第16話
「つっかれたぁー!」
前回からダンボールを運んでいます。
「誰か手伝ってくれないかなー…。なんてね」
みんな部活頑張ってるんだから!私の手伝いなんかする暇ないよね!
「よいしょっと。ふー…」
「給水ー」
『はーい』
あ、丁度給水なんだ。私も給水…
「島野ー、水筒取ってー」
…給水する暇もなさそー。
「はいはいどーぞ」
「サンキュー。…どうした?」
「なにが?」
「顔死んでんぞ」
「あー、せんせ…」
「あ、顔死んでんのはもとからか♪」
カッチーン
「細見ぃ…。くらえっ!こちょこちょ攻撃!」
説明しましょう。細見はとてもこちょこちょに弱いのです。
「ごめんごめんごめんっ!悪かったって!だからやめろぉー!」
「ほんっといらないこと言うよねー」
「おまえ…手加減しろよ…」
「原因は誰ですかー?」
「俺です…。ところで、なんで顔死んでたんだ?」
「先生の手伝い」
「あー。だからいなかったのか。なにしてんの?」
「ダンボール運び」
「うわーめっちゃ楽そー」
「数すごいからね!?」
あれを見たら私の気持ちもわかるだろう。
「そんなに?」
「うん」
「へー。どんまーい」
「他人事だね!?」
「他人事だし」
「そうだけどさ!」
頑張れよっ!みたいなことは言えないのかなぁ。
「まぁいっか。剣道頑張ってね」
「はーい。おまえも頑張れよ」
「しゅーごー」
『はーい』
さてと、後半やりますかー。
細見side
今は蓮と打ち合いをしてる。
「めーん!」
「お、細見いい動きしてきたんじゃないか?」
「そーですか?いぇーい」
蓮に思いっきりドヤ顔した。
「おまえむかつくぞ!」
「じゃあ打ってみろよ」
「めーん!」
「今宮もいい動きしてきたな」
「よっしゃぁっ!」
「んー、でもなぁ…」
「え、問題ありですか?」
「おまえ体幹ないだろ」
「ぎくり」
あ、図星っぽいな。
「打った後の勢いで軸がブレてるな」
「マジですか…」
「それだとおまえが打ってバランス崩した時に胴を取られるな」
神野先輩すげー。そこまでわかるのかー。
「おまえは体幹つけてからだな」
「はーい…」
「蓮どんまーい」
「龍介しばくぞ!」
「下手にはしばかれたくないかなー」
「なんつったコラァ!」
「うっさい黙れバカが!」
林出たぁー。
「ごめんなさーい…」
「また林怒らせてんの?」
「あ、塩谷」
こいつは塩谷琴乃。小学校から剣道を習ってたらしくめっちゃ強い。
「ほんと今宮って懲りないよね。まぁ細見よりはマシだけど」
「うわーひっどー」
「聞いたか!?俺龍介よりマシだってよ!」
「俺はおまえより脳はマシだから」
「なんでそんなに俺ディスるんだよ!おまえ恨みでもあんの!?」
「おまえの存在」
「俺の存在否定!?ひどくねぇか!?」
「おい、今」
あ、林きれたっぽい。
「はい、今です…」
「剣道で俺に負けたら今日は喋んな」
「まて!おまえ俺よりめっちゃ強いよなぁ!?」
「今。早くしろ」
うわー、殺し屋の目だ。
「こんなの無理にきまってんだろぉー!」
「めん!」
バシィッ!…蓮は今日一言も喋れなくなった。
「あーかわいそー」
「今宮先輩大丈夫なんですか…?」
「しーらね。あいつが騒ぐからだろー。自業自得ってやつ?」
「あはは…。いつもの細見先輩と島野先輩ですね」
「花野井くーん?」
「わわっ!すみません!つい本音が…ってあぁ!」
「本音ってひどいな。まぁ林ってきれたらおもしろいだろ?」
「林先輩で遊んでますか!?」
「若干な」
「マジですかー?じゃあ林先輩に言ってきまーす」
野山いつから聞いてた?
「おい野山!」
「のーやまくーん。黙ろうか?」
「細見先輩、後輩いじめはダメですよ?あ、島野先輩ですっけ?」
「は?」
なんで島野が出てくんだ?
「細見先輩って島野先輩好きですよねー?」
「は?島野を好きになるやつなんかいないって。あいつ澤野が好きだし」
「それ、違うと思いますよ?どっちかって言うと細見先輩の方が好きっぽいですけど」
「おまえ目おかしいんじゃねーの!?」
澤野より俺の方が好きっぽい??野山大丈夫か…?
「澤野さんと島野先輩が話してるとこ見たことありますけど、細見先輩と話してるときの方が楽しそうでしたし」
「1回病院行った方がいいぞ?」
「見てる方からしたらそう思いますよ?なぁ颯?」
「あ、あぁ…。俺も思います」
「へー。でも俺は島野好きじゃねーし。あんな口うるさいやつ告られても無理だしなー」
「へぇー?口うるさくて悪かったですねぇー?」
「そーそー。ほんとあの口うるさいのなんとかならねぇかなー…ん?」
あれ?今の声って…
「すいませんねぇ口うるさくて!」
「島野ぉー!?いつから!?」
「「へー。でも俺は島野好きじゃねーし。」からだけど??」
来るタイミング悪っ!てか俺やばいこと言ったよなぁ!?
「いやー、えっとこれはだなぁ…」
「言い訳は聞かないから!花野井くん竹刀貸して!」
「は、はいっ!」
「花野井なにしてんだよ!」
「細見ー!」
「あぶねぇって!」
バシィッ!俺も竹刀持っててよかったー…。
「人の悪口散々言っておいて!」
「だから悪かったって!」
「問答無用!」
あぁーめんどくせぇ!バタンッ!
「島野落ち着けっ!」
「ふぇっ!?」
「えぇぇぇー!?」
「颯も落ち着け。てか、細見先輩すげーな」
…俺はこのとき無意識にとんでもないことをしていた。
「まさか、押し倒すとか。おもしろそー♪」
登場人物 名前の読み方
塩谷琴乃 しおたに ことの




