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RPG風の世界で、色々みなさん頑張ってる物語

漆黒の落ちたる天使 -”呪われました”の14作目-

作者: 茶屋ノ壽

 とある辺境の”お山”には、いわれなき罪により、呪われて、天界を追われた、落ちたる天使が、いました。金色の髪に、青い瞳、大きめの胸が特徴的な豊かなプロポーション。顔立ちは常識外に美しく、整っていますが、全体的に影を感じさせます。不思議な光沢の謎金属で作成された、全身の要所要所を護る鎧に身を包み、手には、身の丈を、少し越えるくらいの、装飾過多な神秘的な槍を持っています。首には、銀色の狼の毛皮で作られたマフラーが巻かれています。

 天界で、恋人だと信じていた、実は政敵で手ひどく裏切られた、彼に、陥れられた恨みを、いつかきっとはらさないと、と、復讐の為の牙を磨いています。また、窮地に追い込まれたときに、見捨てた元同僚や、信じていた”神”そのものにも強い殺意をいだいています。

 天使であったときに使っていた、光と風の複合究極魔法、「フォトン・テンペスト」は、堕天使となって、属性が闇へと変化して、「ダークマター・テンペスト」とかわりましたが、その威力は変化なく、地平線の果てまでの範囲の生きとし生けるものを壊滅させることができるほど。むしろ、攻撃力に関しては、上昇しているます。

 魔界に堕とされた後、悪魔将軍に見込まれ、命がけの修行のすえに、48の魔法殺法を会得し、その配下の悪魔の青年とライバル的な立ち位置でいい感じになりつつ、一子相伝の必殺魔法の伝授において、その悪魔青年を手にかけてしまう。そして思わず慟哭しつつ、私には復讐しか残っていないのです、と決意を新たにします。

 魔界での武者修行中に、闇の鍛冶屋であるところの、23代目村正と呼ばれる、老山小人と意気投合し、特殊な魔法の槍を鍛えてもらうのだが、その槍の材料が、老山小人の孫娘、優しく色々と世話を焼いてくれた、可愛い少女、であることに、衝撃をうけつつ、献身的な犠牲によって、完成した槍を前にあらためて世界を呪い、神への復讐への誓いを新たにする。今装備している槍がそれ。

 天界から追放された後も、その能力の高さから、確実に憂いを排除しようと、追っ手が差し向けられるわけですが、それが、落ちたる天使の出生の謎にせまる、同じ顔の美少女で、その正体は生き別れた、双子の妹。なのですが、普段はその妹は仮面で顔を隠しているので、まだその正体を知りません。多分そのまま気がつかないまま打ち倒して、いまわの際に正体が判明して、慟哭するんじゃないかな?

 元恋人は実は神に操られていて、泣きながら攻撃をしかけつつ、最後に支配抵抗してわざと恋人の刃の元に息絶えます。なんとか神の支配を打ち破ろうと、あがいていた恋人の堕天使さんの努力をあざ笑うように、壮絶に目の前で、消え去る恋人の体を、かき抱いて涙が涸れるまで泣き続けました。

 魔界から脱出して、地上世界へ移動する時に記憶を失います。で、親切な親子、母1人娘1人、に偶然であい、トラブルを結果的に解決してあげて、交流をもちます。で、この親切な親子の元でのどかに暮らすことになるのですが、自分の規格外の力に悩みつつ、自身の正体を探るようになりますが、これがまた悲劇の始まりで。村人の嫉妬がらみで、親子と記憶を失くした堕天使にトラブルが発生して、その解決の段階で、天界からの索敵に反応していまい、紆余曲折ののちに、村は、村であったものになってします。塩の柱に変化する親娘の、最後の言葉は貴方なんて助けるんじゃなかった、という恨みの言葉でした。天界からの追っ手と戦うなか、必ず護ると約束した存在を、無惨に失った堕天使は、そのショックですべてを思い出し、同時に村であった、親子との心温まる交流を、すべて記憶から失ってしまったのでした。ただ、その後、その胸に飾られた不器用な手で掘られた祖末な細工物のペンダントを、堕天使はなぜか捨てることができなくなりました。

