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第11話 組織のあり方 7

(……っ!)


 息が詰まる。


 体験したこともない体感だった。


 そして、経験などしたくもない感覚である。


 問題ないと踏んでいた。


 たった数分前までは、そう思っていた。 


 そう、問題はなかった。


 うまくいっているつもりだった。


 うまくやっているつもりだった。


 この時この瞬間、つもりだった、という言葉が脳裏に浮かんだのは、なんとも皮肉な話だった。


 結果からみれば、ほとんど逆の話だ。


 うまくいっているわけでもなくうまくやっているわけでもなかった。


 ただ今こうして直面している事態が、その事実をつきつけていた。


 なにを間違ったのか。


 どう間違ったのか。


 それは、わからなかった。


 だが、間違ったという事実はたしかなものだった。


 それは、たしかに痛感していた。


(くそったれ……っ!)


 井原は、そう毒づいていた。


 目の前の少女が上手(うわて)だというのは、わかった。


 一枚上手(いちまいうわて)とか、そう程度の話ではない。


 二枚も三枚も上手(うわて)だった。


 はっきり言ってしまえば、自分よりも強い。


 いや、この言い方さえもどうかという話だ。


 とどのつまり、相手の方が圧倒的なのだ。


 次の瞬間には、自身のもう意識はないかもしれない。


 軽い。


 身軽だ。


 それは、物質的にである。


 それと言うのも、自身の身体は、とうに地面から離れている。


 (くだん)の少女に腕をつかまれ、そのまま身体は宙に放り出された。


 自身の体重は、70キログラム前後である。


 身長は180センチメートルなので、若干細身の体型だ。


 一週間に一度くらいは、体重を測っている。


 それなりに健康には気を使っているなどというとお笑い種だが、実際そうだった。


 だから、この70キログラム前後というのは、おおよそ正確のはずだ。


 大体合っている。


 そう誤差もないだろう。


 そんな体重の男の身体を、少女はわけもなくつかんで宙に放ったのだ。

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