第12話
『よーいドン!』
私と細見のじゃがいも早剥き対決スタート!…これなんの意味があるんだろう?
「お前らなにしてんの?」
『じゃがいも早剥き対決』
「なんかおもしろそう!さて!一体どちらが勝つのだろうか!?」
『なに実況始めてるの(てんの)!?』
「まぁいいじゃん。俺にアイスを奢るのはどっちだ〜?」
『どっちも奢らないよ(ねーよ)!』
「なんと2人に拒否られた!!」
「今ちゃんどんまーい」
さっさと終わらせよっと。負けたらどうなるかわかんないし。
「黙れー!」
「うわっ!島野邪魔!」
「え?」
ドンッ!
「わっ!」
今宮が澤野を押した!それで押された澤野が私を押した!その結果…
ザクッ
「痛っ!」
…見事に指を切りました。
「ごめん!ほんとごめん!」
「ちょっと調子乗りすぎた…」
「ん?どうし…はあ!?指切ってんじゃん!先生のとこ行くぞ!」
「あ、うん」
「先生ー!島野が指切った!」
「えぇ!?大丈夫!?救急箱!」
「…ちょっと指見せて」
「え?はい」
「うわ…結構ザックリ切ったな…」
「あはは…バカだよねー」
「あれは蓮達が悪いだろ。いや、俺が勝負しようって言ったからか…」
「それに乗ったの私だし。まぁ自業自得だよ」
「島野さん、指見せて」
「あ、はい」
「結構深いね…何を切ってたの?」
「じゃがいもの皮です」
「そりゃこうなるね。えーっと消毒液と絆創膏…あった」
シュー…ペタッ
「よし、これでいいかな。今日は水仕事はやめてね」
「はい。ありがとうございました」
「今日は島野の分も俺が頑張るからなー」
「ごめん、私のせいで…」
「だから俺が勝負しようって言ったからだって」
「それに乗ったの私だよ?」
「俺が言わなかったらよかっただろ」
「でも…」
「はい、この話おしまい。じゃ班のとこに行くぞー」
「…まぁいっか。はーい」
「今戻ったー」
『島野!本当ごめんな!』
「いいよ。たいした怪我じゃないし」
「結構深く切ってたけど?」
『本当ごめん!』
「大丈夫だから気にしないで」
ちょっとヒリヒリするけど大丈夫だろう。
細見side
「島野って心広いわー」
「それわかる。これが龍介だったら…」
『絶対しつこいよなー』
「誰がしつこいって?」
『え、龍介』
「そこはっきり言うのかよ!」
『だって本当のことだし』
「お前らひどいな!」
俺そんなにしつこいか!?
「あれ?そういえば勝負は?」
「島野が怪我したから中止」
『俺達めっちゃ悪いことしたじゃん!』
「まぁ島野も許してくれてるからいいんじゃね?」
「でもさ、実はめっちゃキレてるってことはないよな?」
「なんかありそう!」
「そんなことで島野はキレないだろ」
「なんでわかんの!?」
「だって島野だし」
「はぁ?」
「わかった!『自分の彼女がこんなことでキレるわけないだろ!』ってことだろ!?」
「あ、なるほどな!」
「はぁ!?彼女じゃねーし、付き合ってもないし!」
「そんな照れんなって」
「だから違うって!」
何こいつら勘違いしてんだよ!
「龍介ー、食材の皮剥けたか?」
「おー、できてるぞ」
『林タイミング悪っ!』
「あ?」
林、目がいきなり鋭くなったぞ!?
『ごめんなさい!何もないです!』
「ふーん。龍介、食材貸せ」
「ほーい」
「…雑すぎじゃね?」
「これでも頑張ったからな!」
皮剥くの難しいんだよ!
「あれ?島野は?」
「えーっと、かくかくしかじか…」
「はぁ!?お前ら何やってんの!?」
『調子乗りすぎた』
「島野何もできねーじゃん。せっかく楽しい自炊なのにな」
『…土下座してこようかな』
「それまわりから見ると意味わかんないからやめろ」
島野が土下座させてるみたいになるし。
「この待ってる時間なにすんの?」
「雑談じゃね?」
「だろうな。なに話す?」
「恋バナは?」
『お前は女子か』
「冗談だよ!」
「あ、でも龍介の恋バナは聞きたい」
「わかる!さあ話せ!」
「そんなのねーし!」
なんで話が戻んの!?
「あるだろ?」
「ねーよ!林もなんか言えよ!」
「この鈍感野郎」
「いきなりなんだよ!てか俺って鈍感か!?」
「そうだろ」
「どうゆうとこが!?」
「自分が誰が好きなのかわかってないとこ」
「はぁ!?俺好きなやついねーし!」
「そういうとこが鈍感」
「はぁ!?」
俺好きなやついんの!?って誰に聞いてんだろ。
「え、龍介好きなやついるのか!?誰!?」
「だからいねーって!」
「お前ら耳貸せ」
ゴニョゴニョ…
いねーのになんか言われてるんだけど!?
「だよなー!俺もそうだろうと思ってた!」
「俺全然わかんなかったし!」
「まぁ龍介を見てたらわかるぞ」
『よし、これからあいつと喋ってるとき龍介見とこ!』
「あいつって誰だよ!」
「それ言ったらおもしろくねーよな?」
「そうだな」
「教えろよ!」
「じゃあヒントな。お前といつも一緒にいる」
『それ答えみたいなもんだろ!』
「あ!やらかした!龍介わかったよな…?」
いつも一緒にいるやつ?
「いや、全然わかんない」
『はぁー!?』
「わかんないのかよ!」
「え?だって一緒にいるやつとかいる?」
いつも一緒にいるやつ…うん。わかんないな。
「それでわかんないならいっか」
「まぁいつか絶対気づくだろうしな」
「その時までお楽しみってことで」
「えぇ!?めっちゃ気になるんだけど!」
「お、カレーできたっぽいぞ」
「マジで!?早く食べようぜ!」
「俺の話を聞けよー!」
あいつらカレーにしか目がないのかよ!てか好きなやつ誰?自分のことのくせに全然わかんないし!
「さあ!食べるぞー!」
『いただきます!』
まぁ今はカレー食べるか!いただきまーす!
今宮達が言っていた「あいつ」は誰のことかわかりましたか?わかりやすいと思うのですがどうでしょうか?




