしり取っていった。しかし、はした金で満足するとも思えず−−−。
「この程度しかないのか!ああん、舐めてんのか全く−−−」
結局、少年を散々っぱら殴ったり蹴ったりした後ようやくゴリラは帰っていった。−−−顔中に殴られた痕を残した、寄鳥を置いて。
力の大小関係なく−−−もし寄鳥が魔術の扱える人間であったのならば、このような結果にはならなかったのだろう。
しかし、この「学校」にかき消すことのできない烙印を押された無能の少年にとって−−−それは最早現実的ではなくなっている。
...おもむろに、寄鳥は立ち上がった。有り金を貪り取られたのだから、ここに長居する理由は無い。
さっさと家に帰ったほうがいいのである。
少年は、また今日も理不尽な搾取を受け入れて毎日を過ごす。
−−−
「やっぱ辛気臭いな...ココは」
高層ビルの間の細い路地裏を、一人の少年が歩いていた。
その少年の髪は夜の帳のように黒く!
その少年の瞳は深淵の闇のようであった...。
...要は、黒髪黒目の典型的な日本人の顔立ちをした少年だったのである。
そう、この街は別に、獣人だとかエルフだとかドワーフだとかが闊歩するような異世界でもなければ。
金髪巨乳のお姉さんや、褐色マッチョのムキムキ黒人お兄さんがいるような異国ですらない。
...ただの日本である。
したがって、そこに住むこの少年、寄鳥褥クンも何の変哲もないただの日本の男子中学生であり、
かといって現代日本を舞台に異能力バトルが勃発するなんてことも...この街では大変めずらしいことに、この少年の場合はありえない。
つまるところの、ただの男子中学生である。...前述の通りこの街ではある意味かなり貴重な部類ではあるが。
−−−この街とはすなわち、この都市。
正式名称を「デウス・エクス・マキナ」、通称「魔法学都」のことである。
魔法が人類によって使役可能である、と科学によって実証されたこの世界で、魔法学の最先端をゆく都市が、ここ「魔法学都」。
科学によって魔術が発達したこの街における技術とは−−−「魔術」と「科学」のみ。
魔術や、科学に関する様々な実験場も兼ねているこの街の正式な住民となっている者は全員、魔法学都となんらかの関係性がある住人ばかり。そして、その大半は「魔術」使役の授業を受けるために移り住んできた、学生たちなのである。
そう、少年寄鳥褥も、正にその学生さんの一人だったのだが...ご察しの通り、彼は魔術が使えなかった。補足をするならば、「魔術」というものが才能の有る無しに関係なく、誰でも扱える「技術」である、ということにも関わらず、だ。
小学生が九九を何度も何度も復唱していれば自ずと覚えられるように、魔術の使役に才能の干渉する余地はない−−−そこまで科学的に証明されているのである。
そんな中、寄鳥が魔術を使役できないということは−−−彼には魔術を使役できない、という才能が備わっているから、という一点に帰着する。
どれだけ努力をしようとできない才能−−−ある意味異能力とも言えるそれは、彼の運命を負の方向へと導くには十分すぎる才能で、いつしか彼は、魔法学都に巣食うチンピラの格好の餌食となってしまった−−−。
「次....あそこを右か...」
そんな少年、寄鳥は。先程のカツアゲなどまるでなかったことのように路地裏を進んでいく。
自身の寮のある魔法学都の「南区」へ向けて、臨海都市部の路地裏を突っ切っていくところである。
林立するビルを抜けて、商店街を奥に行けば−−−彼の通う中学校の寮が存在する。
寮と言っても、一昔前のアパートの様な出で立ちで、階層もそれなりにあるからそれなりに大きく、遠くからでも目視できる−−−そんな寮だ。
商店街を抜けて、右折する。すると見える鉄道橋を通ればすぐそこ...と、その時。
「...ん?」
寄鳥は何か、違和感を感じた。
鉄道橋の下、普段ならば誰も居ないような所−−−もちろん、今もだれもいない−−−の、とある一角に。異様なまでの存在感を感じる−−−ッ!!
「誰か...いるのか...」
違和感の発生源を探して、あたりを歩き回る寄鳥。
背中を、一筋の嫌な汗が伝っていくのを感じた。
「....!?」
ふと。目線を向けた鉄道橋の柱から。その違和感が出てくるのがはっきりとわかった。
一見、何の変哲もないただの柱だが−−−色濃い邪気が渦巻いてるのが、イメージとして浮かび上がってくる。
「......」
近寄るも、何も見えない。存在感はするのに、そこになにもいない。
(...ええ〜い....ままよ−−−)
意を決して、柱の方向へと手を伸ばす。
むにゅり、となにか柔らかいものを掴んだ感覚があったが、すぐにかき消された。
生暖かい、気味の悪い感覚によって。
(...?)
伸ばした手に感じた謎の感覚はいったいなんだったのか、と手をひっくり返して見てみる。
辺りはもう暗くなっていて、よく見えない−−−が、何かが付着している感じはする。
鼻の近くに持ってきて、匂いを嗅いで見る。
(...!?....まさか...)
驚愕。
その匂いを知っている。
その付着したものを知っている。
これは−−−
「血......だと....」
それが血であると認識した直後、目の前の柱がぼやけ始めた。
−−−歪みが収まると、そこには−−−。
血まみれで柱に背をかける、白髪の幼女が座っていた−−−。
「お、お前は...?」
目の前の幼女は、力無くこう答えた。
「レディの胸を揉んだ次の発言がそれとは......デリカシーの欠片もない奴じゃの...」
これが、少年、寄鳥の運命を変えた、「吸血鬼」との初めての出会いだったりする−−−。