 記憶を取り戻した堕天使は神の力に対抗するため、古代魔法帝国よりつたわる伝説級の秘宝を探す旅にでます。地上世界の住人を天界からの追っ手との戦闘に巻き込まないように、人里をさけて移動するうちに、とある魔獣に出合います。ちょうど両親と死に別れたちいさな犬のような魔獣を見捨てることができず、また、不可抗力で主従の魔法的な契約を結んでしまったので、旅の仲間とすることにしたのです。その子は銀色の毛並みの可愛い子犬で、堕天使の復讐にそまった心をいくらか穏やかなものにしてくれます。ええと、授乳イベントで少しHな感じになったりするのです。旅を続けるうちに、銀色の毛並みの犬が、幻の獣、伝説の銀狼であることが判明したり、その能力が強くなったり、美少年へと人の姿へと変身できるようになったけど、獣の姿での行動をそのまま取ったので非常に妖しい雰囲気になったりしつつ、神殺しの秘宝探索の旅が続いていくのです。が、なまじ力をつけたせいで油断した銀狼が、天界からの追っ手に特殊な毒を盛られてしまいます。衰弱する銀狼を助けるために、かけずり回る堕天使、しかし、その毒を消すには、とある魔法の杯を使わなければならず、同時にその杯は、神を殺すことのできる秘宝にいたる、鍵でもありました。

 銀狼を助けるには、神殺しの秘宝を諦めるしかない、と、気がついた堕天使は躊躇しつつ、銀狼を助けるために杯を使うことを決意するのですが、その決断は少し遅く、銀狼は堕天使の復讐を邪魔することを心底嫌がり、自分の命を自ら断っていたのでした。もう撫でても反応しなくなった、銀色の毛並みに顔をうずめながら、遺書を片手に泣き崩れる堕天使さん。遺書には自分の毛皮で防具を作って欲しいと、いつも冗談で言っていた、台詞が淡々と綴られていたのでした。今装備している、堕天使さんの首のマフラーがそれです。

 堕天使さんはますます孤独になり、ただひとり神への復讐だけを心の拠り所にして、旅を続けるのですが、とある迷宮で、とても強い存在と出会います。その初邂逅は最悪で、同じ目的の秘宝を奪い合って、対立します。そこで初めて、地上世界の存在で、堕天使さんと同等の戦闘力をもつ存在とであったのです。

 それは1人の少女の”ガンマン”で、両手に”銃”とよばれる特殊な武器を持ち、そこから、光の弾を発射して、敵を打ち倒していくという、独特なスタイルの戦士でした。少女はその尋常ではない技量で、堕天使さんと堂々とわたりあいます。七日七晩戦い続け、とうとう双方だせる手札が無くなってしまうのです。そして、均衡を破壊するように天界からの追っ手が出現するのですが、少女はうるさいとばかりに片手間に撃退してしまうのです。その状況に思わず笑い出してしまう堕天使さん、思えば最後に笑ったのはいつ以来だろうか、という久々の笑いで、少女の”ガンマン”の興が醒めます。

 その後、たびたび出会って、時には戦い合い、時には酒場の片隅ですれ違い、地上の祭りで偶然であったり、貴族、王族への居住個所への潜伏文献調査中に、偶然変装していたメイド姿の二人が出会ったりしつつ、徐々になれ合っていきつつ、情報を交換していく仲に。

 とどめに、ピンチになった堕天使さんを、少女の”ガンマン”さんがたすけたりなんかして……やはり、私との決着をつける前にかってにやられては困るとか、私以外に苦戦するのは許さないとか、つんつん系の台詞をはなったりしたりして、ええ可愛いです。

 そうして、神への復讐に燃える悲劇の主人公的な存在である堕天使さんと、地上最強、天真爛漫、天衣無縫、絶対無敵、超絶可憐の”ガンマン”がであうのです。そして彼女たちはいつしかペアを組み、地上世界の迷宮へと、挑むようになっていったのです。


「……という設定でいかがでしょうか」堕天使のエルさんが、大きな黒い竜の鍛冶屋さんであり、発明家のヤミさん(御歳10万と38歳)へ語りました。

「……うわあ、なんだか”ちゅうにびょう”という単語が頭に浮かびましたよ」これから遊ぶゲームでつかう、自分のキャラクターの設定を、語り続けた堕天使のエルさんを、かわいそうな目で見るヤミさんです。

「もりすぎ?」こくんと、首を傾げる少女の”ガンマン”のシルフィさんです。「それに私そんなに強くないよ?」その意見にはもの申す所がありますが、確かにもりすぎなのは確かでございます。

「いいじゃない、普段はできない設定で遊ぶことができるのが、ロールプレーイングゲームというものでしょう?」しれっと言いますが、すこし顔が赤い堕天使のエルさんです。


「うん、できるだけ設定は拾ってみるよ……これほど入り込むのは意外だったけど」ヤミさん。

「……天界って、あまり娯楽がなくってですね、基本満たされてはいるんですが。どうせなら、悲劇にまみれたロールをしてみたいし、仕事をしない上司(神さま)へのフラストレーションもこの際解消したいんですよ」とエルさん。

「しごとしないんですか」シルフィさん。

「最初の7日以降基本ニートです」真顔の元天使さんです。

「……うらやましい」とはヤミさん。


 ラスボスが”神様”(ニート、?億歳)に決定した位で、本当に平和な”お山”の日常でございました。

 

 

 

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