王子
鉄塔のてっぺんに立ち空を見上げ、目を凝らす。
遠く、大体330光年離れた宇宙に無残にも散った星の残骸宇宙空間に漂っていた。
そして、残骸に紛れて人影が一つ、青い肌、銀色の髪、そして真紅色のどこまでも冷たいまなざしをしていた。その、瞳にどこか既視感を覚えた。
今のお母さんは戦えないし自らの力で動けない、ただ、太陽を中心に等速円運動(まぁ楕円だけど)、
どうする?
どうすれば…
どうすればいい…!
「ふ、ようやく見つけた」
声は聞こえるわけがない、ただ、口の動きはそう言っていた。
なぜかわからない
なぜか、全身の血液が凍り付いたような気がした。
あいつはヤバい、俺の本能が、全細胞が、魂があの男に対して警笛を鳴らしている。
口が乾く、汗が噴き出す、手足が震える、だが、あの男を母さんに近づけてはいけない。きっとよくないことが起きる。
「行くしか…」
ゆっくりと、空を飛び大気圏の外に出た。それと同時にあの男も俺のほうへと飛んできた。
◇
その頃、第43銀河の第9惑星コンスドー跡地、
謎の男により破壊された星の残骸の陰に一人の男がいた。この男こそこの星…いや、この一族のの王子である。
「…くそ」
男は小さくつぶやいた。彼は爪が食い込むほど手を握りしめ、悔しさから全身が震えていた
「くそ、くそ、くそ」
彼は両目から血の涙を流し叫びつづけた