プロローグ
『闇のGAMEを始めようか』
「闇よ、僕が餌を与えてやろう……この退屈を晴らそう」
“望みは?”
「高林 天宮」
まず学校が闇に狩られた
闇に喰われ、外からも中からも何も見えなくなった
「僕にひれ伏して助けを求めたらいい……僕は主人、君は奴隷。
‥‥分かるかい?天宮」
「私は絶対、竜義にだけは助けを求めたりしない!それで闇に飲まれたとしても!!」
闇の王となった少年、闇の奴隷となった少女
二人の戦いは異変と共に静かに幕が上がる
そして、それを傍観する一人の少年と、感情に振り回されるもう一人の少女
……彼らもまた闇に囚われた哀れな者達
3年前…――
前日の豪雨で増水した川は濁流となり、流れも速かった
「たすっ…ぐ……りゅ…はっ」
「早く掴まって!!」
飲み込まれた少女は、かろうじて瓦礫に掴まり、流されるのを免れていた
一緒にいた子供達が焦った様子で駆け出していく
「助け呼んでくるッ」
「りゅ…ッ」
「手を出して!」
助けようと少年が岸に手を掛け、もう片方の手を伸ばして叫んでいた
「早く手を伸ばすんだよ!…うわっ……ッ」
しかし一瞬バランスを崩し自分も落ちそうになり、何とか堪えた
でもそれを見た相手は……
「っ… 」
必死に伸ばしかけた手を引っ込めてしまったのだ
「??! 何やって…っ」
「いらな… はぅッ、つ…」
「え?!何っ…早くッ!!」
「いらないッ…… うっ…」
「え?!」
「竜義の助けなんて必要ないッ! ……きゃっ」
叫んだ途端、体が濁流に呑み込まれ姿が消えた
「! ッ……天宮ぁッ!!」
現在…――
昼休みの屋上に二人の男子生徒
「マージ、やんの?」
「‥‥‥」
「うわ、無視だよ……
良いけどさ別に。でも後悔すんのはお前じゃない、アイツなんだぜ?」
気にした風もなく、更に諭した。相手からの返事は無かったが僅かな反応を見る
「諦めちまうかもよ?」
追い打ちを掛けるように加えた一言
「諦める性格なら、事は簡単だった。アイツは決して折れたりはしない」
やっと口を開けばそれは絶対な断言。淡々と呟かれる
言った本人も溜め息を吐いて同意するところを見ると話題の人物を熟知している様子だった
「ま!そーだわな……いっそ放棄してくれたら楽だったのになぁ?
アイツは単純なのにお前は不器用だねー」
「‥‥‥」
「(まーたムシかい。いい加減慣れたケドね)……まぁ無理だろーな。でも3年前の事に振り回されているのは果たしてアイツなのかな?」
その視線を受けると、何が言いたい?と言わんばかりに睨まれる
それを見て肩を竦め、踵を返した
「まぁ頑張れや!王ーサマ♪」
「‥‥‥」
その日は雲1つ無い青空
「あー良い天気だ!」
痛いっす